週末に『ジョン・ウィック』シリーズ最新作にして完結編となる、『ジョン・ウィック:コンセクエンス』を鑑賞してきた。これまで2014年の第一作、2017年の第二作、2019年の第三作と、シリーズ3作を見てきたが、今回がついに完結編となる。
引退した伝説の殺し屋が、愛犬を殺されたことからロシアンマフィアを壊滅させる第一作。かつて交わした血の誓印によって再び修羅の世界に引き戻される第二作。裏社会のルールを破ったことによる粛清の包囲網から逃亡を図る第三作。っそして今回自由と平穏を求めながらも常に戦い続けてきた主人公ジョン・ウィックが、ついに裏社会との決着の為反撃に転じる。
正直、このシリーズは物語はどうでも良い。見どころは、ただひたすら拳銃を打ちまくる過激なアクション。絶対にありえない数の玉を打ちまくるが、敵をボコボコに殴って、投げ飛ばして、最後息の根を銃で止めるが、これが1人や二人の話ではなく、まるでシューティングゲームのように、無数の敵をどんどん銃やこぶしで殺していく。残酷を通り越して、逆に笑えるくらい凄いのだ。そもそもそんなに長時間戦えないだろうという、スタミナという意味でもありえないし、銃の玉、そんなに持ってたっけというくらい、いつ補充しているのかもわからないくらい、銃撃戦が続く。更にはジョン・ウィックは不死身のサイボーグか!と突っ込みたくなるようなシーンに思わず目を疑ってしまう。ビルの4階くらいから落下し、下に停めてあった車のボンネットに落ちるが、普通なら絶対死んでいるか、ひん死の重傷かと思うようなシチュエーションでも、すぐに立ち上がって、また銃を撃ちまくる。今回、ビルからの落下のみならず、何百段もある階段から雪だるまのように転がり落ちても、また立ち上がって階段の上を目指すシーンも思わず笑ってしまった。とにかく、ありえない非現実的なアクションが目白押しなのだが、それでいてマーヴェルのようなスーパーヒーローものではないので、一見リアリティがある生身の人間の設定なのが面白い。
今回の完結編の見どころは、日本から真田広之と、香港からドニー・イエンという、アジアの2大アクションスターと共演していることだ。真田広之はもはやアジア系アクションには欠かせない世界的俳優となっているが、今回も殺し屋に狙われるジョンを助ける日本人武道家の古い友人、シマヅを演じている。そして彼の娘のアキラ役には歌手のリナ・サワヤマが見事なアクションシーンを演じている。
そしてドニー・イエンと言えば、ブルース・リーを崇拝する正統派クンフー映画後継者であり、『イップマン』を演じたことで世界的に有名となったが、今回は座十市ばりに盲目の武道家ケインを演じる。ジョンとも古い友人であったが、娘を守る為、刺客となってジョンに襲い掛かる。相変わらずキレッキレのアクションが実に気持ちいい。
ジョンを演じるキアヌ・リーブスも毎回アクションのレベルがスケールアップしており、今回も前述のキレッキレのありえないアクションシーンを見事にこなしているし、今回はヌンチャクファイトシーンも大きな見どころ。
完全にタランティーノが好みそうなB級映画のような作品だが、これをハリウッドが真面目に4作品もやり続けていることが凄いし、主演者が何とも豪華であり、今回完結編は真田広之とドニー・イエンが加わったことで単なるB級映画の枠をはみ出した“一流B級映画”に昇華されていると感じた。
兎に角、細かい話は抜きにして、純粋にありえないアクションをこれでもか!というくらい思いっきり楽しむには最高の映画である。今回完結編ならではの決着も付くが、エンディングもなかなか素晴らしかったので、ぜひ衝撃のアクションを皆さんも劇場で体感して頂きたい。