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愛くるしいロボット小説第二弾、『ロボット・イン・ザ・ハウス』!

昨年春に読んで、すっかり気に入ってしまった人気小説、『ロボット・イン・ザ・ガーデン』の続編となる、『ロボット・イン・ザ・ハウス』が出版された。



イギリスの作家、デボラ・インストールによる作品だが、『ガーデン』の方は、主人公のロボット“タング”がとても愛くるしくて可愛い物語で有り、すっかり魅了されてしまった。壊れかけの箱型ロボット“タング”と、そのタングと一緒に旅に出るベンの成長物語であった。イギリス、日本、アメリカなどを旅する二人のロードムービーとしても楽しめる作品で、最後はハラハラ、ドキドキした気分も楽しめるエンターテインメント性の高い物語であった。



そして、続編となる今作はその後を描く作品。“タングロス”で終わった前作の余韻をまた思い出しながらまた読みだしたが、再びベンとタングが登場し、今回は主にイギリスのベンの自宅周辺を中心に物語が展開される。



前作のようなロードムービーとしての楽しさは今回無いが、じっくりと“家族”の物語が描かれている点で内容の濃い作品となっている。一度は別れを決意したベンと妻のエイミーだったが、家族がバラバラになりかけていたところをタングによって救われ、そして今回はより一層タングの存在がベンとエイミーを再び結びつけ、家族再生をもたらしていく模様が描かれる。



また前作でタングの生みの親ながら、悪い博士であったオーガスト・ボリンジャーからタングを救い出す物語だったが、今回ボリンジャーがタングを連れ戻すべく、新たな“刺客”をベンの家に送り込む。ジャスミンという、球体型の女の子ロボットがまた庭に現れるところからドラマチックに物語が始まる。最初はタングを取られてしまうとかなり警戒していたベンとエイミーも、次第にジャスミンに惹かれ、またジャスミンもベン一家の愛に触れ少しずつ変わっていく。タングもまたジャスミンとのふれあいから打ち解けていく。そして今回最大の見所は、成長したタング、しかもたちの悪い(笑)思春期を迎えたタング。色々なことがわかるようになり、ある意味人間的になってきたからこそ起こるダダのコネ方や扱い辛さは人間の子供そのもの。そんなタングに益々惹かれて行く。



また今回も前回と同様、最後にドラマチックな展開が待ち受けている。そしてやはり微笑ましいハッピーエンドとなるのが何よりも嬉しい。このシリーズはロボット愛が詰まった作品であり、終わった後またタングに会いたくなってしまうような小説である。更に続編があることを期待したい。

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