風のたより #41 千葉甫 2019-06-20 13:52:23 | 短歌 四つ角の木の下陰でひとしきり話が弾む別れる前を 存在感薄れゆきつつ室温の風を送っている扇風機 そのときはすっかり忘れていたことをゆっくり思い出すはっきりと
風のたより #40 千葉甫 2019-06-18 13:49:11 | 短歌 この人から聞いたものかも知れないの疑念の兆す話す半ばで 稲妻と雷鳴の間を秒針の音が響いている夜の部屋 まだ暗いうちにたびたび眼が覚めて達した朝に少し寝過ごす
風のたより #39 千葉甫 2019-06-16 14:00:18 | 短歌 振り向けば鴉が一羽道端をとことこ歩いている昼下がり この路地を抜ければ嘗てわが家のあったあたりに出るのだけれど・・・ この頃はまた忘れたが口癖となったけれども恙ない日々
風のたより #38 千葉甫 2019-06-14 21:16:41 | 短歌 スリッパで軽く叩いたゴキブリの一夜の後にまだ生きている 戸を開けた私の足元抜けた影 背後の闇の中に呑まれる 十代の頃のリズムが少しづつだけれど戻って吹くハーモニカ
風のたより #37 千葉甫 2019-06-12 13:51:33 | 短歌 ここに住む人らいつしか去っていて建ったアパート桜坂荘 今日もまた誰にも会わず行く道に出て来た蝶の横切ってゆく この夜も遠くに見えている窓の灯りのそろそろ消される時間