栃木県那須塩原市百村・光徳寺の石橋供養塔
光徳寺は曹洞宗の寺。山門手前に禅宗の寺によく見かける「不許禁酒入山門」銘の結界石が立っています。酒を飲んだ人の境内立ち入りを禁止する意味です。結界石には葷酒(臭いの強い野菜や酒)銘の「禁許葷酒」もあります。
結界石の側面に「石橋供養塔」銘が立っています。裏側に「相対成橋両岩石渡」で始まる造立の目的が記されている、明和三丙戌(1766)の石橋供養塔です。
全国の石橋供養塔を調査している南川光一氏(注)は、石橋供養塔の造立者として念仏や庚申の講中が多いことを指摘しています。念仏や庚申の集まりは夜、儀礼のあとは飲食しながらの談義。このなかでいろいろな話のなか、作場道の整備や橋架け、橋架け替えなども話し合われたことが想像できます。
それにしても結界石と一緒にした石橋供養塔、どちらが先なのか、一緒なのか、寺が関係していたのか、石塔からはわかりません。
石橋供養塔の裏の石祠内には「奉講白山妙理大権現」の木札があり、四体の木彫神像が祀られています。頭部があるのは二体だけ。そのなかの後方にある女神が加賀白山の祭神白山妙理大権現のようです。
(注)南川光一著「データベースからみた石橋供養塔-武蔵国を中心に-」日本の石仏№165
(地図は国土地理院ホームページより)