竹林亭白房

三省堂『国語辞典』第八版(その二)★言葉

三省堂『国語辞典』第八版「あ」の項目を続けて読んでいる。今回は第七版に入っていない語で「あーね(ー)」という感動詞が追加されているのを見つけた。語義は「ああ、なるほど、そうだね」。語釈は「もと福岡の若い世代の言葉で二〇一〇年代に全国に広まった」とある。「全国に広まった」?!本当に「広まった」と言えるほどの情況なのだろうか。少なくとも自分はまったく知らなかった。当然のごとく(と言ってよいか)、『日本国語大辞典』にすら収載されていない。

また、「二〇一〇年代に全国に広まった」とあるが、第七版が出たのは2014年。ということは、第七版が編集されていたときでも、「あーね(ー)」を新しく採るべきか否かということが議論されたのだろうか。そして、当時は見送られた。つまり、まだ2014年では「全国に広まった」と言いにくい情況だったのだろう。してみると、第八版の語釈でも2010年代の後半あたりから広まったとするのがよかったのではないか。それでも、自分には本当に広がっているのか?と思えてならないのだが。

ネットで検索すると、確かに、そのような語例が見られた。また、ていねいなことに、解説しているサイトもある。そういったものの一二をのぞくと、語義は三省堂『国語辞典』第八版とほぼ同じことが書かれてあり、他に、若者言葉である、ネットスラングであるといった情報も得られた。

三省堂『国語辞典』では、例文を載せていなかったが、ネット上で紹介されていた例文を見ると、次のように使うもののようだと知る。

A「C君、月曜の朝はなんだか落ちこんでたよ」。
B「模試のできがあまりよくなそうだったんだって」。
A「あーね」。

まったくピンとこない。まあ、そもそもこういった言葉づかいをする世代の人間とネット上のツールでやりとりをすることがないから、自分は知らないだけなのか。
業務上、その世代の人間と言葉をしばしばかわすことがあるけれど、リアルな会話だと使わない言葉なのか、それとも、目上の人物に対しては使わない言葉なのか。かたがた疑問に思うことの多い言葉である。

つまり、辞書に収録するべき言葉なのかと思うわけである。

□本日落語一席。
◆笑福亭仁鶴「向う付け」(MBSテレビ『年忘れ 新春 らくごのお時間SP』)。
※『特選!!落語全集』平成6(1994)年12月15日OA。
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