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【タイトル】向日葵の咲かない夏
【著者】道尾秀介
【出版社】新潮社
【版型】文庫
【読了日】2024年7月14日(日)
【ストーリー】夏休みを迎える終業式の日。
先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。
きい、きい。妙な音が聞こえる。
S君は首を吊って死んでいた。
だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。
一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れた。
「僕は殺されたんだ」と訴えながら。
僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追いはじめた。
あなたの目の前に広がる、もう一つの夏休み。
(以上、新潮社のホームページから転載)
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【感想】かなり期待度高めで読み始める。
終業式・夏休み・少年・友だち・自殺…。
“自殺”を除けばウキウキする要素が詰め込まれたミステリー。
いや、ミステリーであれば自殺すらも大切なファクターになる。
今は、7月半ばである。
同じような時期設定のこの作品を読むのにも適していると思った。
単純な私、ウキウキのワクワクで読み始める。
終業式の日、学校を休んだS君のために、自宅へ宿題などを届けたミチオ。
誰もいないS君の家の和室で、本人が首を吊って死んでいるのを発見。
ミチオは慌てて学校へ戻り、担任に報告する。
ところが、担任が警官を伴ってS君の家に向かうも、死体がなくなっている…。
この導入部分からストーリーに引き込まれる。
しかも、その一週間後に亡くなったS君があるものに姿を変えてミチオの前に現れた。
そのS君、自分は自殺ではなく、殺されたのだと告げる。
ミチオは妹のミカとS君の3人で、S君を殺害し、その遺体を隠した犯人を探しはじめる。
私はこんな子供たちが活躍して、事件の真相に迫り、犯人を追い詰めるストーリーが好きだ。
そこに、全体的に漂う薄気味の悪さ・微妙な違和感が加わり独特の雰囲気を醸す。
最後まで夢中で読んだ。
先が気になって寸暇を惜しんで読んだ。
後半、真犯人が判明するまでの流れは、まさに正統派ミステリー。
論理的に分かりやすく、ムリがなく、併せて予想外の展開もある。
そして、終盤になるとミチオの家庭事情が詳らかにされる。
妹ミカ、そのミカを偏愛する母親、寡黙な父親に関して、あることが明らかになる。
さらにミチオの過去についても…。
最後のシーンまで読み終わり
えっ、これで終わりなの?マジで?
そう思ったのは私だけではないだろう。
なんとなくモヤモヤした思いで本を閉じた。
その後、気になる箇所を読み返し、自分なりに答えを出した。
でも、他の人の見解も気になり、ネットで検索した。
うんうん、やっぱりそういうことだよね…
みんなと同じような答えを導き出した自分に安堵した。
トンチンカンな結論に至らなかったことにホッとした。
最後に“あとは、自分で想像してね”と著者に放り出されたような感覚を味わった。
それはきっと著者が意図したことなのだろう。
そんな読後感もまた一興だと思った。
うーん、結局ボヤーンとした感想に終始したね、今回(も)。
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●●になったS君の最期の儚い度:★★★★★
ミカちゃんの正体の意外度:★★★★☆
ミチオの母親への同情度:★★☆☆☆
ミチオの推理力の超小学生度:★★★★★
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【タイトル】告白
【著者】湊かなえ
【出版社】双葉社
【版型】文庫
【読了日】2024年7月5日(金)
【ストーリー】「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」
我が子を校内で亡くした中学校の女性教師によるホームルームでの告白から、この物語は始まる。
語り手が「級友」「犯人」「犯人の家族」と次々と変わり、次第に事件の全体像が浮き彫りにされていく。
(以上、双葉社のホームページから転載)
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【感想】今さら感が否めない、今さらながらの湊かなえ、今さらながらの告白。
第一章“聖職者”で教師の森口悠子の告白に衝撃を受けながらも、今後の展開への期待感は大いに高まる。
第二章“殉教者”では、クラス委員の北原美月が森口へ宛てた手紙の形式で書かれる。
森口が退職したあとのB組の混乱ぶりが紹介される。
後任のウェルテル先生の空気読めない感と空回り感が、痛々しくも憎めない。
第三章“慈愛者”は加害者の一人、下村直樹の母親の日記という形で話は進む。
母親の息子に対する一方的かつ激しい思い込みが、息子と自分を追い込んでいく様が描かれる。
慈愛者は盲目者でもあったのだ。
第四章“求道者”では、下村直樹が施設内の壁に映り出される自分の過去を、第三者として見つめながら紹介していく。
