先月末、仕事終わりに動物行動学の勉強会(日本獣医生命科学大学の入交先生)に行ってきました。
会場が渋谷…
普段はまず行かない場所&診察後に行ったため、当然開始時刻の19時半には間に合わず…。
でも、後半の認知症(認知機能不全症候群)の講義には間に合いました。
認知症は、人と同様、高齢の犬や猫にも関りのある病気です。
人も動物も、昔より医療が発達し、寿命がのびてきております。
犬では、11-12歳の犬の28%、15-16歳の犬の約68%が1つ以上の認知機能障害がある…
猫では、11~14歳の猫の30%、15歳以上の猫の約50%に同様の兆候がある
という論文があるそうです。けっこう多いっ
認知症は、いわゆる正常な「老い」とは違い、立派な病気です。
脳が急激に委縮し、脳室が拡大し、神経細胞の数がどんどん減っていく病気です。
どんな症状があるのか?というと、
見当識障害…迷子、ドアの開く側がわからない
相互反応変化…いつもやっていた事が出来ない。お父さんを認識できず唸るなど
睡眠、行動の変化…夜泣き、徘徊
トイレトレーニングを忘れる…トイレに行くことを忘れる。トイレがわからなくなる。
活動性の変化…鬱。ずっと動き続ける。
など、人と似てますね。
治療法はあるのか???
残念ながら、多少の改善はありますが、完治はできません。進行を緩めて、互いのQOL(生活の質)を高めることを目標にします。
治療法は、大きく4つに分けられます。
環境修正・・・動物にやさしい環境をつくる! 例としては、トイレを行きやすくする、足元に滑りどめマットをひく、家具の大移動は控える など
行動修正…ストレスのない環境を作ってあげて、脳に刺激を与える
犬を叱らない、適度な運動、頭を使わせる遊び(穴を空けたカプセルの中にご飯を入れて、遊ばせながらご褒美を与える…など)、頻繁にトイレに行かせてあげる(人の場合も、事あるごとにトイレに行こうと声をかけるそうです)
栄養療法…脳は酸化物質であるフリーラジカルに弱いっ
DHA(ドコサヒキサ・・・)、EPA(エイコタペンタ・・・)や抗酸化物質を多く含んだサプリを与える。
⇒市販の食事では、Hill’sのPRO健康ガードの「脳」という製品には、色々な栄養素が詰まっているのでお勧めです。
むかし同メーカーで、動物病院でのみ扱っていたb/dという製品があったのですが、その復刻版だそうです。
薬物療法
いくつかのエビデンスのある薬が出てきているようですので、興味のある方は、サプリと一緒に試しても良いと思います。
また、人用の漢方(抑肝散)を動物に使用することもあるそうです。
認知症はごく初期に見つかれば、その進行をより緩やかにすることができます。
かなり進行した状態になると、人も動物もお互いに、ストレスを感じるような状況が生まれます。
普段から、今まででは起こらなかった何気ない変化に気づくことで、人と動物たちのQOLをより高めることができると思います。
動物をその命のある限り、最期の瞬間まで看てあげることは大切ですが、ご自分だけで背負ってしまうと、大変ですよね。
「この頃年とったかな~」と感じたら、まずはスタッフにお声掛けくださいネ。