1960 年代の放射能汚染はもっとひどかったと聞くけど?
1950 年代以降、米国やソ連が核爆弾をたくさん作り、実験のために大気圏内でどんどん爆発させた。 そのために大量の放射性物質が世界中にばらまかれ、日本にも降ってきた(他にも放射線や放射性物質に関わるさまざまな害が生じたが、ここではそこまでは話を広げないことにしよう)。
「1960 年代の放射性物質での汚染は、今回の福島の事故での汚染よりずっとひどかった」という話をする人がたまにいる。 だから心配はいらないというわけだ。 いろいろな人から聞くので、それなりに広まっているみたいだ。
しかし、残念ながら、この説はまったく正しくない。ただの勘違いだと思う。
たとえば東京でどうだったか? データを比べると、核爆発実験の時代に何年もかけて降り注いだのと同じくらいの量の放射性セシウムが、今回はほとんど一日で(!)降り注いだことがわかる。総量は同じくらい。だから「一日分」の量はすごく多いということになる
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6f/8d/d89ce8c6acccedd50ddbc6b46003fe2f.jpg)
核爆発実験の時代、もっとも放射性物質の降下が多かったのは 1963 年 6 月。東京で、1 ヶ月のあいだにセシウム 137 が 550 Bq/m2 降り注いだそうだ。 さらに、1963 年の 1 年間での降下量は約 1900 Bq/m2である。 核爆発実験が盛んだった 1964 年までの総計は約 5600 Bq/m2であり、その後の降下量はずっと少なくなる。 核爆発実験の時代から 2005 年までの 50 年ほどの降下量すべてを足しあわせるとおおよそ 7600 Bq/m2くらいだ(放射性セシウムは崩壊していくし、そもそも流されたり飛ばされたりするから、これだけの量が残っているわけではない。これは参照のために単に足しあわせただけの数値)。
今回はどうだったか? 文部科学省が測定して公表したデータをみてみよう。
東京に雨が降った 3 月 21 日の新宿でのセシウム 137 の降下量は 5300 Bq/m2。 上のデータと単位をそろえてあることに注意してほしい。 つまり、最悪だった 1963 年 6 月に 1 ヶ月かけて降り注いだ量のほぼ 10 倍が 1 日で降ってしまったのだ! 少なくとも 1 日あたりの降下量ということで考えれば、前代未聞だし、核爆発実験の時代よりも桁違いに多いのである。
核爆発実験の時代には放射性物質が毎日のように(ほぼ)一定の割合で降り注ぎ続いたわけだが、今回はそれとは大きくちがう。 やはり文部科学省によると、3 月の新宿でのセシウム 137 の総降下量は 8100 Bq/m2である。 つまり、半分以上が 21 日にまとめて降ってきたということになる。 また、セシウム 134 もほぼ同じくらい降り注いでいて、3 月の総降下量は 8500 Bq/m2である(核爆発実験の際にはセシウム 134 は出ない。解説「セシウム 137 とセシウム 134」を参照)。
この 8100 Bq/m2というセシウム 137 の降下量は、上に書いた約 50 年の総計の 7600 Bq/m2とほぼ同量である。 やはり今回の降下量はすごく多かったことがわかる。 右上のグラフに 2011 年を付け加えると、今のグラフの範囲の 4 倍以上のところまで突き出てしまうのだ。 上でも触れた気象研究所の「環境における人工放射能の研究 2011」の表紙のページにそのようなグラフ(上にも書いたようにこのグラフの縦軸は対数プロットなので注意)がある)
また、以前も紹介しましたが、CTBT担当官の分析
今回の高崎の137Cs 濃度は,1966 年の大気核実験時の3500 倍,そしてチェルノブイリ事故時の84 倍高い
では、地球全体で見ればどうなるか。
放射能で汚された今、なすべきこと 京都大学原子炉実験所 小出裕章氏講演 2013/06/23 福島
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/21/7b12856cc8cbf815474149c94bce5742.jpg)
私自身は、重量換算から考えて、公式漏えい量の10~100倍の放射能が漏えいしたと考えておりますので、だとすると、だいたい大気圏核実験総量にほぼ等しい放射能が漏えいした可能性があります。(核兵器では、セシウム134は存在しませんので、おなじウランの量だと原発の方がはるかに汚い爆弾となります)
未だかつてない放射能を漏えいし続けるフクシマ。今後一体どうなるのか。正確に予想できる人は誰もいません。過去の経験-チェルノブイリ-をみて、類推するしかありません。チェルノブイリの状況を加良部て、何がどうなったか、ソ連はどのように対処したか。それを見て、各人が判断して行動する。誰かの助言を鵜呑みにしてはなりません。
