祭りの前

デパートで時間に余裕があるときは、呉服売り場を一回りすることが多くなった。
綺麗な布地を眺めるだけでも楽しい。

今の時期は、浴衣がズラリとならんでいる。

掘り出し物がないだろうかと、帯締めや帯揚げが安売りされているワゴンを覗いていたら、高校生らしき男の子二人組が、楽しそうに甚平を選んでいた。


来週は夏祭りだから、その時に着ようと思っているのかもしれない。


一人が、試着室から紺系の甚平を着て出てきた。

「おぉ、似合うよ！サッカー部って感じがするよ」

買い物につきあっているふうのほうの子が感想を述べる。
ハハハ(笑)
確かに、サッカー部のトランクスと同じくらいの丈だもんね。いや、そんなことないか。
腰履きするからか…(笑)

「サイズはこんなもんなのかなあ？よくわかんないや。どーです？」


近くに店員さんがいるのに、試着しているほうが、鏡の前で手を腰にあてながらアタシに向かって訊くので、『いいんじゃない？』とグーサイン。


するとこんどは、白地のものに着替えて出てきてポーズ。

「さっきのとどっちがいいかなあ？」


白地はチンピラ兄ちゃん風に見えたので、『さっきのほうがいい』とアドバイス。

「そっかー。じゃあ、あっちの斬新なほうにするか。」

いや、斬新とは思わないけど。
むしろ、甚平としてはオーソドックスな色合い。

だけど、普段はきっと白いＴシャツばかり着ている彼には、かえって斬新にみえたのね。

来週が楽しみだね。


そのあと、ちょうどやっていた沖縄物産展へ。

沖縄の伝統的織物であるため息ものの宮古上布や芭蕉布を見せてもらって、すごく楽しかった。