現在、自分が置かれている立場は悪い夢だと思っており、早く覚めることを願っている。
直樹クンは、完全にイっちゃっていた。
第五章“信奉者”はもう一人の加害者、渡辺修哉が自分のサイトにアップした記事というスタイルで描かれる。
母親に捨てられた修哉は、その母に会いたい、認められたいという身勝手な理由で、森口の娘を殺めるまでの経緯が綴られる。
修哉の母親もイカれていて、息子に同情する気持ちも若干あったり、なかったり…。
そして第六章“伝道者”で、修哉への森口からの電話という形式で結ばれる。
ワタクシ、牛乳への仕込みは、犯人の二人を精神的に追い込むための狂言だったと思っていた。
教師であるから、いくら娘を殺した生徒とはいえ、命を奪うような暴挙に出ないと思っていた。
ところが、実際にはそんな生やさしいものではなかった。
森口悠子も実は、相当に狂っていた。
渡辺や下村となんら変わらず常軌を逸していた。
娘への報復が、他者を巻き込むことへの罪悪感を打ち消している。
この物語は、誰一人幸せにならず、誰も救われない。
さすがは“イヤミスの女王”と呼ばれる湊かなえの作品である。
女王の面目躍如だ。
しかし、私の読後感は決してイヤな気持ちではなかった。
張り巡らされた伏線を回収する過程は、かなり楽しめた。
最後の驚愕の展開は、やや大雑把に感じたが身も蓋もないオチで悪くなかった。
私自身、初めての湊かなえだったが、他の作品も読みたくなった。
もっとドロドロしてグチャグチャでもいい。
読んでいて
俺の心まで病みそう…
と危機感を覚えるくらいの作品と出会いたい。
もっともっとイヤが気持ちで本を閉じたい。
そう願っている時点で、私はすでに病んでいるのかもしれないね。テヘヘ(←テヘヘじゃないわ!)。
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読後感じたイヤミス度:★★☆☆☆
愛美ちゃんへの憐れ度:★★★★★
渡辺への復讐の荒唐無稽度:★★★★★
予想の上をいった完成度:★★★★☆
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【タイトル】カラフル
【著者】森絵都
【出版社】文藝春秋
【版型】文庫
【読了日】2024年7月1日(月)
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【感想】最近YouTubeで、本好きの人がお勧めする書籍紹介の動画を見ている。
ミステリー・ホラー・純文学・時代小説・海外の翻訳物などジャンルはこだわらず、購入する際の参考にしている。
その中で、どなたが紹介していたかは失念したが、なんとなく心に残った作品があった。
その本を先日、書店で見つけ、手にとってパラパラしてみたら(←パラパラを踊ったわけじゃない)
これ、おもしろいんじゃね!?
とピンときたわけです(←ピンときたといっても泉ピン子が来たわけじゃない)。
ありますよね、手に取った瞬間、ビビビっとくる本が。
私の場合それを“ビビビ婚”ならぬ“ビビビ本”と呼び、即買いすることにしています。
今、文字にして思ったけど“ビビビ本”と“ビニ本”って似てますよね(笑)←笑うな!
裏表紙のあらすじには
生前の罪により輪廻のサイクルから外されたぼくの魂が天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。
自殺を図った少年、真の体にホームステイし、自分の罪を思い出さなければならないのだ…
老若男女に読み継がれる不朽の名作。
とあった。
輪廻や天使に興味はないが“老若男女に読み継がれる不朽の名作”って文言には大いに惹かれる。
年齢・性別を問わず、読み継がれている、不朽の名作!なのである。
つまらないハズがない。
むしろ、読了してまったく心に残らなかったら、それは私の感性がバグっているのだ。
私の心の奥底にドス黒い闇が潜んでいるに違いない。
もしかするとヒトですらないのかもしれない可能性もある(じゃあサルか?)。
ということで、全幅の信頼をおいて読み始めた(自分には信頼おいてないけど)。
主人公の真(まこと)が暮らす小林家は、真を含め、両親と兄の4人家族。
事前の情報では、家族はかなりクセが強そうである。
父は利己的で、母は不倫をしていて、兄は無神経な意地悪男。
真は身長が低く、顔つきも暗く、無口で友だちのいない少年だった。
その体に“ぼく”の魂が一時的に憑依(作中では“ホームステイ”と表現)した。
外見は真でも中身は他人の“ぼく”なのだから当然、今までと言動が違ってくる。
自殺を図った真のことは、教師が承知してるだけで、クラスメートは知らない。
風邪をこじらせて休んでいたくらいにしか思っていない同級生たち。
しばらく見なかっただけなのに、真の態度や物言いが明らかに変わっていて、周囲は動揺する。
“ぼく”バージョンの真は、今までの真の生活ぶりなど知らないので、自分のやりたい放題。
不倫をしていた母親には突っかかるし、父親とは目も合わせない。
片思いの相手桑原ひろかは、中年男性と援助交際をしているが、ホテルに入る手前で掻っ攫う。
真の貯金で2万8千円のスニーカーを買うものの、不良メンバーに襲われその靴を奪われてしまう。
そんな、非生産的な日々を過ごしていれば、課題である“ぼく”の前世の罪を思い出すなど絶望的…。
しかし、期限は決まっている。
それまでにクリアしなければ魂は消滅する。
さあ、どうする、真よ、いや“ぼく”よ!?
