群馬県みなかみ町相俣宿・海円寺の庚申層塔(こうしんそうとう)
海円寺の境内入口に石造物が並んでいます。
如意輪観音が二基、子安観音、庚申塔、地蔵、庚申層塔などです。ここではそのなかで珍しい庚申層塔の案内。
庚申塔の主尊は近世初頭に仏菩薩から青面金剛に変わってきたことはよく知られています。形も板碑型から自然石までさまざまで、石塔型式もいろいろです。平野実氏の『庚申信仰』(注)には正保三年(1646)の五輪塔、寛永三年(1626)の宝篋印塔、寛永三年の宝篋印塔、承応三年(1654)の層塔、寛文元年(1661)の石燈籠の庚申塔が紹介されています。なかでも庚申層塔はさまざまな庚申塔が残る関東でも少なく、群馬県の北部地方に多く造立されたことが知られています。
海円寺の層塔の塔身は珍しい四重(層塔は塔身は奇数が基本)で、一番下の塔身に蓮華、次に合掌した両手を頭上にかかげる二猿、次は二鶏、一番上に日輪月輪が見られます。群馬県北部の庚申層塔はこの配置が一般的で、みなかみ町須川の秦寧寺の庚申層塔は台座に蓮華、次に合掌二猿、次は風化が進んでいますが二鶏、日月輪のように見えます。
(注)平野実著『庚申信仰』昭和44、角川選書
(地図は国土地理院ホームページより)