□本日落語一席。
◆三遊亭志う歌「厩火事」(TBSチャンネル『落語研究会』)。
東京三宅坂国立劇場小劇場、令和4(2022)年3月25日(第645回「TBS落語研究会」)。
このとき、志う歌は「落語研究会」出演四度め。二ツ目の歌太郎時代に二度(2018・2019年)。そして、真打になってから二度(2021・2022年)である。だから、もう四度めともなれば、この御通家の集う老舗落語会にも慣れたころだったのではないかと。
というのも、もしかして、志う歌、しくじったんじゃないかと思ったところが一つあったからである。お﨑が仲人の旦那から算段を仕込まれるところ。旦那は、孔子の話と麹町の話をしたあとに、お﨑の亭主の気持を試すために、わざと瀬戸物を割ってみろとお﨑に言う。
しかし、不安なお﨑は、旦那にさきに亭主のもとへ行って、女房が今から瀬戸物を割るから気づかってやるように言ってくれと頼む、……というのが、通常の型である。
ところが、志う歌は、孔子の話と麹町の話をする前に、お﨑が旦那に向って、瀬戸物と自分とくらべても、自分を気づかうにちがいないと言ったのである。まだ、瀬戸物を割る話をしていないのに。
さて、これはしくじりではないのだろうか。少なくとも、今までこのような運びで語る「厩火事」を聞いたことがない。なんだかもやもやしたものが残った。
かりにこれが完全な失態だったとした場合、たとえば、柳家喬太郎とか、柳家花緑とかだったら、登場人物に「間違った」と言わせて爆笑をとるだろうなと、ふと思ったが。
『徒然草』の「高名の木登り」の話を思い出した。ものごとはだいたい慣れてきたころに失敗をするものだという。
◆三遊亭志う歌「厩火事」(TBSチャンネル『落語研究会』)。
東京三宅坂国立劇場小劇場、令和4(2022)年3月25日(第645回「TBS落語研究会」)。
このとき、志う歌は「落語研究会」出演四度め。二ツ目の歌太郎時代に二度(2018・2019年)。そして、真打になってから二度(2021・2022年)である。だから、もう四度めともなれば、この御通家の集う老舗落語会にも慣れたころだったのではないかと。
というのも、もしかして、志う歌、しくじったんじゃないかと思ったところが一つあったからである。お﨑が仲人の旦那から算段を仕込まれるところ。旦那は、孔子の話と麹町の話をしたあとに、お﨑の亭主の気持を試すために、わざと瀬戸物を割ってみろとお﨑に言う。
しかし、不安なお﨑は、旦那にさきに亭主のもとへ行って、女房が今から瀬戸物を割るから気づかってやるように言ってくれと頼む、……というのが、通常の型である。
ところが、志う歌は、孔子の話と麹町の話をする前に、お﨑が旦那に向って、瀬戸物と自分とくらべても、自分を気づかうにちがいないと言ったのである。まだ、瀬戸物を割る話をしていないのに。
さて、これはしくじりではないのだろうか。少なくとも、今までこのような運びで語る「厩火事」を聞いたことがない。なんだかもやもやしたものが残った。
かりにこれが完全な失態だったとした場合、たとえば、柳家喬太郎とか、柳家花緑とかだったら、登場人物に「間違った」と言わせて爆笑をとるだろうなと、ふと思ったが。
『徒然草』の「高名の木登り」の話を思い出した。ものごとはだいたい慣れてきたころに失敗をするものだという。