当初、問題のある家庭だと思わせておき、実は真の両親・兄ともに真のことを愛していて、後半は非常にハートフルな展開。
ガイド役のプラプラも口は悪いがいいヤツで、肝心なところで登場して真に助言を与える。
中盤からの家族・友人とのやり取りは、お互いが真剣であるが故、仮住まいの“ぼく”は懊悩する。
真よ、どうして死に急いだ、もう少し生きていたら誤解だと分かったのにと…。
タイトルの「カラフル」に絡めて作中でこんなセリフがある。
この世があまりにもカラフルだから、ぼくらはいつも迷っている。
どれがほんとの色だかわからなくて。
どれが自分の色だかわからなくて。
私が気に入った箇所だ。
誰もが自分の色を持っている。
暗い色もあれば、明るい色もある。
暗い色が明るい色に翳りを落とすこともある。
逆に明るい色が暗い色を照らすこともある。
それらをひっくるめて自分の色なのだ。
ネタバレになるのであまり詳細には触れないでおく。
非常に読みやすい小説なので、興味のある人は手にとって欲しい。
“不朽の名作”との表記に納得するだろう。
ラスト、別れの際のプラプラのセリフ
「あばよ、小林真。しぶとく生きろ」
に思わずジーンとした。
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当初の小林真への好感度:★☆☆☆☆
家族愛への感動度:★★★★☆
早乙女クンのいいヤツ度:★★★★★
佐野唱子のいじらしい度:★★★★☆
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【タイトル】バッド・デイ・ドライブ(原題:Retribution)
【ジャンル】サスペンス
【監督】ニムロッド・アーントル
【公開年】2023年
【制作国】イギリス
【上映時間】1時間31分
【鑑賞方法】動画配信(Prime Video)
【鑑賞日】6月30日(日)
【ストーリー】いつもと変わらぬベルリンの朝。
金融ビジネスマンのマットは、子供たちを学校に送り届けるため、自慢の新車のシートに腰を下ろした。
運転を始めると着信があり、声の主は「その車に爆弾を仕掛けた。降りてはいけない。通報してもいけない。これから伝える指示に従わなければ爆破する」と告げる。
犯人の正体、要求、目的のすべてが不明のまま、戸惑いながらもマットはドライブを続ける。
しかし、行く先では同様に爆弾を仕掛けられた車が次々と大破。
その被害者はマットの同僚だった…。
恐怖に怯える子供たちを乗せ、ユーロポールとマスコミから容疑者として追われるマットに、更なる悲劇が待ち受ける。
それは「妻はいま、離婚弁護士の元にいる」という報せだった。
果たしてマットは犯人を突き止め、爆破を阻止し、家庭崩壊の危機を脱することができるのか!?(以上、キノフィルムズの紹介記事から転載)
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【感想】車に爆弾がセットされ、下車するか、犯人が起動ボタンを押すかで、爆発する仕掛けになっている設定。
こういうワンシチュエーション系は比較的好き。
最近観た映画だと“FALL/フォール”などは、まあまあ楽しめた。
主人公のマットは、2人の子供を車に乗せて学校に送り届ける途中だった。
こっそり隠されていたスマホに着信があり、応答してみたら正体不明の男の声。
その相手がいうには、一人でも車を降りるか、自分のいうことを聞かなければ車を爆破すると。
まあ、ここらへんはありがちな話だよね。
犯人は散々マットをあちこちに誘導するが、その目的ははっきりしない。
途中、同僚から連絡があり、同じように爆弾を仕掛けられ、脅迫されていることを知る。
犯人の指示に従い、その同僚の車の近くに停車すると、かわいそうにその同僚、警官に怪しまれ車を降りろと命令される。
同乗している女性がパニックを起こし、静止を聞かずに外へ飛び出した瞬間、大爆発!
この直前までは、爆弾についてはやや懐疑的だったマットも、その悲惨な光景を見てヤバいと思う。
犯人、ガチだなと。
いうこと聞かないとマジでヤバいぞと。
このあとは、奥さんに連絡して、マットの貸金庫から現金を回収させたり、勤務先の経営者を撃ち殺すように指示したりとやりたい放題。
犯人は誰か?
なにが目的なのか?
マットや子供たちは無事なのか?
その部分についてはラストでしっかり明かされるが、それほどの意外性はない。
通して観た感想としては、可もなく不可もなく。
休日に時間はあるけど、やることがないなら時間潰しにイイんじゃね?って感じの映画。
終始、気になっていたのは、マット役のリーアム・ニーソンが、子供たちの父親というより祖父っぽかった点。
まあ、それをいったらお母さん役のエンベス・デイヴィッツも、微妙っちゃ微妙だったけど。
でも、長女役のリリー・アスペルは、演技がうまかったし、かわいかった。
以上、あとは特にコメントなし ( ̄▽ ̄”)ゞ
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カーアクション度:★★☆☆☆
爆発の強烈度:★★★★☆
ラストの展開の意外度:★★☆☆☆
両親というより祖父母度:★★★★☆