†プロメテウス†

2013年03月11日 | ■MOVIE

Prometheus ※ネタバレ

これがエイリアンの話だと分かっていたら
絶対に観ていなかっただろうな。
何かも分からずに観てしまった。
エイリアンとか、謎の物体に襲われる系の話って
どちらかと言うと 得意ではない。
多分、主人公が逃げなくちゃならない展開が多くて
ドキドキハラハラさせられるからだと思う。

最初は、不幸な気配も無く、わくわくしてみていた。
だって、世界中の至る古代の遺跡の壁画から
謎のサインを発見した考古学者が、
人類を創造したものからのサインだと考えて、
多くのスタッフと共に宇宙船に乗り込む。
皆で宇宙へ行き、もしかしたら、その謎のサインの主と
出会って、驚くような人類誕生の話なんかを
聞かせてもらえるかもしれないし。

でもそういや、最初の方に不気味な感触のする男が
どこかで、とてつもなく気味の悪い死に方をしていた。
でも、それは病気かも?とか適当に片付ける。

折角、仲間と宇宙船に乗って、宇宙へやって来たのに
そこに待ち受けていたのは ホラーな展開ばかりで
挙句の果てには、次々と人が死んでしまう。

何せエイリアンの話と分からずに観ていたから、
あーあ。もう、皆どんどん死んでしまって。
折角皆で宇宙まで来たのに。と、とても残念な気持ちになる。

がっかりする あたしの言葉に ほくそえむ?タピw
こんな映画を観たのも、そもそもタピが観ていたから
一緒に観てしまった流れなのだ(笑)。

唯一の救いは、アンドロイドのデヴィッド。
むっちゃいい。たとえアンドロイドの説明が無くとも、
観れば彼が人間でないことは十分伝わってくる。
あのどこか奇妙な質感。
全く信用できない感じだが、中身はともかくとも
あの空気感は最高だった。
マイケル・ファスベンダー、うまいw
男前なのがまたいいw

ちなみに主人公の考古学者エリザベスは
ミレニアムの主人公のノオミ・ラバス。

この映画、主人公だけが生き残る。
アンドロイドも、故障するが復活する。
残りの仲間達は、全員死亡。
エリザベスの恋人は、変な虫が身体に入り込んで
彼女の目の前で焼かれて死ぬと言う残酷さ。
小さな虫が、彼の目玉の中で泳いでいるシーンも
また気持ち悪かった。こういうの凄く嫌だ。

そもそも、なんで この人たち、こんな目に?(笑)

一応エイリアンの話とはいえ、巨大な謎の物体は
謎の物体同士で戦い、果てる。

ええと、この話いったい何だった?w
あたしには何も分からなかった。

宇宙へ行った、皆個性的で人間関係も良くなさそうだった、
出迎えたのは変な物体ばかりで 彼らを襲いまくった、
そして皆次々死んだ、物体同士も闘って倒れた、
主人公一人が生き残り、自分の恋人を死に追いやった
犯人であるアンドロイドを仕方なく修理する、
そして地球に戻らずにどこかへ行った。
終わり、と言うわけ。

エイリアンとか好きな人には面白いのかもしれない。
あたしには無理だったようだ。
あのアンドロイドは本当に素敵だった。それだけ良かった。

ちなみに、プロメテウスは、ギリシア神話に登場する神w
こんなところでも(笑)。彼は人類に火を与えたので
ゼウスが怒ってしまって、拷問のような日々を過ごす羽目に。
後にヘラクレスが彼を助けてくれる。

プロメテウスは先(プロ)に考える(メテウス)
って意味らしい。この弟がエピメテウスで、後(エピ)で考える。
弟は兄に警告されていたのに、パンドラと言う女性と
くっついたwパンドラの箱が・・・と言う話があるw

2012年 アメリカ
監督 リドリー・スコット
出演 ノオミ・ラパス/Elizabeth Shaw
マイケル・ファスベンダー/David
ガイ・ピアース/Peter Weyland 他


