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物語は、野良犬の黒吉(のらくろ)が軍隊(帝国陸軍の想定)に入り、二等兵からどんどん出世して、最終的には大尉になる過程を全10巻のシリーズで描いている。戦後はのらくろが喫茶店の店長になったり、結婚したりと、まさに戦後の日本の高度成長と共に描かれて行った。
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僕がのらくろにハマり、今でも惹かれる理由は2つある。まずは、そのシンプルでわかりやすい名前やキャラクターデザイン。黒い犬と言う、何ともシンプルなコンセプトが逆に普遍的で高いデザイン性をもたらした。特に本の装飾などにもデザイン性が上手く使われており、強烈なインパクトを残した。
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もう一つの惹かれる理由は、その時代背景にある。戦前の1931年に漫画家、田河水泡の手によってのらくろは誕生しているが、まさに戦時中連載され、暗い戦争の中で軍人や人々に一筋の希望、笑い、安らぎをもたらした、そんな漫画であった。今読むと、戦争が色濃く物語に反映されていることがわかるが、そんな中にもユーモアが描かれており、犬が主人公にも関わらず、とても"人間らしい"生活や生き様が生き生きと描かれている。逆に、主人公が犬としてユーモラスに描くことで、厳しい検疫の時代にも、のびのびと、人間らしく表現出来たのかもしれない。
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のらくろは、そんな厳しい時代背景を強く生き抜き、人々に笑うことの大切さと生きる希望を与えた漫画であり、漫画の偉大なる力を改めて教えてくれる、そんな偉大なる作品であった。
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そして、キャラクターデザインの面でも先駆的なものであり、その後様々なものに影響を及ぼしたと言う意味で画期的であった。そのDesign Simplicityは僕のキャラクターデザインでも大いに参考となっている。