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思い出の曲40: Howard Jonesの『Human’s Lib』

1984年にリリースされたハワード・ジョーンズの『Human’s Lib』という思い出深いアルバムがあるのだが、先日このアルバムをLPレコードで購入した。昔購入したCDは持っているし、iTunesでも時々聴いているのだが、レコードの音でも見つけてしまって思わず購入してしまったのだ。

このアルバムがリリースされた時代は、まさに80’s POP最盛期であり、英国からはポリス、デュラン・デュラン、カルチャー・クラブを始めとする多くのアーティストが、一気にMTVやアメリカのヒットチャートを席巻した時代でもあった。この状況は“ブリティッシュ・インベージョン”と呼ばれ、マイケル・ジャクソン、プリンス、マドンナ、ブルース・スプリングスティーンなどの米国アーティスト勢と、この英国勢が切磋琢磨することで、音楽業界全体がとても盛り上がり、大きな進化を遂げた時代である。

そんな“ブリティッシュ・インベーション”の一大ムーブメントの中で、シンセポップで大ブレイクしたのがハワード・ジョーンズであった。ハワード・ジョーンズのルックスも当時はちょっとブリティッシュパンクな感じで人気だったが、僕はその音楽性にすっかり当時ハマってしまい、最初に購入して聴いたのが、彼のファーストアルバム『Human’s Lib』であった。そして今を思えば、僕がその後シンセポップにハマっていったのも、このアルバムがきっかけだったような気もする。当時はニューヨークのマジソンスクウェアガーデンで開催されたライブも参戦したのが今でも良い思い出である。

シンセサウンドではあったが、変に凝り過ぎたシンセではなく、あくまでもポップでキャッチーなメロディーに、何とも心地良く繰り返されるシンセの音が溶け込んでいたのが特徴的で、シンセを巧みに操り、ポップスに取り入れたという意味では先駆的なアーティストの一人であったと思う。よりテクノポップに傾斜していたY.M.Oともまた少し違い、あくまでもポップの枠組みにシンセを取り入れたサウンドにオリジナリティがあった。

『Human’s Lib』に収録されているのは下記11曲(レコードは10曲)。アルバムは白いシンプルなジャケットながら、その変わったアートワークがかなり独特でユニークであったことからも印象に残っているアルバムである。

  • Conditioning
  • What is Love?
  • Pearl In The Shell
  • Hide And Seek
  • Hunt The Self
  • New Song
  • Don’t Always Look At The Rain
  • Equality
  • Natural
  • Human’s Lib
  • China Dance (CDのみ、レコードには収録されず)

この中で最初に英国でリリースしたのが、『New Song』であったが、次にシングルカットされた『What Is Love?』で僕はハワード・ジョーンズを初めて知ることになった。『New Song』はアルバムで聴くようになり、そのサビのシンセがとても美しい曲で僕もすっかり気に入ったのだが、切ないメロディでより一般ウケしやすかったミディアムテンポの『What Is Love?』の方がアメリカでは大ヒット。たちまちMTVなどでもヘビロテでオンエアされていた。この他、『Equality』と『Natural』という曲もシンセが効いたキャッチーな曲であったし、ノリの良さで言えば、『Pearl In The Shell』も独特な世界観があって好きであった。

ハワード・ジョーンズはこのアルバムの後も暫くはヒットを飛ばし、次のセカンドアルバム『Dream Into Action』もアメリカで大ヒット。シングルカットされた『Thing’s Can Only Get Better』は全米チャート5位まで駆け上がり、更にファン層を拡大して行った。しかし、1986年頃にリリースした3枚目のアルバム『One to One』あたりから、少しずつ人気に陰りが出始めてしまい、僕も1989年にリリースした4枚目のアルバム、『Cross That Line』以降、ハワード・ジョーンズのアルバムを購入しなくなってしまった。ちょっとこの頃からサウンドも少し変わってしまい、最初の頃のキャッチーなメロディとシンセサウンドが影を潜めて路線が変わったしまった為だ。

80年代後半にはシンセポップという意味ではA-Haの『Take On Me』で一つの頂点を迎えるが、その後90年代にはダンスミュージックブームに移り変わっていったことで、ハワード・ジョーンズの曲も、世の中のトレンドからは少しずれてしまったのかもしれない。しかし、今改めて当時のアルバムを聴くと、かなり新鮮に聴こえるし、また当時のシンセサウンドも懐かしく思い出される。

最近ではまた歌手・作曲活動を再開しているようで、昨年も来日してBillboardで公演しているので、また来日機会があれば一度参戦してみたいと思っている。今回紹介した『Human’s Lib』は、そんなハワード・ジョーンズの記念すべきファーストアルバムにして僕の一番好きなアルバムなので、80’sのシンセサウンドを思い出したい人にはおススメのアルバムである。

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