†5デイズ† 

2013年03月11日 | ■MOVIE

「5 Days of War」  ※ネタバレ

この映画は、グルジアとロシアの5日間戦争を描いた
もの。映画ではグルジア側からの視点で
展開されているので、ロシア側は完全な悪。

ここで少し前置きしておきたいのは、
この映画だけを観ても 
この戦争がなんだったのか、分からない点。
ちょっと面倒だけど補足。

この、戦争のとき、あたしは、ニュースで
ロシアの戦車が画面に映し出されるのを見た。
ロシアが酷いことをし始めている、と言う雰囲気に見えた。
何故かと言うと、日本は、ロシアに勝手に
領土を侵略されているから。
他国の領土を勝手に奪う一面があると思っている。
ロシアのような大きな国に、グルジアと言う国が、
抵抗できるとも思えない。ロシアが勝手に、
グルジアを力でねじ伏せようとしている風に見える。
いっけんすると。

現実的に考えると、どちらかが一方的に悪だという事は
殆どないのが戦争だと思っている。
お互いに人を殺しているのだし。

どちらか一方だけの視点に立って、理解しようとしても
無理な話だ。だが両方を観てもわかることは知れているかも。

さて、これは映画なので、この作品で、
どちらかが一方的に悪だと描かれようと、
特に思うことは無い。

前置きは終わり。

グルジアの大統領を演じるのは、アンディ・ガルシアなのだが
画面に現れると、思わず何かが似ている、と思う。
何だか質感が、このキャスティング、はまっているって感じ。
大統領は、サアカシュヴィリと言う名前で(覚えにくいのです)、
彼を扱ったドキュメントをみた時は、
何だか変わった人。と言う感じ。
映画の中では、そこまで存在感も特に無い。

主人公はジャーナリストで、過去にイラクの取材で
同じジャーナリストだった恋人を失っている。
その時主人公を助けに来た兵士がグルジアの兵士なのだが、
もう彼が、本当に頼もしくて、最初から最後まで
主人公を助けてくれる。むちゃくちゃカッコいい。

あらすじを、ざっと言うと、主人公アンダースは、
取材に向かったグルジアで、5日間戦争に巻き込まれてしまう。
仕事仲間と、現地で出会った女性と、その家族と
共に、戦地を取材しながら、この場から脱出しようとする。
乗り込んできたロシア側の傭兵たちが、極悪非道で
彼らに見つからぬよう逃げようとしているものの、
結局捕ってしまう。
主人公たちは命懸けで、ここで収めた記録を守り抜こうとする。
最終的には、やっとのことで国の仲間に連絡をつけ、
真実の映像を、発信しようと思うのだが、
残念ながら北京オリンピックの真っ最中で、
取り扱ってくれる局は無い。
おまけに、一同はグルジアの兵士たちと合流するものの、
ついには敵の戦車に囲まれる。さて。と言う感じ。

主人公は、現地で出会った女性タティアに惚れている。
この彼女が、怖い傭兵に人質にとられてしまい、
命懸けで守りたいメモリーカードを持って、取引に向かうのだけど。
もう絶体絶命のピンチで、主人公、他の傭兵に助けられる。
だが、安心していると、今度はいよいよ敵の戦車に囲まれる。
この辺りが、ホッとする間もなくて、疲れる。

傭兵達は、土地に居た人達を意味も無く、
その場で殺したり物を破壊したり、やりたい放題。
また、悪そうに笑いながら、人の命を弄んでいるような場面も。
しかしここに味方の兵士がいるわけでもないので
いったい、どうやって、傭兵に見つからずに脱出できるのか
さっぱり分からない。主人公達が捕まって、何をされるか
と思うとハラハラした。

はっきり言って、大統領が何の役にたっていたのか分からない。
最初に言ったように、この映画で ひたすらカッコいいのが
グルジアの兵士で、傭兵に捕まった時も、この兵士たちが
助けに来てくれる。そこがもう最高。
しかも、最後には、撤退命令を無視し、
自分の国を守ると言って市民を助けたりしているのだ。
何だ、このカッコいい人達は。

グルジアの景色は、あまりにも美しくて
こんな場所が、あったんだなぁと、そこにまず驚いた。
昔の絵画から引っ張り出してきたみたいな景色。
どうして あんなに美しいのか。
そこを戦闘機が破壊していくシーンでは 本当にイライラする。
何ていうか、もう、墜落じゃなくて(落ちたら残骸で汚れるから)
神隠しのように異次元にでも消えてしまって欲しいと思った。
もちろん、そんな不可思議なことは起きたりしないので
やられるがまま。
戦闘機は、ランダムみたいに、そこにある家々も破壊する。

