三省堂『国語辞典』第八版が上梓された。もっとも社会の流れに迎合している国語辞書だと思われるが、「カオマンガイ」「ツーブロック」「ポチる」「つうか」「身ばれ」など、昨今使われ出している語をあらたに三千五百語収載した由。
また、逆に、削除された語は、「コギャル」「スッチー」「着メロ」「パソコン通信」「BBS」など。死語化したというのが、その判断基準のようだ。確かに、「パソコン通信」など、存在そのものがほぼ消失しているというものもあるが、「着メロ」「BBS」などは、本当に死語なのだろうかとちょっと首を傾げてしまうものもある。でも、こういった迎合性が三省堂『国語辞典』なんだろうなとも。
さっそく買って、とりあえず「あ」の項目から読んでいる(最後まで通読するわけではないが)。時折第七版とくらべながら読むとおもしろいこともある。
たとえば、第八版では冒頭第一項が感動詞「あ」である。第七版では接頭語「亜」だった。これは第八版では第三項にさがっている。なぜだろう。ちなみに、第七版で感動詞「あ」は第三項。また、第七版では第二項は「啞(あ)」だったが、これは第八版で削除されている。
その栄えある第一項に格上げされた感動詞「あ」だが、第八版では語釈が一つ増えた。第七版は、「①急に思いついたり気づいたりしたときに出す声」、「②軽くおどろいたり感動したりしたときに出す声」。第八版でもこれは同じだが(例文追加あり)、ここに「③相手の言ったことに対して、軽くあいづちを打つときに出す声」を加えている。例文は「あ、そうですか・『わかった?』『あ、わかりました』」である。う~む、微妙な気分だ。きっと何か用例を拾ったうえでの処置と思われるが、一般化しているのだろうか。
ちなみに、感動詞ついでに言えば、三省堂『国語辞典』には「ああん」という項目がある。これはあまり他の『国語辞典』にはないんじゃないか。同じ三省堂の『新明解国語辞典』にはないし、岩波書店『国語辞典』などにもない。『広辞苑』『日本国語大辞典』にはかろうじてある。
ただ、三省堂『国語辞典』ではいくつかの語釈のなかに「②あまえて出す声」を入れているのが特徴だ。そして、第七版ではここに例文を置いていなかったのだが、第八版では「ああん、だめよ」という例文をつけている(音調記号つき)。いったいどこからこの例文を拾ってきたのだろう。
アクセント記号と別に音調記号がつくというのも、この第八版の特徴で、その記号に従うと、この「ああん、だめよ」の「ああん」は、「最初は低く始まり、一度急激に上がったあと、また下がる」ということになる。実際に発音してみるとおかしい。やはり出典が気になる。
□本日落語一席。
◆林家菊丸「二番煎じ」(NHK大阪放送局『とっておき!木曜笑タイム』)。
NHK大阪ホール、令和3(2021)年11月11日(第420回「NHK上方落語の会」)。
また、逆に、削除された語は、「コギャル」「スッチー」「着メロ」「パソコン通信」「BBS」など。死語化したというのが、その判断基準のようだ。確かに、「パソコン通信」など、存在そのものがほぼ消失しているというものもあるが、「着メロ」「BBS」などは、本当に死語なのだろうかとちょっと首を傾げてしまうものもある。でも、こういった迎合性が三省堂『国語辞典』なんだろうなとも。
さっそく買って、とりあえず「あ」の項目から読んでいる(最後まで通読するわけではないが)。時折第七版とくらべながら読むとおもしろいこともある。
たとえば、第八版では冒頭第一項が感動詞「あ」である。第七版では接頭語「亜」だった。これは第八版では第三項にさがっている。なぜだろう。ちなみに、第七版で感動詞「あ」は第三項。また、第七版では第二項は「啞(あ)」だったが、これは第八版で削除されている。
その栄えある第一項に格上げされた感動詞「あ」だが、第八版では語釈が一つ増えた。第七版は、「①急に思いついたり気づいたりしたときに出す声」、「②軽くおどろいたり感動したりしたときに出す声」。第八版でもこれは同じだが(例文追加あり)、ここに「③相手の言ったことに対して、軽くあいづちを打つときに出す声」を加えている。例文は「あ、そうですか・『わかった?』『あ、わかりました』」である。う~む、微妙な気分だ。きっと何か用例を拾ったうえでの処置と思われるが、一般化しているのだろうか。
ちなみに、感動詞ついでに言えば、三省堂『国語辞典』には「ああん」という項目がある。これはあまり他の『国語辞典』にはないんじゃないか。同じ三省堂の『新明解国語辞典』にはないし、岩波書店『国語辞典』などにもない。『広辞苑』『日本国語大辞典』にはかろうじてある。
ただ、三省堂『国語辞典』ではいくつかの語釈のなかに「②あまえて出す声」を入れているのが特徴だ。そして、第七版ではここに例文を置いていなかったのだが、第八版では「ああん、だめよ」という例文をつけている(音調記号つき)。いったいどこからこの例文を拾ってきたのだろう。
アクセント記号と別に音調記号がつくというのも、この第八版の特徴で、その記号に従うと、この「ああん、だめよ」の「ああん」は、「最初は低く始まり、一度急激に上がったあと、また下がる」ということになる。実際に発音してみるとおかしい。やはり出典が気になる。
□本日落語一席。
◆林家菊丸「二番煎じ」(NHK大阪放送局『とっておき!木曜笑タイム』)。
NHK大阪ホール、令和3(2021)年11月11日(第420回「NHK上方落語の会」)。