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【タイトル】カラフル
【著者】森絵都
【出版社】文藝春秋
【版型】文庫
【読了日】2024年7月1日(月)
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【感想】最近YouTubeで、本好きの人がお勧めする書籍紹介の動画を見ている。
ミステリー・ホラー・純文学・時代小説・海外の翻訳物などジャンルはこだわらず、購入する際の参考にしている。
その中で、どなたが紹介していたかは失念したが、なんとなく心に残った作品があった。
その本を先日、書店で見つけ、手にとってパラパラしてみたら(←パラパラを踊ったわけじゃない)
これ、おもしろいんじゃね!?
とピンときたわけです(←ピンときたといっても泉ピン子が来たわけじゃない)。
ありますよね、手に取った瞬間、ビビビっとくる本が。
私の場合それを“ビビビ婚”ならぬ“ビビビ本”と呼び、即買いすることにしています。
今、文字にして思ったけど“ビビビ本”と“ビニ本”って似てますよね(笑)←笑うな!
裏表紙のあらすじには
生前の罪により輪廻のサイクルから外されたぼくの魂が天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。
自殺を図った少年、真の体にホームステイし、自分の罪を思い出さなければならないのだ…
老若男女に読み継がれる不朽の名作。
とあった。
輪廻や天使に興味はないが“老若男女に読み継がれる不朽の名作”って文言には大いに惹かれる。
年齢・性別を問わず、読み継がれている、不朽の名作!なのである。
つまらないハズがない。
むしろ、読了してまったく心に残らなかったら、それは私の感性がバグっているのだ。
私の心の奥底にドス黒い闇が潜んでいるに違いない。
もしかするとヒトですらないのかもしれない可能性もある(じゃあサルか?)。
ということで、全幅の信頼をおいて読み始めた(自分には信頼おいてないけど)。
主人公の真(まこと)が暮らす小林家は、真を含め、両親と兄の4人家族。
事前の情報では、家族はかなりクセが強そうである。
父は利己的で、母は不倫をしていて、兄は無神経な意地悪男。
真は身長が低く、顔つきも暗く、無口で友だちのいない少年だった。
その体に“ぼく”の魂が一時的に憑依(作中では“ホームステイ”と表現)した。
外見は真でも中身は他人の“ぼく”なのだから当然、今までと言動が違ってくる。
自殺を図った真のことは、教師が承知してるだけで、クラスメートは知らない。
風邪をこじらせて休んでいたくらいにしか思っていない同級生たち。
しばらく見なかっただけなのに、真の態度や物言いが明らかに変わっていて、周囲は動揺する。
“ぼく”バージョンの真は、今までの真の生活ぶりなど知らないので、自分のやりたい放題。
不倫をしていた母親には突っかかるし、父親とは目も合わせない。
片思いの相手桑原ひろかは、中年男性と援助交際をしているが、ホテルに入る手前で掻っ攫う。
真の貯金で2万8千円のスニーカーを買うものの、不良メンバーに襲われその靴を奪われてしまう。
そんな、非生産的な日々を過ごしていれば、課題である“ぼく”の前世の罪を思い出すなど絶望的…。
しかし、期限は決まっている。
それまでにクリアしなければ魂は消滅する。
さあ、どうする、真よ、いや“ぼく”よ!?
当初、問題のある家庭だと思わせておき、実は真の両親・兄ともに真のことを愛していて、後半は非常にハートフルな展開。
ガイド役のプラプラも口は悪いがいいヤツで、肝心なところで登場して真に助言を与える。
中盤からの家族・友人とのやり取りは、お互いが真剣であるが故、仮住まいの“ぼく”は懊悩する。
真よ、どうして死に急いだ、もう少し生きていたら誤解だと分かったのにと…。
タイトルの「カラフル」に絡めて作中でこんなセリフがある。
この世があまりにもカラフルだから、ぼくらはいつも迷っている。
どれがほんとの色だかわからなくて。
どれが自分の色だかわからなくて。
私が気に入った箇所だ。
誰もが自分の色を持っている。
暗い色もあれば、明るい色もある。
暗い色が明るい色に翳りを落とすこともある。
逆に明るい色が暗い色を照らすこともある。
それらをひっくるめて自分の色なのだ。
ネタバレになるのであまり詳細には触れないでおく。
非常に読みやすい小説なので、興味のある人は手にとって欲しい。
“不朽の名作”との表記に納得するだろう。
ラスト、別れの際のプラプラのセリフ
「あばよ、小林真。しぶとく生きろ」
に思わずジーンとした。
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当初の小林真への好感度:★☆☆☆☆
家族愛への感動度:★★★★☆
早乙女クンのいいヤツ度:★★★★★
佐野唱子のいじらしい度:★★★★☆
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