あれは確か、小学一年生のときだった。
放課後、私はクラスメイトたちと校庭で遊んでいた。
すると、担任の先生が、
私ともう一人の女の子を呼んで教室に入るように言った。
教室に入ると、書き方の授業で練習している課題を清書するように言われた。
私とその子は言われた通りにした。
他のクラスの担任も集まって来て、
なんだか訳が分からなかったが、とにかく、私はその清書を仕上げた。
後日、私とその子は、校内硬筆書写コンクールで、
共に金賞を受賞した。
オレの放課後を返せ。
本来は、学年で一人しか受けられないものらしい。
私ともう一人の子と、決め兼ねていて、
最終選考のつもりで、そのようにしたが、
結局、選び切れなかったようだ。
当時の私は、そんなコンクールがあることすら知らなかったし、
鉛筆か何か、副賞をもらったような覚えはあるが、
嬉しいとも、何とも感じなかった。
さらに後日、私が家で書き取りの宿題をやっていた時のこと、
覗き込んだ姉が言った。
「これが金賞の字なの?」
そんなもんですよ。