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主題歌が魅力の日活青春映画、『二人の銀座』

先日、久しぶりに神保町シアターで7月8日まで開催中の映画祭、『映画で銀ぶらー銀幕の銀座』で上映中の映画を鑑賞した。神保町シアターでは、様々なテーマで約1カ月程度の映画祭を開催しており、これまでにも芦川いづみの映画祭には何度か参加しているが、今回は銀座を舞台にした1950-60年代の日本映画を厳選した映画祭となっていて、注目を集めている。僕も“銀座”を舞台にしている映画祭という点で興味を持ったが、その中でも1967年に公開された日活映画、『二人の銀座』が観たくて、今回訪れた。

芦川いづみ映画祭の時もそうであったが、相変わらずシニア(70-90歳台くらいか)の客が殆ど。恐らく僕が圧倒的に最年少だと思われる(笑)。神保町シアターは小さな会場なので100席程度だが、今回も超満員。毎回思うが、参加しているシニアの方の中には、恐らくリアルタイムにこの映画を観て青春を過ごした方も多い筈で、きっと特別な思いを持って観ていたのではないかと想像するだけで、僕まで胸が熱くなってしまうし、ちょっと違った感情で映画を観る気持ちになれる。たぶん、30年後に神保町シアターで『私をスキーに連れってって』を鑑賞して涙を流している83歳の自分の姿を思い浮かべてしまった(笑)。

『二人の銀座』は、山内賢と和泉雅子主演の音楽青春映画。これまで日活映画は、芦川いづみが出演している映画か、石原裕次郎主演映画を中心に数多く観てきたが、二人が出ない日活映画を観たのは今回が初めてかもしれない。それでもこの映画に興味を持ったのは、1967年当時全盛であった山内賢と和泉雅子の共演というゴールデンコンビだったことと、ザ・ベンチャーズが作曲し、山内賢・和泉雅子がデュエットして当時歌謡界で大ヒットした『二人の銀座』という歌を映画化した作品だということで、何だかとても興味を持った。山内賢と和泉雅子は芦川いづみと『その人は遠く』でも共演しており、その他にも多くの作品で共演していたらしく、この映画も当時かなりヒットした作品のようだ。

1967年の映画の割にはモノクロ映画というのが若干残念ではあるが、それでもとてもキラキラした、魅力的な映画でモノクロでも充分楽しめた。まずはなんと言っても和泉雅子がキュートで可愛い。今見ても、“なんて可愛いんだ~”と思ってしまうほど魅力的で、当時吉永小百合と青春映画で人気を二分した日活のスター女優であった理由がとても良くわかる。きっと今日観賞しているシニアの皆さんも当時和泉雅子に恋したことだろう。

山内賢は石原裕次郎、赤木圭一郎、小林旭、浜田光夫などのトップスターに比べるとやや地味な印象は否めないが、僕はむしろこの地味さが結構気にいっている。そして二人が歌って大ヒットした曲、『二人の銀座』がかなりの名曲であることを思い知らされた。今回の映画で初めて聴いたのだが、映画全編で何度も流れるので、観終わったあと自然と口ずさんでしまうキャッチーさが何とも素晴らしい。また、ブルーコメッツや若き日の尾藤イサオなども劇中で歌を披露しているのも当時の空気感を感じることが出来て最高に楽しい映画である。

物語もかなりそつなく上手く出来ており、純粋に面白い展開だ。

公衆電話ボックスで会話に夢中になっていた瀬川マコ(和泉雅子)は、イライラしながら順番待ちをしている大学生・木村健一(山内賢)に顔をそむけて表へ出ると、ボックスに楽譜を落としたまま行ってしまった。楽譜を見つけた健一は後を追ったが、マコの姿は既に見えなかった。健一は、友人三人と“東南大学 ヤング・アンド・フレッシュ”というバンドを作り、プロになりたいと願っていた。ステージの休憩時間、彼らは拾った楽譜の演奏をすると、意外にも客に受けた。一方マコは、姉・玲子が大切にしている楽譜を落としたことに気づき、電話ボックスに忘れたことを想い出したが、遅かった。ジャズ喫茶では健一たちの演奏「二人の銀座」が熱狂的に受けていた。友人の友子から話をきいたマコは彼らを訪ね、曲は姿を消した姉の昔の恋人・戸田周一が作ったものだから、楽譜を返してくれるようにと言った。しかし健一の情熱に負けたマコは、戸田が戻ったら返すという条件で曲を貸すことにし、戸田を探し始めた。しかし玲子から戸田を探すのはやめるよう怒られてしまった。「二人の銀座」はヒットにヒットを重ねた。そんなとき“ジャズ・フェスティバル”が計画された。週刊誌は健一の作曲ということで「二人の銀座」を取り上げた。しかし騒がれるほどに胸が痛む健一はジャズ喫茶の支配人・小泉に「実は戸田周一郎さんの曲です」と告白したが、小泉から「戸田は盗作でレコード界から閉め出しを喰った。これからも健一の作曲でいくことにしよう」と言われてしまう…。

マコの友人、友子役を演じている伊藤るり子という女優がまたなかなか可愛い。ちょっと見た感じは若き日の南果歩にも似たルックスだ。

最後繰り返しになるが、この映画はキラキラした歌・音楽の魅力と、そんな時代背景の銀座の街も確認出来るという意味でとても貴重な映像資産でもある。これに加え、若い山内賢・和泉雅子がとても新鮮で魅力的であり、青春映画としてもかなりの秀作であると言える。多くのシニア客と一緒に大型スクリーンで観賞出来たのも最高であったが、また観たくなるような映画なので、今後のDVD化にも期待したい。

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