偏平足

里山の石神・石仏探訪

霊神碑 栃木県市貝町

2022年05月28日 | 里山石神端書

里山の石神端書70 栃木県市貝町田野辺・御嶽神社の霊神碑

 茂木町千本の西隣、市貝町の田野辺に木曽御嶽を勧請した小さな山があり山頂に御嶽神社が建っています。


 大きな拝殿と祭殿からなる立派な造りですが、だいぶ荒れています。それでも新しい神垂(しで)を付けた三柱の幣串(へいぐし)が立ててありますから、信仰は続いているようです。この三柱は木曽御嶽の三座神、御嶽座王権現・八海山大頭羅神王・三笠山刀利天宮を祀っているはずです。
 境内の隅に「真徳霊神」の石碑が立っています。その脇にある神徳の功績を記した石碑には、本名・長野藤太は御嶽の神への尊敬が篤く明治3年に講に入り、4年に下総結城の中里稜雲に従事して修行、7年には木曽御嶽に奉祀、8年中教正に昇進したことが記されています。この後に布教活動をして市貝町に御嶽山を勧請したようです。明治27年に「真徳霊神」の号を贈られたのを記念しての霊神碑造立となったとも記されています。

 霊神碑を建てた人は大講義、小教正などの肩書があり、別の倒れて砕けてしまった霊神碑の台座には、権大講義、権少講義、教師試補銘があります。
 これらの肩書は、明治初期に明治政府が神道国家を目指す目的で、国民の敬神思想を宣教するために設置した教導職の宗教官史でした。しかしうまく機能しなかったため明治17年廃止しています。それでも教派神道関係ではこの肩書を使用してきたところもあったようです。ちなみに真徳霊神の中教正は教導職14階級のうち、上から3番目でした。
(地図は国土地理院ホームページより)


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