里山の石神端書114 小海町小海・宿渡愛宕神社の木鼻と海老虹染
愛宕神社を勧請した所には二つの傾向があります。一つは集落の西の山に祀り、二つは神社へは急な石段が続く。これに勝軍地蔵が祀られていれば、本山である京都の愛宕神社と同じ形式になります。
小海の愛宕神社も二つの傾向が当てはまりますが、御本尊は社殿が施錠されていて確認できませんでしたので、木鼻と海老虹梁の動物を案内します。
木鼻(きばな)は寺社本殿の貫(ぬき)が柱より出ているところで、寺社建築では向拝正面と同じように重要な装飾部分ですから、ここに獅子や象の彫刻がよく見られます。海老虹梁(えびこうりょう)は本殿と向拝を繋ぐ海老のように曲がった梁(はり)で、簡単に曲がった木ですませるところが多いようです。
小海の愛宕神社の木鼻を見ると、獅子と象がついています。装飾物には程遠いデフォルメというか、余計なものをそぎ落とした素朴な獅子と象になっています。すごいのは木の年輪をうまく利用していて味のある獅子と象になっているところです。
海老虹梁は龍です。こちらも余計なものはありません。足の爪と鬚が大きいため表情がよくわかりませんが、阿吽になっているのがすごいところです。普通の大工が一生懸命造ったという龍です。