傭兵は無抵抗の市民らを集め、市長らは前に出ろと言うが
誰も前に出てこないのを見て、何の力も無い老女を、
みんなの前に引っ張ってきて、彼女の足を何発か撃つ。
そこで、市長らが前に出てくると、彼らの喉をかっ裂く。

自分達より明らかに弱い物に対して、
傭兵だったり戦闘機だったりが、一体何のために
こんなことをするのか、ちょっとよく分からないのだ。
傭兵の一人は、自分はコサックだ、と言っていたが。
何者でもいいから画面から消されて欲しいと思って観てた。
その人物は、最終的には主役を殺そうとして、自分が
殺される。しかしそこでスカッともしない。主人公が生き延びて
ほっとするだけ。戦争の原因が、この男ではないからかもしれない。

とても単純なことを思う。
戦争って、本当に無意味なことをやるのだなぁと。
兵士は命を懸けて、祖国を守ろうとしているのだろう。
過去の戦争に参加し、その後、あれは意味の無かった戦争、
間違った戦争だと言われて 苦しんでいる元兵士もいる。
だから、簡単に、あの戦争は間違いだったとか、
無駄だったとか、口にするには重たすぎる。
しかし、このような破壊は無駄にしか見えてこない。

銃弾や爆撃など結構、迫力がある映像で、
主役がジャーナリストで、その視点で見るからだろうか?
実際には戦場など見たこともないが臨場感を感じる。
そこにいるような迫力と言うか。

映画の最後には、おそらく本当に戦争で傷ついた当事者
なのだろうと思われる人達が出てきて、自分の失った家族や
人達について写真を見せたり、自分の名前を口にしたりして
説明されていく映像が続く。

ロシアがとかグルジアが、とかの問題じゃない。
この人達の傷跡は深く、結局これで犠牲になっているのは
市民であると思った。兵士たちも闘って亡くなってしまう。
傭兵が入り込んで来てパニックする時に
足の悪い老人や、早く走れない身体の人
たとえば妊婦さんとか、真っ先に 犠牲になる。

こんなことがあっても、世界中で茶番みたいな政治は続く。
権力を持つ側は、結局のところ、どうでもいいのだろう。
人の命なんて。

グルジアとロシアの間に大量の犠牲者が出る、兵士も死ぬ。
とにかく誰かが沢山死ぬ。
このとき当事国の政治家も、周りの国々の政治家も
考えているのは、人の命のことではないんだろう。
国にとって損か得か。選挙に影響しないかなどなど。
これは当たり前の姿なのかもしれないが、
それを当たり前と言う自分の感覚は一体何だろうか。
確かに外国で人が大勢死んでいると聞いても、
遠いどこかの事に思うものだ。
けれど、人の命より大事なものがあるのが、当たり前・・・
って感覚に陥ることが、気持ち悪い。

真剣に頑張る人もいるのだろうけど、申し訳ないが
政治家は、いつも茶番をやっているように見える。
皆そうでなくとも、平和的なまっとうな感じを装って、
いつだって大量殺人をやる。
殺人の規模が尋常ではない。

リストラした人間の数を自慢するようなアホな会社の
偉い奴みたいに、自分は正しいことをしたと思ってるのだろうか。

話を作品に戻す。
映画の中の悪は、どんどん殺されてしまっていい。
あたしが好きな兵士は最後まで生き延びているのが嬉しい。
あの迫力といい、この映画は疲れるけれど観て良かった。

最後にウィキの文を引用する。
まずはこれ。何だかこちら、可笑しかったので。
サァカシュビリ大統領は
「テレビカメラの前でネクタイを噛む
といった奇行を行っている。この行動に対して、ロシアの
ウラジーミル・プーチン首相に「夕食を食べるなら
ネクタイを外したほうが良いのでは」と皮肉られている。


それからこちらも。補足として。
これが真実かどうか?あたしには分からないけど。


「紛争後、ロシアとの武力衝突を招いたことで
多くの犠牲をもたらしたとして、サアカシュヴィリの責任を
問う声が強くなった。
サアカシュヴィリは2008年10月27日にラド・グルゲニゼ首相を
解任し、代わってグリゴル・ムガロブリシビリを首相に任命したが、
これは紛争に対する批判をかわすためだとする観測が出ている。
同年11月7日には1万人以上の野党支持者による反政府デモ
が行われ、サアカシュヴィリの辞任と大統領選の早期実施を求めた。
南オセチア紛争に関するサアカシュヴィリ自身の発言も変化し、
紛争時に行っていた「先に軍事行動を開始したのはロシア側だ」
という主張を翻し、同年11月28日にグルジア側の方が
先に軍事行動を開始していたことを認めた。
同年12月5日には、国防相、外相、国家安全保障会議書記を更迭し、
自らの責任回避に腐心している」


