
「ねぇ、タバコ吸った?」今朝、おねぇちゃんが、だし抜けに禁煙中の40’sオッサンに訊いた。
「す、す、吸ってへんよ」と、40’sオッサンはちょっとどぎまぎして答えた。
おねkぇちゃんはときどき、抜き打ちテストみたいにオッサンにそう訊くの。残念ながら(?) オッサンは確かに吸ってない。信じられないけれど、吸ってない。でも、それは現実の世界では、と、いうことで、あるところではこっそり中学生みたいにタバコをくわえている。そう、夢の中で。
そんなタバコの夢はたいていいつも一緒。オッサンはどこだかのビルの非常階段の下に隠れるように身体を丸め、まるで中毒患者のように手を震わせパッケージからタバコを一本ぬきとりくわえる。タバコはなぜかこれまで吸っていたマールボロライトのメンソールではなくショートホープ。タバコをくわえるといつも何かの物音がする。オッサンはハッと振り返る。でも、振り返ったそこは真っ暗闇で何も見えない。オッサンはあたかも追手が迫ってきているかのように、あわててポケットをバタつかせライターを探す。「早く吸わなくちゃ」 でも、ライターはなかなか見つからない。するとまた何か物音がする。オッサンは咥えたタバコをサッと右手で隠すように口からつかみ、その手ごとをポッケに突っ込む。でも、もう、駄目だ、とオッサンは思う。振り向けばそこには誰かがたっている、となぜだか確信的に思う。オッサンは諦めとともにゆっくりと後ろを振り向く。でも、やはりそこは真っ暗闇で何も見えないし、誰もいない。オッサンは大きく息をつく。そして、タバコをつかんだ手をポッケからだし、タバコをくわえようと握っていた手を開くと、、、、
と、いう具合のね。だから、まぁ、夢の中でも吸ってはいないんだけどね。このことを40’sオッサンはおねぇちゃんには言ってない。きょうここでわたしが暴露。
で、わたしはきょう気づいたの。オッサンがこんな夢から醒めてむかえた朝にきまって「ねぇ、タバコ吸った?」とおねぇちゃんが訊いていることに。もしかしておねぇちゃんは何かを察知しているの? 振り返ってみるとそれは本当にぴったりのタイミングで問うの。おねぇちゃんはドリーム・ウォッチャーなのかしら? でも、小心者で小市民の40’sオッサンだから、夢の中だとはいえ、そんなことをしてしまって「どうしよう」ってどこかでびくびくしるもんだから、顔色にでちゃってるのかな。単純なヤツだしね。
余談ですが、『手を開くと、、、』、そこに何があったのか、それはわたしにもわかりません。何せ開いた本人がそれを確認もせず飛び起きちゃうんだもん。ホント、どこまで小心者やねん、ねぇ。