□本日落語三席。
◆立川談四楼「芝浜」(NHK-Eテレ『日本の話芸』)。
東京渋谷NHK放送センター、令和6(2024)年11月17日収録。
年末になると「芝浜」ですか。今月は少なくとももう一席立川志らくでこれを聴くことになる予定。きっと談春なんかも、どこかの落語会でさかんにこれを掛けているのではないかと。
談四楼は、オープニングのトークで、これが昔はさほど大ネタでなかった旨を紹介していた。かつて、昭和の名人三代目桂三木助が、作家の安藤鶴夫脚色の一席として得意ネタにしてから、「芝浜」は大きな噺になっていったのだと。
これはどこかで聞いたか読んだかしたことがあった気もするが、さて、原型ってどうなんだろうというのが気になった。これは、巷間、三遊亭圓朝による三題噺(酔っぱらい・芝浜・革財布)と言われているが、実際のところ、圓朝口演の速記など残っていなくて、現在では圓朝作であるかどうかも疑わしいと言われている。
なお、岩波書店刊の『円朝全集』には、参考として、三遊亭小圓太の速記(明治22年)が収載されている。また、『口演速記 明治大正落語集成』には、四代目三遊亭圓生の速記(明治32年)が収載されている。圓朝作かどうかおいておくにしても、このあたりがアンツルさんが脚色する前の原型に近いものということになるのだろうか。
ただ、今回あらためて両速記を読んでみたが、内容は現在演じられているものとほぼかわらない。いったいどこが脚色されたのかと思うほどだが、しいて言えば、最後の大晦日の夫婦のやりとりがやや長くこまやかなものになったというところだろうか。しかし、ここは、三代目三木助以後も、いろいろな落語家によって独自の演じかたが試みられていて、アンツル脚色(と思われる件)を演じる型は残されていないのではないだろうか。
ちなみに、今回、談四楼は、独自の型として、正直に嘘を白状した女房が、亭主に対して自分をぶっても蹴ってもかまわないけれど、 お腹だけは蹴らないでねと言って懐妊していることを告げていた。
また、明治22年の小圓太の速記を読むと、心を入れかえた魚屋(ここでは名前を熊としている)が、一所懸命働いて魚屋だけではもの足りなくて、夜はおでん屋、これを終えると、夜明かしの汁粉屋、その次は強盗の提灯持ちまで演ったとあった。これは、「鼠穴」に出てくる竹次郎の働きぶりと同じだというのはおもしろい。
◆桂ぽんぽ娘「伊藤と紗綾、時々ABC」 .(ABCラジオ『日曜らくごなみはや亭』)。
神戸新開地喜楽館、令和6(2024)年10月8日(マルエスpresents「神戸新開地・喜楽館AWARD2024」予選第三日)。
◆『笑点』大喜利:春風亭昇太(司会)/三遊亭小遊三・春風亭一之輔・林家たい平・立川晴の輔・三遊亭好楽・桂宮治(日テレ『笑点』第2939回)。
日テレ麹町スタジオ、令和6(2024)年12月15日OA。
◆立川談四楼「芝浜」(NHK-Eテレ『日本の話芸』)。
東京渋谷NHK放送センター、令和6(2024)年11月17日収録。
年末になると「芝浜」ですか。今月は少なくとももう一席立川志らくでこれを聴くことになる予定。きっと談春なんかも、どこかの落語会でさかんにこれを掛けているのではないかと。
談四楼は、オープニングのトークで、これが昔はさほど大ネタでなかった旨を紹介していた。かつて、昭和の名人三代目桂三木助が、作家の安藤鶴夫脚色の一席として得意ネタにしてから、「芝浜」は大きな噺になっていったのだと。
これはどこかで聞いたか読んだかしたことがあった気もするが、さて、原型ってどうなんだろうというのが気になった。これは、巷間、三遊亭圓朝による三題噺(酔っぱらい・芝浜・革財布)と言われているが、実際のところ、圓朝口演の速記など残っていなくて、現在では圓朝作であるかどうかも疑わしいと言われている。
なお、岩波書店刊の『円朝全集』には、参考として、三遊亭小圓太の速記(明治22年)が収載されている。また、『口演速記 明治大正落語集成』には、四代目三遊亭圓生の速記(明治32年)が収載されている。圓朝作かどうかおいておくにしても、このあたりがアンツルさんが脚色する前の原型に近いものということになるのだろうか。
ただ、今回あらためて両速記を読んでみたが、内容は現在演じられているものとほぼかわらない。いったいどこが脚色されたのかと思うほどだが、しいて言えば、最後の大晦日の夫婦のやりとりがやや長くこまやかなものになったというところだろうか。しかし、ここは、三代目三木助以後も、いろいろな落語家によって独自の演じかたが試みられていて、アンツル脚色(と思われる件)を演じる型は残されていないのではないだろうか。
ちなみに、今回、談四楼は、独自の型として、正直に嘘を白状した女房が、亭主に対して自分をぶっても蹴ってもかまわないけれど、 お腹だけは蹴らないでねと言って懐妊していることを告げていた。
また、明治22年の小圓太の速記を読むと、心を入れかえた魚屋(ここでは名前を熊としている)が、一所懸命働いて魚屋だけではもの足りなくて、夜はおでん屋、これを終えると、夜明かしの汁粉屋、その次は強盗の提灯持ちまで演ったとあった。これは、「鼠穴」に出てくる竹次郎の働きぶりと同じだというのはおもしろい。
◆桂ぽんぽ娘「伊藤と紗綾、時々ABC」 .(ABCラジオ『日曜らくごなみはや亭』)。
神戸新開地喜楽館、令和6(2024)年10月8日(マルエスpresents「神戸新開地・喜楽館AWARD2024」予選第三日)。
◆『笑点』大喜利:春風亭昇太(司会)/三遊亭小遊三・春風亭一之輔・林家たい平・立川晴の輔・三遊亭好楽・桂宮治(日テレ『笑点』第2939回)。
日テレ麹町スタジオ、令和6(2024)年12月15日OA。