群馬県みなかみ町湯宿温泉・閻魔王(えんまおう)
湯宿温泉には薬師堂があり、温泉宿の王滝屋は薬師の湯とされています。これとは別に温泉の裏山に薬師堂があります。王滝屋の脇の「聖徳皇太子」「二十二夜塔/二十三夜塔」の立つところが入口で、かつては温泉客の遊歩道として整備されていた道です。
薬師堂まではかつての道が残っています。その先、渓谷にかかる橋から先は荒れてしまいました。その道をさらに登ると閻魔王と庚申塔が並んでいました。
閻魔は両手で笏を持つ堂々とした姿。庚申塔は六手ショケラ(裸婦)を持ち、台座に二鶏三猿が刻されています。
閻魔王はこのブログのみなかみ町羽場・広福寺で案内しました。群馬の沼田やみなかみなどの奥利根地方には、閻魔ばかりでなく奪衣婆や十王など地獄の石造物多い土地柄です。どうしてこの地方に多いのかはわかりません。『沼田の石仏』(注)には「民衆の堕地獄の恐怖からのがれるための切なる願いの生前供養であろうか」とあります。ちなみに沼田市の閻魔の最古は延宝四年(1673)で、幕末まで年代不明のものを含め26基。奪衣婆は元禄二年(1689)を初めてして35基造立されています。近世をとおして閻魔・奪衣婆と信仰を祀ってきたようです。
(注)『沼田の石仏』平成4年、沼田市
(地図は国土地理院ホームページより)