2011年 アメリカ
監督 レニー・ハーリン
出演 ルパート・フレンド /Thomas Anders
エマニュエル・シューキー /Tatia
リチャード・コイル /Sebastian Ganz


†裏切りのサーカス† 

2013年03月10日 | ■MOVIE

「TINKER TAILOR SOLDIER SPY」 ※ネタバレ

これには どうやら原作があるとのこと。
未見だが、先にそれを読んだ方が分かりやすいのかも。

ゲイリー・オールドマンがイギリス諜報員
スマイリーを演じる。

じわじわしていながら、淡々とした感じが
なんとなく グッドシェパードを思い出す。

ストーリー自体は単純で、呆気なく言うと、
イギリス諜報部「サーカス」の中に、
実はソ連のスパイが入り込んでいる。
この二重スパイを作品では「モグラ」と呼んでいる。
さて、そのモグラは一体誰なのか? と言うお話。

この時代(冷戦下)なら、わんさかとあるパターンの。

また、補足するならば、モグラは、東の大物スパイ、
「カーラ」の指示で動いている。
イギリス諜報部、大丈夫?早くとっ捕まえなくちゃ(笑)。


感想書くより先に、主要な人物を簡単に分類する。

まず<サーカス・イギリス諜報部の幹部4人>
(この4人の中に モグラがいる)


コントロールが付けたあだ名ティンカー 「アレリン」
(パーシー・アレリン)

コントロールの椅子を奪い、サーカスのリーダーになる。 
野心を顔に書いたような男。


同じくあだ名はテイラー 「ヘイドン」
(ビル・ヘイドン)
スマイリーの奥さんを寝取る。ジムと言う男とは
怪しい関係のよう。


同じくあだ名はソルジャー 「ブランド」
(ロイ・ブランド)

顔がいかついので 覚えやすい。

同じくあだ名はプアマン 「トビー」
(トビー・エスタヘイス)

コントロールに拾われて幹部にまでなっている男。
強い物について行き、生き残るタイプ。



続いて<もぐらを探るチーム>

「スマイリー」 (ジョージ・スマイリー)
このお話の主人公。冷静で、コントロールの右腕。
妻に惚れこんでいる。


「ギラム」 (ピーター・ギラム)
スカルプハンターの一人。
スマイリーの指示に従い、必要な情報を収集する。
男の彼氏がいる(別れることになる)。


最後は<やたらに出てきて重要な人達>

「コントロール」 
サーカスの元リーダー。謎の死を遂げる。

「リッキー」 (リッキー・ター)
スカルプハンターの一人。
仕事先のイスタンブールでKGB(ソ連)の女性と恋に落ちる。


「ジム」 (ジム・プリドー)
コントロールから密かに指示されハンガリーへ行き
その現場で銃弾に倒れる。
ヘイドンと親友・・・と言うよりヘイドンが好きだろう。
死んだと思われていたが生きており、教師をやって現在暮らす。
ラストでは モグラを射殺する。


この人たちのことは、いやでも出てくるので。さて。

時代は東西冷戦。東、対、西のスパイが情報戦を
展開している。イギリスMI6とソ連KGBも勿論そうで
舞台はイギリス諜報部<サーカス>。

サーカスのリーダー、コントロールと言う男は
モグラが入り込んでいる事に気づいていて、
その正体を突き止めようとしていた。そこで。

諜報部の中にあるスカルプハンターと言う部隊は
基本、実動部隊として、汚れ仕事など何でもやる。
その部隊の一人であるジムに、密かに仕事を指示。

ハンガリーの将軍が亡命を希望しているとのことで
彼はそれと引き換えに、諜報部のモグラの名前を
明かすらしい。その将軍との取引をうまくやり、
モグラの正体を暴く気だ。
早速ジムはハンガリーの首都ブダペストへと向かう。
ところが ジムはそこで撃たれて死に、結局作戦は失敗。
(死んでなかったと後で分かる)
失敗を問われて、コントロールはサーカスを去る事に。

