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この作品は1957年に出版された作品で、全317ページの2冊構成となる。いわゆる中編的なサイズ感だ。この作品は甲賀忍者の活躍を描いた作品だが、あの横山光輝の代表作の一つでもある『伊賀の影丸』の原点がここにあるという意味で、この『風の天兵』は注目に値する作品だ。
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伊賀の影丸にも登場する青葉城が舞台となっていることや、主人公の天兵の敵として、阿魔野邪鬼(あまのじゃき、今見ると凄い名前だが(笑))という剣豪が登場するが、この人物は後に伊賀の影丸にも登場する。横山光輝本人も、伊賀の影丸を描いた際に、この『風の天兵』をかなりベースにしていたことが良く分かる気がして面白い。
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実はこの作品は、2003年にハードカバー&ケースの“横山光輝愛蔵版初期作品集”としても実は発売されているが、今回のアップルBOX版はかなりカジュアルな装丁ながら、表紙絵がはっきりしていてなかなか良い。しかも、こちらは逆にネットで出回っていないシリーズで手に入れるのもそう簡単では無いのだ。先日購入した『さよならママ』も同じシリーズ。かなりアングラ感が満載で面白い。
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『風の天兵』を読んだ感想として、内容の濃い『伊賀の影丸』と比較すると忍者同士の戦闘シーンなどに深みが少し足りず、全体の展開も荒削りで、しかも物語が短いせいか、どこか中途半端で終わっている感も否めない。最後も比較的慌ただしく展開し、無理やり大団円を迎えた感じで終わっているのだ。主人公の天兵も、イマイチ強いのか、普通なのかがあまり良く分からず、影丸のように、圧涛Iな必殺技があるわけでもない。その意味では人間らしいキャラとも言えるのだが。
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まあ、それでも初期作品としてはとても良く出来ているし、『伊賀の影丸』の原型がここにあるという意味では、横山光輝作品を考察する上ではとても貴重な作品であることを痛感した。
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何だか、また久しぶりに『伊賀の影丸』が読みたくなってしまった。