偏平足

里山の石神・石仏探訪

寒の坊 長野県小海町小海

2022年09月13日 | 里山石神端書

里山の石神端書115 小海町小海・笠原路傍の寒の坊

 笠原集落の中心に建つのが東明寺。


 薬師を本尊とし、十二神将があるようですが施錠されていて見ることはできません。寺社の賽銭や宝物をねらう輩が多い昨今、辺鄙な山奥の小社やお堂まで鈎をつけるのは当たり前になってきました。寺の横の屋根が架けられた下に庚申塔と地蔵菩薩が並んでいます。地蔵は六体ですが、5体が同じ造りで別の地蔵を併せて6地蔵となっています。


 寺の手前に馬頭や牛頭観音文字塔が並ぶなかに六臂の寒の坊があります。おかっぱ頭の優しい表情の寒の坊です。寒の坊はこのブログの石神端書112も案内しましたが、長野県の南佐久地方にだけ造立された寒念仏塔です。鉦と槌を持つ丸彫りが特徴です。寒念仏は寒中にお堂を巡り、鉦をたたいて念仏を唱える僧侶の修行です。これが江戸時代には庶民の間にもひろまったようです。
 これを調査した岡本知彦氏の「寒の坊―民衆の手になる観音風寒念仏塔」(注)によると、この地方の寒の坊19基のうち14基が小海町に残っています。
(注)岡本知彦著「寒の坊―民衆の手になる観音風寒念仏塔」『日本の石仏』№95、2000年、日本石仏協会


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