ブログの更新が開いてしまいました。
現在、美容室管理システムの分析業務の基本設計を行っています。
今回はそれらの基本データを生成する集計処理に関係する日次集計と月次更新についてご紹介します。
業務システムには集計処理、更新処理というものが存在します。
これらは何のために存在し、何を行っているのでしょうか。
1.日々発生するデータ
以下のような業務毎に伝票入力を行い、データを生成し保存しています。
受注、製造計画・指示、発注、入荷、仕入、原材料投入、完成(製品・中間品)と引落、
出荷指示、売上、支払、入金・・・
これらのデータは基本的に時系列に沿って整合性を維持しています。
2.一般的な集計・更新の仕組み
現在のシステムではコンピュータの容量が許す限り、それらのデータを保存していることが
多いと思います。
但し集計処理においては、導入してから現在までの全てのデータを対象として毎回集計する
ことはまずありません。
<集計の例>
・今月の請求書を作成する。
・今月の売掛金、買掛金の集計を行い、残高を算出する。
・今月の原材料の在庫の評価計算を行い、残高を算出する。
・今月の製品・中間品または製番に対する生産と原価(原材料、人件費、外注費、経費)の
集計を行い、実績を算出する。
etc
これらの集計は、前月(または最終確定された日付)の残高および累計値を基点とし、本日
までの発生データを集計し、本日の残高等を算出しています。
一般的には月次更新処理にて当該月を指定しデータを確定します。
☞ 確定された日付以前のデータは、数字が締まっているので修正・削除はできません。
このような仕組みが存在しないシステムでは以下のようなトラブルが発生します。
・請求書を作成し顧客に送付したが、担当者が売上伝票を勝手に修正(または削除)したた
め請求残に違算が発生した。
・月報を作成し会議資料として提出したが、担当者が売上伝票を勝手に修正(または削除)
したため次回の会議まで実績値が変わっていることに誰も気が付かなかった。(前回の会
議で決定した対策も一月遅れで変更を余儀なくされた。)
etc
➢ 仮に担当者が修正(または削除)したことが正しい情報によるものであっても、一旦集計し
外部(および内部)へ提出などした後に、それらのデータを誰でもが修正(または削除)でき
ることに問題があります。
3.正しい仕組みと流れ
1.担当者にて、該当の伝票を修正(または削除)するため伝票を呼び出す。
2.登録ボタンをクリックする。
3.以下メッセージが表示される。
「指定の伝票は既に請求処理が完了しています。
修正はできません。
必要ならば管理部門に連絡してください。」
4.担当者から管理部門に連絡する。
「顧客からの依頼で、売上を追加して請求書を再発行してほしい。」
5.管理部門での作業
・当該請求先に対して、XX月XX日締めの請求処理を一旦解除する。
・当該伝票を呼び出し、売上明細を追加し登録する。
・当該請求先に対して、XX月XX日締めの請求処理を実行し請求書を発行する。
6.管理部から担当者へ連絡する。
・「XX月XX日付で請求書を再発行し送付しました。」
☞ システムにこれらの仕組みが存在すれば、上記が会社のルールとして定着していきます。
仕組みがなければ、マニュアルなどに注意事項として記載されたあくまでも運用でのルール
として各社員が守ることに期待することとなります。
自社の基幹システムで、以下はどのような状態なのか精査してみることも必要と思います。
①仕組みとしてルールが実装されているもの
②運用でのルール
・マニュアルまたはドキュメントにあらかじめ記載されているもの
・トラブルが発生してから、新たに追記したもの
4.サンプル (Profit美容室管理システム)
4.1.最終日次締と、最終月次締の管理
・最終日次締 : 直近の日次集計にて指定した日付
・集計対象の期間は、最終月次締の翌日から指定した日付までのデータ
・最終月次締 : 最終確定された日付
・この日付以前のデータは修正・削除はできません。
4.2.日次集計の指定画面
集計内容
・日別の集計 : 総売上、総来店数、(左記の顧客・新規別)、施術別の売上・件数
・月別の集計 : (同上)
注)日次集計ではデータの確定は行いません。(あくまでも集計のみ)
4.3.月次仮締と月次更新
1)月次仮締
処理内容
・最終月次締の翌月の日付が画面に表示されます。
・翌月までのデータを確定することを宣言します。
・実行すると、上記下線の日付までのデータを修正・削除することはできなくなります。
(仮締めを解除することで修正・削除は可能になります。)
※月次更新を実行するためには、まず宣言処理を実施します。
2)月次更新
処理内容
・宣言処理にて指定した日付が画面に表示されます。
・実行すると、
1)日次集計処理が実行されます。
2)画面の日付までのデータは確定として締め切られます。
・取消することで、一月前の状態に戻すことができます。
4.4.集計されたデータの閲覧 (数値は架空のものです。)
1)月報
2)売上推移
3)施術別の推移
4)予実対比
5.補足
高性能なコンピュータでもデータ量の増加とともにレスポンスは低下していきます。
必要とする出力情報に対し、いかに効率良くデータを集計し確定していくか且つ簡単な操作
方法で実行できるか、データの不整合が出来ない仕組みが実装されているか等々、一つの
参考になれば幸いです。
以上です。