
僕はティム・バートン監督の作品はかなり好きで、彼しか描けない、ダークで奇妙ながら愛も詰まっている、あの独創的世界観にはいつも脱帽である。
バートン監督作品は、これまでにも『ピーウィーの大冒険』から始まり、『バットマン』、『シザーハンズ』、『マーズアタック』、『猿の惑星』、『チャーリーとチョコレート工場』、『不思議の国のアリス』、『スリーピーホロウ』、『ダークシャドウ』、『ビッグアイズ』、アニメでは、『ナイトメアビフォアクリスマス』、『コープスブライド』、『フランケンウィニー』など、ヘンテコで秀逸なダークファンタジーを数多く観てきたが、今回の新作も楽しみにしていた。

『ミスペレ』は、2013年に公開された可笑しな吸血鬼の物語であった『ダークシャドウ』よりは明るくて、スケール感もありそうな作品だったので、観る前から期待が膨らんでいた。そして、主演も『ダークシャドウ』に続いて、エヴァ・グリーンを起用。最近はすっかりティム・バートンのお気に入り女優になったようだ。
僕は『007/カジノロワイヤル』でボンドガールを演じたエヴァ・グリーンを観て以来彼女のファンになったが、あの長方形で美しい目と、ヨーロッパの香りを漂わせる独特な色気と気品が大好きなのである。


『ミスペレ』は、ランサム・リグズによる全米ベストセラー小説「ハヤブサが守る家」を映画化した作品で、人とは異なる奇妙な能力を持った子どもたちを描いたミステリアス&ダークファンタジーとなっている。
物語だが、周囲になじめない孤独な少年ジェイクは、唯一の理解者だった祖父の遺言に従い、イギリスウェールズにある島に行き、森の奥にある古めかしい屋敷を見つける。そこには、美しくも厳格な女性ミス・ペレグリンの保護のもと、空中浮遊能力を持つ少女や透明人間の男の子、体内に大量の蜂を飼う男の子、熱を発する少女、常に無口な双子といった、奇妙な子どもたちが暮らしていた。

相変わらずティム・バートンらしい奇妙な設定で、きみょ可愛い子供達を始め、たくさんのマニアックなキャラクターたちが登場する。主人公ジェイク役は「ヒューゴの不思議な発明」で知られるエイサ・バターフィールドが演じているが、なかなか良い味を出しているし、空中浮遊少女エマを演じているエラ・パーネルとのラブストーリーも見所である。エマもかなり可愛いくて魅力的なキャラクターであった。

不気味な悪役のバロンをサミュエルLジャクソンが見事なハマり役。ジェイクと子供たちが団結し、それぞれが自分の特殊能力を駆使してバロンに立ち向かう姿は、まるでアベンジャーズかファンタスティック4のような楽しさがある。

映画を観た感想は、"またもや、ティム・バートンにすっかりやられた!"といった感じで、相変わらずの独創的なティム・バートンワールドにグイグイ引き込まれてしまった。とても満足のいく面白い映画であった。
