福島県 子どもの甲状腺追加検査 受け付けない病院が多数〈AERA〉
dot. 11月13日(水)16時3分配信
東京電力福島第一原発の事故で、子どもたちは甲状腺がんの発症リスクを負った。県の検査に不信感を抱く親子は追加検査に走るが、受け入れる病院は少ない。
福島県は2011年10月、子どもたちの甲状腺検査を始めた。原発事故による健康被害を調べるためだ。対象年齢は東日本大震災が起きた11年3月11日時点で、0~18歳の県民。
県は甲状腺検査を福島県立医科大学に委託している。ただ、親たちの県や県立医大に対する不信感は大きく、民間による独自検査の増加につながっている。その不信感の根っこをつくったのは、5月まで県民健康管理調査検討委員会の座長を務めていた県立医大の山下俊一副学長(非常勤)だ。
山下氏が福島第一原発事故の直後、講演会などで話した「放射線の影響は、実はニコニコ笑ってる人には来ません」といった発言に、県民は疑問を抱く。昨年1月には、日本甲状腺学会の会員医師たちに「保護者から相談があっても(甲状腺の)追加検査は必要ないと説明してほしい」と要請する文書を送っていたことが明らかになり、決定的な溝となった。
実際、県民が追加検査を望んでも、受け付けない病院がほとんど。甲状腺検査ができる郡山市近辺の10以上の病院へ問い合わせたが、受け付けると答えた病院はなかった。
「原発絡みとなると県の事業なので、こちらではやっていない」(太田西ノ内病院)
「県民健康センターから委託されているので、そちらの紹介があれば検査を受けられるが、それ以外の人は受け付けていない」(星総合病院)
放射線被曝の診療を目的に、昨年12月に設立されたふくしま共同診療所(福島市)の松江寛人院長は言う。
「甲状腺検査を受けられる病院は、この近辺だと3カ所ぐらいしかない。県内の開業医は県立医大出身者が多い。山下氏の文書で医師会に圧力がかかったとしても不思議ではありません」
共同診療所を訪れる9割は、甲状腺検査の希望者だ。開業以来およそ500人が検査を受けたが、松江氏は、
「追加検査を受けたい人がたくさんいるのに、そもそも県立医大だけが検査を行うことに疑問を感じている」
ジャーナリスト・桐島瞬
※AERA 2013年11月18日号より抜粋
悪性のこどもはすでに手術で回復?
甲状腺がんが手術すれば終わりですか?
事実を報道して欲しい。
健康被害に対する過小評価の刷り込みだ!
甲状腺の摘出後の後遺症と甲状腺ホルモン剤の服用
甲状腺の役割や働き・機能でも述べたように、甲状腺は人間の生命維持に欠かせない臓器ですが、甲状腺がんやバセドウ病など甲状腺の病気になった時に、甲状腺の摘出手術を受けることがあります。
チェルノブイリ原発事故により、原発周辺の住人に甲状腺がんの患者が増えました。東日本大震災の福島原発事故の際には、チェルノブイリ事故により甲状腺がんになり、甲状腺の摘出手術を受けた子どもたちの痛々しい姿が映し出されました。
実際に日本でも10年後、20年後に甲状腺がん患者が増える可能性があると言われていますが、甲状腺を摘出するとどうなるのでしょうか。
甲状腺の摘出方法
1. 甲状腺葉切除・・・甲状腺の片方の葉を切除する
2. 甲状腺亜全摘術・・・甲状腺の3分の2を切除する
3. 甲状腺準全摘術・・・甲状腺組織をわずかに残す
4. 甲状腺全摘術・・・甲状腺を全て摘出する
甲状腺がんで甲状腺を摘出する場合には、がんの種類や大きさ、進行度などによってこの4つの方法のうちいずれかが選択されます。
バセドウ病とは、甲状腺ホルモンが過剰分泌されてしまう病気で、ホルモン分泌を抑えるために甲状腺の摘出手術が行われる場合があります。バセドウ病の治療の場合には、甲状腺亜全摘術が行われることが多いようです。
甲状腺摘出による後遺症
甲状腺は代謝に大きく関わってくる部分ですので、甲状腺を切除し甲状腺ホルモンの分泌量が減ることで、以下の症状が出ることがあります。
肥満になる
爪や髪などの成長が遅れる
汗をかきにくくなる
便秘になりやすくなる
声がでにくい、声がれ
甲状腺の片葉切除であれば、甲状腺ホルモンは今までと同じように分泌されますが、全摘や準全摘の場合には、後遺症が発生する可能性が高くなります。
甲状腺全摘後の甲状腺ホルモン剤
甲状腺を全摘した場合には、甲状腺ホルモン剤を服用する必要があります。
甲状腺は片葉の3分の1ほどが残っていれば、ホルモンの分泌がほぼ正常に行われますが、全摘してしまった場合には、全くホルモンが分泌されなくなるため、甲状腺ホルモン剤を生涯服用し続けなければなりません。
また、遺伝性のがんである甲状腺髄様がんは、RET遺伝子に変異があり、遺伝性があると診断された場合は、将来的にをほぼ100パーセント髄様がんを発症するため、甲状腺を全摘するのが一般的で、この場合も生涯ホルモン剤が欠かせなくなります。