この、コントロールの右腕であった、スマイリーは
彼の指示で、彼と共に、その時サーカスを去る。
しかし、コントロールはその後、謎の死を遂げる。

スマイリーは、レイコンと言う政治家(彼は諜報部を
監視する役目を与えられている政府の役人)から、
現在サーカスにいる4人の幹部の中に潜む
モグラの正体を突き止めろと依頼される。
サーカスを引退している身のスマイリーに、レイコンは
コントロールやスマイリーの時代の置き土産だから
この件は、お前が片付けろみたいな事を言うのだ。

とにかく、この映画、スマイリーが仕事をしなきゃ
話が進まないし。こうしてスマイリーは
モグラ探しを始めることに。

コントロールとスマイリーが去った後に、
サーカスで働く4人は、昔からコントロールらと
共に働いてきた仲間ではあるが
良き仲間、信頼関係と言ったような ものは
あってないようなもの。
スパイだし、例えこの4人の中にモグラが いようがいまいが、
無駄に人を信用することは有得ないのだろう。

ソ連の情報に詳しいコニーと言う女性の諜報員は、
昔を特に懐かしみ、あの時は良い時代だったと振り返るが。

コントロールは生前、モグラと疑いのある人物に、
密かに、あだ名を付けていた。
「ティンカー、テイラー、ソルジャー、プアマン」
この4人がコントロール達が去った後、
サーカスを動かす4人。
コントロールが疑っていたのは彼らだけではない。
彼の右腕として働いていたスマイリーのことも 怪しんでいた。

この事実は、スマイリー自身、知ることになるけど
彼としては疑いをもたれていた事がショックだったようだ。
この仕事の、辛い一面と言う感じ。
でも、コントロールが、「右腕だから怪しまない」
でいる感覚の人なら、そもそもリーダーにもなれてなかったと思う。
あくまでそれは仕事人として当たり前のことだったのでは。

さて、このあだ名をつけられた男達の誰かがモグラなワケだ。

映画の中では、過去を ふと振り返り、
昔にあったことを思い出すシーンが何度も出てくる。
過去の記憶に向かうとき、大抵は、その人物が
情景を頭に描き始めるような表情をしていたりするから、
その辺りは特に分かり難いものではない。

分かり難いのは、むしろ名前の方かな。
4人の男達のあだなも、普段の名前も、なんだっけ?ってなりやすい。
何故って、登場人物が多く、それぞれの名前が
どんどん出てくるので(笑) 
4人をおさえ、スマイリーと、スマイリーと仕事をする男達の
両陣営のw一同の名前と顔が、しっかりと把握できないと混乱しそう。

後、名前だけ出てくる人物もいる。カーラと言う男。
こちら、名前だけ聞いたとき、最初ソ連にある秘密の諜報部隊
の組織の名前かと思っていた(笑)。
カーラは、ソ連の大物スパイで、スマイリーも一度過去に
会った事が。このカーラは、モグラに指示を与えている人物だ。

つまり何だか凄い東の大物スパイが、イギリス諜報部を
操ろうとしている。おおいに困ったことになっている。

過去にスマイリーがカーラと会ったのは、なぜかと言うと。
当時ソ連では粛清の嵐で工作員が脱出しまくっていた時代だった。
そんならリクルートしようってことで多くの工作員を西側に
引っ張り込もうとしていた。カーラもリクルートしようとした。
だが出来なかった。

スマイリーは奥さんとうまくいっていない(それどころか妻は浮気している)
それが仕事にもろに出てしまったのが、カーラに会った時。
「妻が大事なのだったら味方に付いた方が良い」と、
まるで自分に言うかのような説得をしたスマイリー。
カーラは大物スパイなのだから、最早その時点で見抜かれたに違いない。
カーラがチェーンスモーカーであると聞いていたスマイリーは
彼にタバコを用意してきた。ところがカーラは一本も吸わない。
なのに何故かライターだけは借りたままにして 
結局、飛行機で祖国へと帰ってしまった。

ライターは奥さんからスマイリーにプレゼントされた大切な物だ。
それには、奥さんからの愛のメッセージが刻まれている。
スマイリーは それを返して欲しいのもあるだろうけど、
自分がやってしまったことの後悔もあるのではと思う。
自分の弱点を、自分でカーラなんかに教えてしまったのだから。

