尊敬する大家さんが亡くなりました。
御年92歳。
「死ぬまで現役」を目標にされていた大家さん。
そのお言葉通り、体調不良で入院する直前までお仕事をされていて
入院後、たった1週間で旅立たれました。
知人が言いました。
「最期までお一人でやり遂げて、立派な方だったね」
うちの夫も言いました。
「ご家族にとっては、これ以上ない亡くなり方なのでは?」
自分の父親が長い介護状態の末亡くなったので
この感想なのだと思います。
お通夜に参列しました。
喪主の方があいさつで
「大正・昭和・平成と3つの世代を生きて来て
4つ目も間違いなく迎えると本人も家族も思っていた」
とおっしゃっていました。
私も、大家さんと東京オリンピックの話をするものだとばかり
思っていました。
亡くなる前日、偶然大家さんのお嫁さんにお目にかかり
動画で元気づけて欲しいと頼まれました。
もちろん、お引き受けしました。
お通夜の後、大家さんのお嫁さんから、
私の動画を見てとってもうれしいそうでしたよとの話を聞き
涙腺崩壊です。
本当に本当に大好きでした。
頭がよくて、向上心もあって尊敬してました。
大好き過ぎて、後添えにしてもらいたいくらいでした。
みたいなことをね、泣きながらお嫁さんに言ってしまいました。
後添え?
後添えって??
言いながら自分でも突込みました…
大家さんのお嫁さんも、不思議発言にお困りだったことでしょう。
私はこんな風に泣き崩れていましたが、
なんと言っても、92歳の大往生。
会場は、「お疲れ様」とか「あっぱれ」という空気が支配し、
見回しても、私のように泣き崩れている人はいません。
他人から見ると、謎の泣き女だったと思います。
なんでこんなに涙が出たか、ですが
友人Mちゃんが亡くなって一か月も経たずに
また大好きな方が亡くなったことが大きかったと思います。
大家さんの訃報を聞いたまさにその日
さくらももこさんの訃報も知ることとなり
さくらさんとMちゃんとの共通点の多さに、
Mちゃんが亡くなった悲しみが甦っていたところでした。
このニュースで、やっと閉まった涙の元栓が、
再びゆるくなってしまったんだと思います。
もちろん、私が大家さんを大好きだったのが一番の理由です。
頭がよくて、物知りで、新しいことにどんどんチャレンジされて
謙虚で穏やかで
そしていつも私の知らないことを教えてくださいました。
私の知らないことは、主にツイッターによってもたらされました。
「〇〇ってなんですか?」
「どうして〇〇なんですか?」
リプライしてもお返事いただけないので
(リプライのやり方を知らない様子)
直接ご本人に質問していました。
すると、その場で答えてくださったり
足りないとことはツイッターで補足してくださったり。
このやり取りが、日々の楽しみの一つでした。
ツイッターを開くのも、
大家さんの新しいツイートないかな
そんな気持ちでした。
8月中旬、体調不良のツイートが続いたので
様子を見に事務所をのぞくと
「老人会の会合に出かけます」
との貼り紙がドアにありました。
てっきりそんなに深刻な体調ではないのかと
早合点しました。
でも、それから新しいツイートがありませんでした。
不安が胸をよぎりました。
1週間ほどしてドアに「しばらく休業します」の貼り紙が。
大家さんの異変は確実になったのですが
それでもそこまで深刻だとは思いませんでした。
って、Mちゃんが亡くなった時と同じ流れじゃん。
何も学んでない!
私の涙には、2回分の後悔も含まれています。
お通夜の時、もう一人のお嫁さんから言われました。
「ツイッターは亡くなってから知ったんだけど
本当にいいこと書いてあって…
でも、ツイッターで具合悪いとか言うんだったら
家族にそれを言って欲しかった」
そのお嫁さんは
今年の夏は特別に暑いので
何度か電話で体調など聞いていたそうですが
そのたび「変わりない」との返事があったそうです。
具合が悪いツイートの後の電話でもそうだったようで
そこはとても残念そうでした。
大家さん最後のツイートの最後の一文は
「ひとりでに回復するまでひたすら待つ」
まさに有言実行、なんですが、
そこはしなくてもよかったのでは…
お通夜から数日、私の中には大家さんへの尊敬の念と感謝の気持ち、
それから残念な思いと悲しみが入り混じっています。
Mちゃんのことも合わせて、整理できる日が来るんでしょうか。
考えて見ると、
私は今まで「大好きな人」が亡くなった経験がありませんでした。
もちろん今までたくさんのお葬式に参列しています。
悲しみの涙を流したこともあります。
でもその時だけ。
この夏のように、悲しみがいつでもすぐそこにある感覚は
初めてです。
私より上の世代の方は
そうしたお別れをいくつも経験してきたわけで
この夏が、私の「お別れの修行」の始まりなのかもしれない
そんなことに気づきました。
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