長柄町水上川流域の刑部・八重垣神社の龍頭(木彫)
長柄町は千葉県の中央部の街。一宮川の支流水上川流域を訪ねました。
初めに向かったのは八重垣神社。入口の案内に「元応2年(1320)村人たちは月川の神輿山に祠を建て、スサノオノ命をまつり氏神としたという。安永7年(1778)現在地に社殿を新築して移り、刑部天王宮と称し、刑部・立鳥・鴇谷三か村の鎮守となった。(略)明治元年八重垣刑部神社と改め、刑部一村の鎮守となった」とありました。
天王宮の祭神は牛頭天王で、京都祇園・八坂神社の祭神。牛頭天王はインドの祇園精舎の守護神。これがこの国では疫病除けの神・スサノオノ命の垂迹として祀られてきました。これが明治維新の廃仏毀釈で仏教系の牛頭天王はスサノオノ命になりますが、八重垣神社の祭神の変化をみると、この国の祭神名変遷の様子が良くわかります。
それから案内にある月川の神輿山ですが、ここには牛頭天王を祀る新宮神社があります。境内には「木彫伝牛頭天王」と案内があり、『長柄町史』(注)によると、ここには高さ215センチの木彫神像が祀られていることが記されています。
その八重垣神社の幅の広い長い石段を登ると、広い境内に狛犬がポツンと座っていました。
他には石燈籠と手水石。何かないかと見つけたのが、木の切り株を細工した龍頭。玉を持つ大きな龍が彫られていました。少し離れて龍の尻尾もありました。この地には細工に長けた人がいるらしく、馬の木彫も立っていました。
(注)『長柄町史』昭和52年、長柄町役場
(地図は国土地理院ホームページより)