Chiakiの徒然日記

そろそろ12年~その2~

熊本駅に着いたとき、すでに外は暗くなっていた。
迎えに来てくれた母が
「今日はもう遅いから、明日病院に行こう」
と言った。
遅いと言っても、まだ18時にはなっていなかったと思うのだが、
午後ずっと祖父に付きっきりだった母からすれば、あまり行きたくないというのが本音だったのだろう。
とりあえず、この日の時点では、小康状態を保っているということだった。

家に帰ると、私がいない間のことをいろいろと話してくれた。
一番危なかったのが、注射の誤投与だったそうだ。
看護師さんが点滴のチューブへ注射の液を投入していたところ、祖父の顔色がみるみるうちに紫色に。
そばに居合わせた母が「あらら!?」と声を上げたため、看護師さんも気づき、急いで医師を呼び出した。
その後の処置がスムーズに行ったため、大事には至らなかったそうだ。
医師と看護師の間で「お前が悪い」という言い合いになったらしいが、
どちらのミスにせよ、口頭だけで指示した(指示を受けた)のが悪い!

帰省した翌日、母に連れられて祖父が入院する病院へと向かった。
祖父の意識は混濁していた。
夏休みに帰省した時には、筆談で会話ができたのに、それさえもできない。
耳元で「来たよ!」と声を掛けても何も反応がない。
そのことがすごくショックだった。
夜にもう一度祖父のところへ行った。
東京から、当時大学3年生だった従兄も帰省してきていて、耳元で話しかけていた。
驚いたことに、従兄が話しかけると、少し反応していた。
「やっぱり、初孫となると違うのかな?」
少し持ち直したという話も聞いたので、そんな軽口が飛び出した。
このときは弟も同行していたのだが、祖父の耳元で何かしゃべったあと、母に言った。
「早く帰ろう。おじいちゃんが、勉強しろって言ってるみたい。」
受験生の弟には、祖父の息遣いからそのように聞こえたのだろう。
その言葉を受けて、私たちは従兄を残して病室を去った。

11月30日土曜日の出来事だった。

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