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当時流行っていたこの一連のSF超能力者漫画シリーズの中でもとりわけこの『ダイモス』の物語設定は面白い。あらすじはこうだ。
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古代の火星ではダイモス人とフォボス人の二つの種族が超科学文明を築いていた。だが両種族は「どちらが優れているか」を理由に戦争を繰り返していた。ついには核戦争を起こし、火星は死の星となってしまう。その際、脱出に成功した一部のダイモス人とフォボス人は地球へと移り住んだ。やがてフォボス人は「最も優れた種族である我々は、地球を支配して当然である」と度々地球支配を目論むが、ダイモス人によって妨害されてきた。数千年の時代が移って現代。ダイモス人が隠れ住む山村はフォボス人の奇襲を受け、主人公の真介(しんすけ)少年を除いてダイモス人は皆殺しにされてしまう。ただ一人生き延びた真介は、ダイモス人の守り神とも言える巨大ロボット『ダイモス』を発見して復活させ、フォボス人に対して反撃を開始した。
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ダイモス人は常に双子で産まれてくる種族だが、真介だけは双子では無く、一人であった為、村に住むダイモス人たちは“出来そこない“として恐れられてしまうが、ここでもダイモス人の中での差別も発生する。しかし、双子に本来分かれている能力が、真介には一人で二人分、いや通常のダイモス人の何倍もの超能力を持っていることがわかり、フォボス人からそのすざましい能力を恐れられてしまい、また真介も地球を侵略しようと企むフォボス人との全面戦争を一人で受けて立つのであった。
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巨大ロボット『ダイモス』が登場するので、横山光輝のロボットものに分類されることも多いが、内容かれすれば明らかにバビル二世やマーズの流れを組む超能力者ものと言える傑作である。そんなに長編では無く、一気に読めてしまう分量である。しかし、興味深いのはロボットのダイモスを操れるのは、ダイモス人だけであるという設定で、ロボット自体は心を持たず、ロボットを操る人の意思で善にも悪にもなってしまうというのは、『鉄人28号』、『ジャイアントロボット』など、横山光輝の代表的なロボット作品に一貫したテーマである。
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45年も前の作品だが、全く古さを感じない。むしろ今読んでも斬新で先進的な感覚すらある。物語の設定自体はかなりぶっ飛んでいるのだが、横山光輝の見事なストーリーテリングと展開の早いスピード感は、読むものをグイグイと物語に引き込んでいくのである。またダイモス人とフォボス人という2つの種族の争いというテーマは、常に戦争が絶えず、種族・宗教間の戦いや人種差別が色濃く残る現代にも共通するもので有り、とても考えさせられてしまう内容である。この『ダイモス』に先駆けて、『その名は101』も読み直してみたのだが、やっぱりどれも面白い。最近、改めて横山光輝の漫画を読み直してみて、すっかり横山光輝ワールドにハマってしまった。今度は、『バビル二世』を改めて読み直してみようと思う。
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