神奈川県厚木市飯山・龍蔵神社の地蔵
坂東札所第六番飯山観音の入口左手にあるのが龍蔵神社。神社の案内によると祭神は級長津彦(しなつひこ)命、級長戸辺(しなとべ)命、風の神です。
『新編相模国風土記稿』に、龍蔵神社の「本尊は石一顆を神體とす、本地弥彌陀薬師十一面」とあり、別当は本山修験の龍蔵院と記されています。また神社の案内では「神亀二丑年(725)僧行基勧請すると云伝えられる。古昔は井山神社龍蔵大権現と称した」とあります。
平安時代から仏教が別当(神宮寺)を設けて神社を支配する神仏習合は江戸時代まで続きました。しかし明治維新の神仏判然令で解体されたのを機に、寺と神社はわけられ廃仏毀釈にまで暴走し、寺院・仏像の廃棄にまで進んで神社から仏教色は一掃されました。ただこれには地域差があり、今も神社に鐘楼や石仏が残る光景をよく見かけ、龍蔵神社もその一つです。
龍蔵神社境内の隅に4体の石仏が残されていました。首の無い坐像、風化がひどい菩薩、合掌の地蔵、首の無い立像です。それに秋葉山燈籠も。このなかに龍蔵神社の本尊だった石仏はあるのでしょうか。首の無い坐像について、厚木市の文化財案内に「文明6年(1474)造立。背部の刻銘によると、この像は飯山寺に置かれたもの」とありました。室町時代中期の貴重な石仏です。中世から近世にかけての石造物はその土地の歴史を刻んだ文化財です。
(地図は国土地理院ホームページより)