竹林亭白房

四代目三遊亭萬橘「富士詣り」★落語

□本日落語一席。
◆四代目三遊亭萬橘「富士詣り」(TBSチャンネル『落語研究会』)。
東京三宅坂国立劇場小劇場、令和4(2022)年11月30日(第653回「TBS落語研究会」)。
今日で聞くのが三度めというレアなネタ。以前の二席は三代目柳家権太楼(2020年『立川志らくの演芸図鑑』)と三笑亭可風(2022年『ラジオ深夜便』※「話芸100選」)。
残念ながら、三代目権太楼の高座内容を記録していない。可風については、独自な落げだったと書いてある。

独自なというのは、『増補 落語辞典』によると、この落げは、一行の一人が気分を悪くして、先達さんが「山に酔ったんだろう」と声をかけると、「酔った?……嗚呼、ここは山の五合めだ」というもの。
それを、川戸貞吉『落語大百科』では、ふつうここまで演って落げることがなく、一行の一人一人が悪さを懺悔する場面で、一人が邪淫戒を犯して云々と話すと、先達が「その相手は誰だい」と問うと、「先達さんの内儀さんだ」というところで落げているとある。そして、川戸自身は、「五合め」まで演って落げるのを「一度も聞いたことがない」とあった。

そして、今日聞いた四代目萬橘の「富士詣り」は、その川戸が聞いたことがないという「五合め」の落げだったのである。川戸が「聞いたことがない」と書いた『落語大百科』(4)は2002年の刊行。もうかれこれ二十一年前だ。この間、はたして、誰も「五合め」の落げを演っていないものなのかどうか……。

なお、今回四代目萬橘は、邪淫戒云々の件(くだり)も当然語るのだけれど、萬橘は、その「邪淫戒」について「女を騙すことだ」と語っていた。今では、邪淫戒の正しい意味を放送で話すのは、問題とされるのだろうか。だとすると、すこぶる残念である。
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