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法林寺の大銀杏と二つの門

2023年12月08日 | ぼくのとうかつヒストリア


法林寺( 柏市、真言宗)の大銀杏を見てきました。市内で一番という銀杏です。樹齢は約500年、樹高は約30メートルと言われます。
遠くからでも見える立派な銀杏で見事に黄葉していました。さすが大銀杏ですが、魚眼レンズで難なく1枚に納まりました。その代わり、本堂や周辺は歪みます。(11月末日撮影)

法林寺山門から(境内は若干低くなっています。)

言い伝えでは、南北朝の頃、托鉢の旅の尼僧が寺に一泊させてもらったお礼にと銀杏の種を譲り、それが大きく育ったものとか。その後、飢饉の折に銀杏の実を食べて村人が飢えをしのいだとも。
当時は見通しがよく今よりも高く見え、よいランドマークだったことでしょう。(柏市指定文化財[天然記念物])




さて、上は法林寺の脇門です。近在の方はこの門を使って墓地に詣でるようです。
この門は、かつて、この地方の役所だった藤心(ふじごころ)陣屋(代官所)の中門(通称、苦抜門)でした。廃藩後、代官所の廃止に伴い、個人宅に移築、その後、ここに再移築されたものです。



ちなみに、藤心陣屋の表門は観音寺に山門として移築されています(上)。
一方、藤心の陣屋は現状は畑で、本体が無き後は道端に石碑と説明板があるのみです。一帯が陣屋の敷地だったのですが面影はありません(下)。


藤心陣屋跡(2023/11/30撮影)


この移築された二つの門については以前から大銀杏以上に興味がありました。なぜ、移築したのか、出来たのか、という疑問です。また、その門がふたつとも寺院にあるのはなぜでしょう。

少し調べてみると、このような事例は他にもあるようです。
明治になり、無用の長物となった江戸時代の城郭や屋敷等は新政府の資金調達のために払下げられたのです。

おそらく、藤心代官所も同様に入札、払い下げられたと考えられます。資金力のある有力者や寺院が買い取り、屋敷の門や山門として納まったのではないかと推測できます。

売却、移築されたが故に、部分的であっても、今も江戸時代の姿を目にすることができる、ということになるのでしょうか。激動の時代を奇跡的に潜り抜けてきた文化財と言うこともできます。まさに門に歴史あり…
しかしながら、藤心陣屋の経緯については文献をあたったわけではないのであくまでも個人的な想像にとどまります。

Pentax Q7 / 02 Standard Zoom 5mm-15mm F2.8-4.5 (23.0-69.0mm),
03 Fish-Eye 3.2mm F5.6 (16.5mm)
Nikon Z 6 / NIKKOR Z 24-70mm f/4 S*

(参考文献など)
(1)柏市教育委員会社会教育課柏のむかしばなし編集委員会編『柏のむかしばなし』(ふるさとシリーズ その1)柏市教育委員会、1985年3月刊.
(2)法林寺の大いちょう(柏市:柏のむかしばなし)
(3)流山市立博物館友の会事務局『楽しい東葛寺社事典』(東葛流山研究第34号)2016年3月刊.

2023/12/18 山門の写真を追加し、参考サイト(2)を追加、挿入しました。



法林寺とは無関係ですが、前回、前々回の小金牧に因んで馬の音楽を。と、思ったのですが、さすがのハイドンにも「馬」はなく(車大工の家に生まれたのに…)、お馬さんに疎い私はこの曲しか思い浮かびませんでした(笑)。

スッペ:軽騎兵序曲
Franz von Suppé - Leichte Kavallerie - Franz Welser-Möst