弱みなんか無い方が理想だけど、人間だから 何かある。
家族がいないほうが無難かもしれないけど、恋だってするし。
特にストレスの溜まる事も多そうだし。
そう言う意味では、スマイリーと共にモグラ探しをやる、
スカルプハンターの一人、ギラムと言う男は
途中で身の回りの整理をするのだが、して良かったのかも。
彼の恋人は男だから、結果的に何かに利用されたりすると
きついだろう。てか 本人は、もう、そう思うしかない。

あたしは最初、スマイリーも相当怪しいなと思っていた(笑)。
スマイリーは、冷静で、常にポーカーフェイスで
いったい何を考えているか全然分からないのだ。
それでこそ諜報員なのかもしれないけれど。

しかし、スマイリーは、その冷静さを武器に、じょじょに
モグラが誰かと言う真実に迫っていく。

コントロールが去った原因にもなっている、
ハンガリーでの仕事。それに失敗し、撃たれて死んだ男ジムは
実は生きており、帰国していた事も発見する。
彼が撃たれた後にどのような展開があったのかをスマイリーは知る。

同じスカルプハンターの一人でリッキーと言う男がいる。
こちらは、ギラム(例のゲイの彼)の部下で、イスタンブールで
仕事をしている時に、KGB(ソ連)の女性イリーナと恋に落ちる。
でも、結局イリーナは連れ去られてしまい、
リッキーは遅れながら帰国。帰ってこなかったせいで
敵に寝返ったと思われていた。どちら側からも命を狙われていると
思い、こっそりとスマイリーに会いに来る。

ジム(死んでたはずの彼)の回想に出てくるが、
イリーナはジムの前に連れてこられ、消されている。
また、ジムは撃たれた後で東側に拘束された時、
スマイリーがカーラに、ぱくられたライターを持っている男
すなわちカーラに拷問を受けている事もわかる。


この、ジムが何かと重要で、サーカスの4人組の一人
ヘイドン(コントロールが付けたあだ名はテイラー)と親友だ。
二人揃って笑顔の写真などもある。
でも、親友と言うだけではない。おそらく一線を越えた関係だろう。
ジムはヘイドンが好きだ。

ジムはハンガリーに発つ前、密かに依頼されたコントロールからの
仕事の内容を、ヘイドンにだけ喋っていたりする。

ヘイドンと言う男はと言うと、スマイリーの奥さんと浮気している。
朝から勝手にスマイリーの家に上がりこんでいて
今来たといわんばかりに、取り繕ったりしているが
二人が出来ていることを、ずっと前、パーティがあった時に
スマイリーは目撃してしまっているのだ。

さて、サーカスの4人組の残るメンバーと言うと。
コントロールにティンカーとあだ名された、アレリン。
現在、サーカスのリーダーを務めていて、
顔に野心が滲み出ている。
彼は「ウィッチクラフト作戦」なるものが魔法のようにうまくいくと
信じており、アメリカからの協力も、これで得られると思っている。
現在、イギリスではアメリカからの協力と言うものが 
とても必要なのだろう。

そして プアマンこと、トビーは、その時、その時の流れに
乗じて、自分が生き残れる方を選んで付いていく男。
それは彼の過去の経験からくるものかもしれないが。
元々コントロールに拾われて、現在サーカスの幹部になっているが
コントロールが引退させられる際には、堂々と彼を見捨てている。

最後はソルジャーことブランド。顔がいかついので覚えやすい。
最早説明も面倒。

ともかく この4人から犯人を探し出さなくてはならない。

終盤に近づいていく内に、4人の男たちが、
次々と失脚していく展開や、
そこに迫っていくところは、ドキドキする。
緊張感やわくわくするのが、同時にある。

前に言ったように、ジムは結構重要だと言うことだけども。
ジムは、ラストでモグラを射殺する。
殺すとき、泣いている。裏切られたせいもあるだろうし
報復したいこともあるだろうし、でも、好きだからと言うのもある。
好きな奴だったので 自分で殺すって感じだろうか?

