里山の石神端書69 栃木県茂木町千本・長安寺の宝篋印塔
中世から近世にかけて千本を支配した那須氏の一族千本氏の菩提寺が長安寺です。墓地の一角に千本氏の墓所があり墓石が並んでいます。
千本氏の累代の墓石のなかに宝篋印塔型が二基あります。宝篋印塔造立の目的は宝篋印陀羅尼経を納めるためでした。これにより罪が消滅し、災害から逃れ、極楽に往生できるというありがたい石塔です。造られはじめたのが鎌倉時代。関東で古い宝篋印塔は神奈川県箱根にある永仁四年(1296)が知られています。これより古いとされているのが茨城県の宝篋山山頂にあるものです。
これが江戸時代になると武家の墓石として流行ります。同時に形が変形し、とくに隅飾りがどんどん大きくなっていきます。相輪の装飾も華美になって太く大きくなります。千本氏墓所の二基もそのような宝筐印塔型の墓石です。
<茨城・宝篋山の宝篋印塔>
(地図は国土地理院ホームページより)