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ジェフ・ベックのフュージョン期傑作アルバム『Wired』!

昨年惜しまれつつ、78歳で他界してしまった天才ギタリスト、ジェフ・ベック。僕も一時期かなり頻繁に聴いていたが、彼はその天才的なギタープレイから、エリック・クラプトン、ジミーペイジと共に“世界の三大ロックギタリスト”の1人と言われ、その名声を欲しいがままにしたが、そのキャリアはロック一辺倒とは違い、かなり独特であったように思う。

1960年代は“ヤードバーズ”というイギリスの伝説的なロックバンドに所属していた。このバンドは、当時ジミー・ペイジ、エリック・クラプトンも所属しており、まさに後の3大ロックギタリストが所属していたバンドで、しかも後のレッド・ツェッペリンの母体となったバンドと言えば、その凄さがいかほどであったかわかるだろう。

ヤードバーズからそのキャリアをスタートし、その後ジェフ・ベック・グループという自身のバンドを組む。ここでは、ロッド・スチュワートとロン・ウッド(ローリング・ストーンズのギタリスト)がメンバーであったが、これも今振り返ると凄いメンバーである。

1970年代に入ると、ジェフ・ベックは“フュージョン期”と呼ばれるフェーズに入る。プロデューサーに、あのビートルズをプロデュースしたことでも有名なジョージ・マーティンを迎えて、インスト曲が中心のジャズとフュージョンに色濃く影響を受けた傑作を手掛けていく。特に僕は1976年にリリースしたアルバム『Wired』が大好きで、個人的にはジェフ・ベックの最高傑作だと思っているほどだ。

ちょっと前に、この『Wired』をレコードでも改めて買い直して最近も良く聴いているが、やっぱりレコードで聴くジャズやフュージョンはまた格別である。黒い背景の中で、流れるような青い残像でギターを弾くジェフ・ベックのジャケ写がレトロで何ともカッコいい。まさにジャケ買いしたくなる1枚だ。

そしてこのアルバムに参加しているミュージシャンもなかなか素晴らしい。まずは先日取り上げたヤン・ハマーがシンセ(Mini Moog)を巧みに操り、シンセでギターライクなディストーションを再現しながら新たなサウンドを奏でることで、今までに無い見事なフュージョンサウンドをジェフ・ベックと一緒に開拓していった一人だ。またその素晴らしいドラムプレイが有名で、後にホイットニー・ヒューストンのアルバムなどをプロデュースしたことでも有名になったナラダ・マイケル・ウォルデンも参加していた。この3人を中心に、まるでジャズアルバムかのような見事なセッションで巧みに絡み合う天才的な演奏を披露しているアルバムとなっている。

『Wired』に収録されているのは下記8曲。

  • Led Boots
  • Come Dancing
  • Goodbye Port Pie Hat
  • Head for Backstage Pass
  • Blue Wind
  • Sophie
  • Play with Me
  • Love is Green

どの曲も素晴らしいジェフ・ベックのギタープレイが堪能でき、また曲によってリードギター、リズムギター、アコースティックギターなど多彩なプレイが楽しめる。特に素晴らしいのは『Led Boots』で、ドラムやシンセとの掛け合いも素晴らしい、エキサイティングなフュージョンサウンドとなっている。『Come Dancing』は、途中のオクターバーのエフェクトを使った低音ギターサウンドがとてもエッジの効いているサウンドとなっていてカッコいい。『Head for Backstage Pass』は、まるでジェフ・ベックのギター教室さながら、ギターテクニックのショーケースになっていて、こちらもアルバム随一のカッコ良さ~。

そして『Blue Wind』はヤン・ハマーが作曲した曲だが、後に『Miami Vice』での大成功を予感させるようなヤン・ハマーのシンセプレイが楽しめる。一瞬どっちがギターで、どっちがシンセなのかわからなくなるくらいのギターとの掛け合いも見事で、シンセで”ギター的”なサウンドを実現してしまおうとしたヤン・ハマーの野心的で先進的な1曲だ。ヤン・ハマーがこの当時使っていたMini Moogは今聴くとレトロなサウンドのように聴こえるが、逆にとても新鮮な印象も受ける。昔のスティーブ・ウィンウッドのアルバムを思い出してしまうサウンドでもある。『Sophie』は泣きのギタープレイなども聴けるバラードで、『Play with Me』は何とも心地良いクラビネットで始まり、途中もハイトーンなギターライクなシンセが何とも素晴らしい。最後の『Love is Green』は穏やかなアコースティックギターで締めくくられるが、この曲も個人的にはとても好きな1曲だ。

ジェフ・ベックはそのキャリアの後半はボーカルも入ったロック・ポップアルバムに傾倒していった印象が強い。僕は一番洋楽を聴いていた1980年代には、ロッド・スチュワートとのコラボなどで大きな話題となり、1985年にリリースされた『FLASH』は商業的な成功を収めたが、やっぱり個人的にはインスト曲が好きなので、ボーカルアルバムよりは、純粋にジェフ・ベックのギタープレイが堪能出来るフュージョン期の作品、特に『Wired』が一番好きである。ちなみに余談だが、この『FLASH』には、『Escape』というインスト曲が収録されていて、この曲自体は当時も好きだったが、如何にもヤン・ハマーの曲という感じが今聴き直すと懐かしい。まさに1980年代の息吹を感じさせる1曲だが、『Wired』でも共同制作していたヤン・ハマーとの進化系を80年代にも垣間見ることが出来る。

コメント一覧

ベッコロジー
間違いが散見されますね。
SPLASH?って作品はありません。ロン・ウッドは、ローリング・ストーンズのギタリストで、ベーシストではありません。
これは感性の問題ですが、『Sophie』のギターを「泣き」と表現する人は多くはないと思います。
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