結局期待を裏切らないのは、カーラ。
先程ジムの話で もぐらが判明した通りだが・・・
モグラのヘイドンに与える指示が、一枚上手って感じ。

スマイリーの弱点は奥さんなのだから、
奥さんを寝取ることをヘイドンに指示。
そうすることで、この妻を寝取った男に対する
スマイリーの見方は、冷静に人物像を分析するものとは
違ってくる。スマイリーの目を曇らせておく作戦とも言うのかな。
だから、わざわざ本人に分かるように、ヘイドンは、
スマイリーの妻と浮気をしていたのだ。
朝から帰宅したスマイリーの前で取り繕い、
こそこそ靴をはくシーンとか、あれは、わざとか(笑)。
ヘイドンめ(笑)。

カーラの指示を受けて仕事をするヘイドンは
サーカスの男達を巻き込み、まんまと うまくやっている。
長いこと、モグラとして潜んできて見つかっていない人だし
それなりには頑張っただろう。
イギリスとしては、何と残念な。

けれども、スマイリーに見つかってしまったw
カーラのやろうとしてること、ウィッチクラフト作戦の真相も。
また、ヘイドンは 最後の方で、自分は歴史に名を残す
人間だのと言っていた。
それだったらスパイやってる場合ではないのでは。

印象的なのは、やっぱり、パーティでのシーンか。
ジムが、ヘイドンを好きって分かる、ところ。

そう言えば、最後、長く家に帰っていなかった、スマイリーの妻が
戻ってくる。どうでもいいけど、スマイリーの心は
奥さんにぞっこんのよう。
でも、奥さん、信用していいのだろうか?(笑)
そもそも、スパイとかモグラとかの前に、
浮気する妻を疑わなくて大丈夫だろうかw
この奥さんが何かに利用されていても、分からないのでは。

何だかいつまでもスマイリーが心配に思ってしまうw

映画自体はとても好みだった。


2011年 イギリス、フランス、ドイツ
監督 トーマス・アルフレッドソン
出演
ゲイリー・オールドマン/George Smiley
コリン・ファース /Bill Haydon
トム・ハーディ /Ricki Tarr 他


†ものすごくうるさくて、ありえないほど近い†

2013年03月06日 | ■MOVIE

『EXTREMELY LOUD AND INCREDIBLY CLOSE』 ※ネタバレ

この映画を見終わった後で、涙腺が壊れた。
こんなに泣く映画も珍しい。

一緒に見ていたタピは、この映画は、
あたしと接しているから まだ分かるところもあるが、
分からない人には全然わからないと思うと言っていた。
普通に見ていて感動する映画なので 
そうと言い切らないかもしれないが、どちらにしても、
この映画は良すぎた。近年でも相当やばい映画に値する。

主人公のどうしようもなく不安になる心境が
とても自分と重なって見えた。
どう説明するか難しいような不安が、
うまく表現されていて 臨場感がある。

主人公の少年は、何の病気か分からないが精神的な
病を抱えている。過去に医者からアスペルガーと診断
されたこともあるらしいが、本人が言うには はっきりとはしていない。
その病気については よく知らないが
日常の当たり前の景色に足がすくむほど怖いと感じるのは
とても分かる。分かるだけに なまじリアル。
少年オスカーが、ブランコに乗れるようになったことが
どれほど凄いことかと思う。

あたしの場合、ふいに耳にする電車の音とか、
少し床から響いてくる ひきずる椅子の音とか、
人の話し声や 街の雑音、ほんの少しの音も、
体内に大きな音で急激に飛び込んできて
たまったものではなかった。
音だけではなく、今見ている世界が、いきなり
崩壊しそうな不安が、共存し、
安心することすらも怖いと思わせる。

この映画のタイトル「ものすごくうるさくて
ありえないほど近い」は、結局どういう意味だろう?
色んな解釈があるようだ(ネットで見たところ)。
あたしが解釈すると とても現実的な ある意味否定的な
ことも含まれるから、本来の意味があるなら
全くかけ離れているかも知れない。
だが、あたし個人的には、要するに、受けて側(観た本人)が
好きに解釈すれば良いのではないかと思っている。

そうすると 「ものすごくうるさい」のは本当に良く分かるところだ。
文字通り、音が飛び込んでくるのだし、
普通気にならない音が とても大きな音になって入ってくる。
あたしにとっては、現実そのものだ。
さて、「ありえないほど近い」とは何だろう。
こちらも、あたし視点からすると、ありえないほど時が経っていない
ことを意味してしまう。現実に時間は経過しているのに
症状は前に進んでいかない。
だが、ありえないほど近いところに、実は前に進める何かが
あるかもしれない。
ありえないほど近い、それは自分の心の中にあるかも。

そうだとしたら、「ものすごくうるさい」もの(音だけでなく恐怖そのもの)が
「ありえないほど近い」その心の中の何かと結びついているともいえる。
「ものすごくうるさいほどに複雑すぎるものなのだ、
この、ありえないほど近く心の中にあるものは」

