竹林亭白房

小満ん「家見舞い」★落語

□本日落語一席。
◆柳家小満ん「家見舞い」(寄席チャンネル『粋 らくご』)。
お江戸日本橋亭、令和4(2022)年7月13日(「柳家小満んの会」)。
よく聴くネタながら今回おや?と耳をとめた箇所が一つあった。新しい家への見舞いとして何がよいかと尋ねられた兄貴分は、まだここには水道を引いていなくて、井戸から水を汲んで使っているから、水瓶があると助かると答えた。

この落語は、金に窮している弟分二人が10銭だの50銭だのという、1円にも満たない金額で水瓶を手に入れようという噺である。金の単位からして江戸時代からの古典落語でないことはわかる。それが今回まだ水道を引いていないという言葉が出てきたことで、だいぶ時代背景が狭められたように思う。

東京の水道は、明治19(1886)年年のコレラ大流行を機に発展普及していったということらしい。ただ、大正12(1923)年の関東大震災でも、まだ東京全域には水道が行きわたっていなかったらしいので、「家見舞い」は大正後期から昭和前期にかけての噺のように聴けるのだが、どうだろう。

弟分たちがはじめまっとうな道具屋で二荷入りの水瓶を買おうとしたときの値段が30数円。落語「壺算」で出てくる二荷入りの水瓶は正規で7円だから、あの噺よりは時代がいささかあとになるという計算だろう。ただし、「壺算」の原話は江戸小噺で、近代に入ってからの落語として演じられる「壺算」の水瓶の値段はいささか推移するようだが。
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