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【タイトル】ちびねこ亭の思い出ごはん 黒猫と初恋サンドイッチ
【著者】高橋由太
【出版社】光文社
【版型】文庫
【読了日】2024年6月24日(月)
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【感想】書籍紹介の動画を見ていて巡り会うことになったこのシリーズ。
どうやら泣ける話で綴られる連作短編集らしい。
加齢のせいか最近、涙腺のパッキンの劣化が著しい私にとって、地雷を踏むような一冊って気がする。
でも、本や映画に触れて泣けるって素晴らしいと思う。
無感動な人より断然、感情が動かされるわけだからお得である。
感動や感謝の機会が多い人ほど豊かな人生ではないだろうか?(←誰に訊いている?)
そんなわけで(どんなわけだ?)早速購入。
表紙が女子女子していて58歳のオッサンには小っ恥ずかしい。
でも、エロ本を買うわけじゃないしイイよね?(←だから誰に訊いている?)
帯には
⚠️人前で読むのは危険です。と書かれ、さらに
泣けて、泣けて、あたたかい
とも明記されている。
人前で読むのは危険ってことは、要するに
「ねえ、見て見て、ほのか!目の前に立ってるおっさん、本読みながら泣いてるよー!キモくない!?」
「うわっ、超マジキモいんだけどーっ!!」
と電車内で女子高生にキモがられる可能性があるってことか(あり得るな…)。
そこで私は、帰宅中の電車内では読まず、家に着いてから読むことにした…。
目次を見ると4作収められていた。
どのタイトルにも猫の種類と料理名が記されている。
「猫好きなワタシにピッタリな小説かも♡」とワクワクが止まらない(うん、キモい)。
最初の“茶ぶち猫とアイナメの煮付け”では、主人公“ちびねこ亭”店主の福地櫂と以後、準主役として登場する二木琴子との出会い、そして彼女の悲しい過去がメインテーマ。
ちびねこ亭では、亡くなった人との思い出に残るメニュー“思い出ごはん”を作ってくれる。
ちびねこ亭に予約を入れる際、客は思い出の料理名を店主に伝える。
そして当日、お店で出されたその料理を口にすると、もう一度会って顔を見たい、話をしたい、伝えたいことを聞いてもらいたい故人と再会できるのだ。
しかし、会える時間は料理が冷めて、湯気が消えるまでの短時間。
琴子は、自分を庇って車に轢かれて死んだ兄に会うため店に訪れた。
子供の頃から勉強や運動ができ、父母の自慢の息子だった兄。
私が死ねばよかったと悔やむ琴子。
そこへ、兄の得意料理だったアイナメの煮付けが運ばれ
琴子が口にすると…
以降のことはネタバレになるので省略するが、切なくも温かい話だった。
そして私は、どうにか涙を流さずに読み終えることができた。
自分の涙腺の蛇口も捨てたものではない。
ところが、次の作品“黒猫と初恋サンドイッチ”で呆気なく蛇口がぶっ壊れ
さらに“サバ白猫と落花生ごはん”の夫婦愛でダダ漏れし
最後の“ちび猫と定食屋のまかない飯”の親子愛に鼻水まで垂れだした(汚ねえなぁ)。
250ページ、あっという間に読み終えた。
実に温かく優しくほんわかとした気持ちになれる一冊だった。
ややもすれば湿っぽくなりがちなテーマに、ほのぼのとしたアクセントを与えてくれるのが、看板猫の“ちび”。
人間の言葉を理解しているかのような「みゃあ」や「みゃん」の鳴き声が、時にはおかしく、時には心地よく心に響く。
猫好きの心を鷲掴みにするちび。
素敵な作品と出会えたと思う。
こういう出会いがあるから読書はやめられない。
と、まあ、こんなことになりそうな気がしていたので
次巻“三毛猫と昨日のカレー”も一緒に買ってある。
次回の読書感想も“ちびねこ亭の思い出ごはん”に決定!
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涙腺決壊度:★★★☆☆
千葉の内房へ旅したい度:★★★★★
ちびねこ飼いたい度:★★★★★
このシリーズコンプリートしちゃうかも度:★★★★☆
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