□本日落語一席。
◆八代目柳亭小燕枝「紙入れ」(衛星劇場『衛星落語招待席』)。
東京都北区北とぴあペガサスホール、令和6(2024)年8月12日(柳亭小燕枝独演会「1トライ~色気噺~」)。
通常の型は、「自分の女房を寝取られるやつだ、(紙入れを)見つけたところで、そこ(=それが間男のものだということ)までは気がつくめえ」と旦那が言う落げ。何人かの落語家には、これに違和感をおぼえてか、独自にかえて演じる向きもある。鋭く落げる型に、実は旦那が間男を知っていて、それを新吉にそうとわかるような言動をとるというものがある。これにも微妙に二三種類の型があったのではないだろうか。
みんな「紙入れ」の落げには苦労しているようだ。そして、八代目小燕枝。小燕枝は通常の「……気がつくめえ」と言ったあとに、内儀さんが「気がつかないんだ。じゃあ、はいこれ」と言って紙入れを新吉に渡して落げとした。
案外おもしろい落げだった。この旦那は本当にぼんやりしていて、それも気づかないし、だから、途中で新吉が言う「(紙入れを)見つけましたか」とか、「(手紙を)読みましたか」などの言葉さえものみこめていないという意味が生きてくる気がする。
実のところ、この落語でいちばん間抜けなのは、「(紙入れを)見つけましたか」「(手紙を)読みましたか」の件(くだり)で、なんでこんな露骨な言いかたをしているのに、旦那は気づかないのかというちょっとした違和感がある。しかし、小燕枝の演出で、この旦那がとんでもない鈍感な人物だと考えればある程度の納得ができた。
◆八代目柳亭小燕枝「紙入れ」(衛星劇場『衛星落語招待席』)。
東京都北区北とぴあペガサスホール、令和6(2024)年8月12日(柳亭小燕枝独演会「1トライ~色気噺~」)。
通常の型は、「自分の女房を寝取られるやつだ、(紙入れを)見つけたところで、そこ(=それが間男のものだということ)までは気がつくめえ」と旦那が言う落げ。何人かの落語家には、これに違和感をおぼえてか、独自にかえて演じる向きもある。鋭く落げる型に、実は旦那が間男を知っていて、それを新吉にそうとわかるような言動をとるというものがある。これにも微妙に二三種類の型があったのではないだろうか。
みんな「紙入れ」の落げには苦労しているようだ。そして、八代目小燕枝。小燕枝は通常の「……気がつくめえ」と言ったあとに、内儀さんが「気がつかないんだ。じゃあ、はいこれ」と言って紙入れを新吉に渡して落げとした。
案外おもしろい落げだった。この旦那は本当にぼんやりしていて、それも気づかないし、だから、途中で新吉が言う「(紙入れを)見つけましたか」とか、「(手紙を)読みましたか」などの言葉さえものみこめていないという意味が生きてくる気がする。
実のところ、この落語でいちばん間抜けなのは、「(紙入れを)見つけましたか」「(手紙を)読みましたか」の件(くだり)で、なんでこんな露骨な言いかたをしているのに、旦那は気づかないのかというちょっとした違和感がある。しかし、小燕枝の演出で、この旦那がとんでもない鈍感な人物だと考えればある程度の納得ができた。