先日、公開を楽しみにしていた映画、『プリンセストヨトミ』を見てきた。
映画の舞台にもなった大阪/梅田のTOHOシネマズで鑑賞。
『鴨川ホルモー』などで知られる奇才、万城目学原作の同名小説を映画化したもので、
僕の好きな大阪城がテーマの“城映画”でもあって、公開前からかなり注目していた作品。
大阪は実は独立国だった!?という奇想天外なストーリーで、
豊臣家の末裔が実は生きていたという、歴史ミステリーをベースに、
謎めいた設定で公開前から期待が高まっていたが、実際に観た感想としては、
映画としては陳腐な仕上がりで、かなり“期待外れ”という結果となった。
まずストーリーは下記のように始まる。
7月8日金曜日午後4時、大阪が全停止した。
遡ること4日前の月曜日。東京から大阪に三人の男女がやって来た。
彼らは会計検査院の調査官。松平元(堤真一)は国家Ⅰ種試験を全国トップでパスした
超エリート。税金の無駄遣いを許さず、調査対象を徹底的に追い詰めるその姿は
“鬼の松平”として浮黷轤黷トいる。
その部下で女性調査官の鳥居忠子(綾瀬はるか)は少々頼りないが、ときに天性の勘で大きな仕事をやってのけ、“ミラクル鳥居”と呼ばれている。
そしてもう一人の部下、日仏のハーフでクールなイケメン、旭ゲーンズブール(岡田将生)、本省から出向してきた若きエリートである。
そんな三人は順調に大阪での実地調査を進め、府庁と市立中学校の調査を終え、次の調査団体のある空堀商店街を訪れる。真田幸一(中井貴一)と虫q(和久井映見)が夫婦で営む、空堀商店街にあるお好み焼き屋「太閤」。そんな空堀商店街を訪れた調査員一行は、財団法人「OJO(大阪城趾整備機構)」がある長浜ビルへと向かった。が、検査は別段問題もなく無事に終了するのだが・・・・・・。
出演陣は堤真一、岡田将生、綾瀬はるか、中井貴一、和久井映見など豪華な顔ぶれで、
菊地桃子や玉木宏などもかなりチョイ役でゲスト出演している。
そして、物語の設定は大阪夏の陣で、実は豊臣家の国松が実は地下の抜け穴を通って逃げ、今日まで末裔である“プリンセス”が生き延びており、大阪は街全体をあげて、
豊臣家のプリンセスを守り続けているという壮大な歴史ロマン。
大阪城は実際に3つの抜け穴が存在していたとされており、歴史的にも実は豊臣家は
逃げて生き延びたという説も根強くあり、歴史ロマンとしてはとても素晴らしい題材。
豊臣家の血を受け継ぐプリンセスである高校生の茶子 (沢木ルカ)が登場し、
その後プリンセスがどのような形で活躍するのか等、ややジャンヌ・ダルク的な展開も
勝手に期待して映画中盤盛り上がった。
だが、その後なぜか急に父と子の間で受け継がれる絆をテーマに感動的な
クライマックスに持っていこうとする展開となる。タイトルにもなっている
豊臣家のプリンセスとの関連性がどこかに飛んでしまい、唐突で強引な展開は、
後半は全く感情移入出来なかった。そもそもプリンセスの存在が大きく
謎として取り上げられながら、最終的にはあまり重要な位置付けでも無く、
大阪国の総理大臣、真田を演じる中井貴一の息子もオカマになってしまう
ことの必然性や、暴力団に殴りこむくだりも関連性が希薄で、
かなり失望させられてしまった。これは原作の問題なのか(原作を読んでいない為
はっきりせず)、又は映画化の失敗なのかはっきりとわからないが、
原作はベストセラーで直木賞にもノミネートされていることから考えると、
恐らく映画化の際にうまく描ききれなかったのではないかと推測する。
総論として、映画としてかなり“陳腐”な作品になってしまったとの印象。
暑かった昨年の夏に、大阪で実際にロケが敢行されており、大勢のエキストラを
投入したシーンはなかなか圧巻であり、大阪城、通天閣、心斎橋、空堀商店街など、
大阪の観光名所も多く登場し、大阪観光映画としてはなかなか楽しめる。
今年は『阪急電車』といい、この『プリンセストヨトミ』といい、
また大河ドラマの『江』なども含め、関西エリアを舞台にしたドラマが多く、
盛り上がっているが、やはり『プリンセストヨトミ』は期待が大きかっただけに、
残念な気持ちも強くなってしまった。
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