1950 年代以降、米国やソ連が核爆弾をたくさん作り、実験のために大気圏内でどんどん爆発させた。 そのために大量の放射性物質が世界中にばらまかれ、日本にも降ってきた(他にも放射線や放射性物質に関わるさまざまな害が生じたが、ここではそこまでは話を広げないことにしよう)。
「1960 年代の放射性物質での汚染は、今回の福島の事故での汚染よりずっとひどかった」という話をする人がたまにいる。 だから心配はいらないというわけだ。 いろいろな人から聞くので、それなりに広まっているみたいだ。
しかし、残念ながら、この説はまったく正しくない。ただの勘違いだと思う。
たとえば東京でどうだったか? データを比べると、核爆発実験の時代に何年もかけて降り注いだのと同じくらいの量の放射性セシウムが、今回はほとんど一日で(!)降り注いだことがわかる。総量は同じくらい。だから「一日分」の量はすごく多いということになる
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6f/8d/d89ce8c6acccedd50ddbc6b46003fe2f.jpg)
核爆発実験の時代、もっとも放射性物質の降下が多かったのは 1963 年 6 月。東京で、1 ヶ月のあいだにセシウム 137 が 550 Bq/m2 降り注いだそうだ。 さらに、1963 年の 1 年間での降下量は約 1900 Bq/m2である。 核爆発実験が盛んだった 1964 年までの総計は約 5600 Bq/m2であり、その後の降下量はずっと少なくなる。 核爆発実験の時代から 2005 年までの 50 年ほどの降下量すべてを足しあわせるとおおよそ 7600 Bq/m2くらいだ(放射性セシウムは崩壊していくし、そもそも流されたり飛ばされたりするから、これだけの量が残っているわけではない。これは参照のために単に足しあわせただけの数値)。
今回はどうだったか? 文部科学省が測定して公表したデータをみてみよう。
東京に雨が降った 3 月 21 日の新宿でのセシウム 137 の降下量は 5300 Bq/m2。 上のデータと単位をそろえてあることに注意してほしい。 つまり、最悪だった 1963 年 6 月に 1 ヶ月かけて降り注いだ量のほぼ 10 倍が 1 日で降ってしまったのだ! 少なくとも 1 日あたりの降下量ということで考えれば、前代未聞だし、核爆発実験の時代よりも桁違いに多いのである。
核爆発実験の時代には放射性物質が毎日のように(ほぼ)一定の割合で降り注ぎ続いたわけだが、今回はそれとは大きくちがう。 やはり文部科学省によると、3 月の新宿でのセシウム 137 の総降下量は 8100 Bq/m2である。 つまり、半分以上が 21 日にまとめて降ってきたということになる。 また、セシウム 134 もほぼ同じくらい降り注いでいて、3 月の総降下量は 8500 Bq/m2である(核爆発実験の際にはセシウム 134 は出ない。解説「セシウム 137 とセシウム 134」を参照)。
この 8100 Bq/m2というセシウム 137 の降下量は、上に書いた約 50 年の総計の 7600 Bq/m2とほぼ同量である。 やはり今回の降下量はすごく多かったことがわかる。 右上のグラフに 2011 年を付け加えると、今のグラフの範囲の 4 倍以上のところまで突き出てしまうのだ。 上でも触れた気象研究所の「環境における人工放射能の研究 2011」の表紙のページにそのようなグラフ(上にも書いたようにこのグラフの縦軸は対数プロットなので注意)がある)
また、以前も紹介しましたが、CTBT担当官の分析
今回の高崎の137Cs 濃度は,1966 年の大気核実験時の3500 倍,そしてチェルノブイリ事故時の84 倍高い
では、地球全体で見ればどうなるか。
放射能で汚された今、なすべきこと 京都大学原子炉実験所 小出裕章氏講演 2013/06/23 福島
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/21/7b12856cc8cbf815474149c94bce5742.jpg)
私自身は、重量換算から考えて、公式漏えい量の10~100倍の放射能が漏えいしたと考えておりますので、だとすると、だいたい大気圏核実験総量にほぼ等しい放射能が漏えいした可能性があります。(核兵器では、セシウム134は存在しませんので、おなじウランの量だと原発の方がはるかに汚い爆弾となります)
未だかつてない放射能を漏えいし続けるフクシマ。今後一体どうなるのか。正確に予想できる人は誰もいません。過去の経験-チェルノブイリ-をみて、類推するしかありません。チェルノブイリの状況を加良部て、何がどうなったか、ソ連はどのように対処したか。それを見て、各人が判断して行動する。誰かの助言を鵜呑みにしてはなりません。
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