このような、ある意味あからさまな状態を、
想像力無しに結論してしまっているけど、
本来の意味がどうであれ、個人的にはこうなる。

パパを9.11で亡くしたオスカーは、父の死から立ち直れない。
それは残された母も同じ。このトム・ハンクス演じるパパも
サンドラ・ブロック演じる母も、最高にいい。
大好きだったパパと、探検ゲームをやっていたオスカーは
ある日、父の遺品の中から鍵を発見する。さらには
謎のブラックと言う文字も。オスカーは、探検ゲームを始めるわけ。

勿論ゲームを再開しても、今度は一人だし、
でもパパとやっていたゲームの答えは
実は未だ発見できてないし・・・。
彼の探検では、途中仲間に加わる謎のおじいさんが登場。
普通は、探検する少年と聞いたら イメージは もっと明るいものだが
オスカーの探検は、常に自分の恐怖との闘いだから
ある意味派手なアクションやファンタジーよりも
命懸けの感はある。

パパが亡くなった日の、9.11のビルが倒壊する瞬間の
映像も、母親がビルから見ている様子で描かれている。
あの映像は、ただでさえ見ると いたたまれないのに
映画で出てきた時のショックさは言葉に出来ない。

オスカーは、パパからの最後の電話に
出られなかったことを 自分に責めている。

テロや戦争と言ったものを経験した子供は
急に気が短くなったり、急に失禁したりするような
深刻なトラウマを抱えているケースが多いようで
オスカーは、パパが居る時から、精神的に不安定ではあったが
恐怖が心を蝕んでしまうことは あって 当たり前のことだ。
彼の抱える不安の病名などに意味は無い。

その後遺症が どれほど深刻なものなのか。
確かに ビン・ラディンは死んだけれど、
9.11から十年が経ってからの映画だけど
それだからと言って 傷が癒えるのではない。
それでも、本人は前に進むもうと力を振り絞る。

オスカー以外にも、現実にこうした恐怖と闘う人達は
子供だけでなく沢山居ることだろう。
戦争やテロの後遺症に悩むのは市民だけでなく兵士だって。
そのようなものがもたらす恐怖は
何年経とうと 容易に癒えてくれはしないのだろう。

オスカーの母が、最後に驚くようなことを暴露するが
それがまた感動した。いつも泣いていて、頼りなさそうな
感じに見えるが、それはオスカー視点から、だから、かも。

それに、ラストも良かった。パパのメッセージ。

前へ一歩を踏み出したオスカー。
この先だって不安になる事や情緒が安定しないことはあるだろうけど
確実に彼は前に進んでいて、その精神的な成長は
今後のオスカーを決定的に助けてくれると思う。

2011年 アメリカ
監督 スティーヴン・ダルドリー
出演 トム・ハンクス サンドラ・ブロック トーマス・ホーン

 


†NAVY SEALS†

2013年03月05日 | ■MOVIE

『ACT OF VALOR』 ※ネタバレ

予告編を見て、絶対見たいなーと思ってた映画。
ネイビーシールズと言う軍のエリート部隊が主役。
国VS国の戦争物ではなく、テロとの戦いに命を懸ける物語。
何せ相手は麻薬や武器で資金に潤っている犯罪組織だし
精鋭をそろえているかもしれないし、
特殊な武器だって持っているかもしれない。
超一流の兵士とは言え、危険に変わりは無い。

変わりはないけれど、凄すぎる。

無敵に強い主人公が、一人でさくさく鮮やかに
敵をぶっ倒すような強さは痛快だけども映画だ。
こちらは映画でありながら、彼らは本当に存在するのだから。

映画のストーリーはフィクションでありながら
出てくる武器や潜水艦などは本物で、
まさか、キャストまで 本物の隊員である。
すっかり俳優だと思っていた。

前に、ビン・ラディンが発見されるまでを描いた
ドキュメンタリーを見た。そこで、パキスタンにある邸に
潜入していくネイビーシールズの様子は まるで
映画みたいだった。なっても おかしくないだろうなって
思うようなドキュメントで、ちゃっかりオバマ大統領まで
出てきたりする。
その、ドキュメントの中で、ネイビーシールズは本当に
凄い兵隊たちだと紹介されていたのだけど。

この映画を見るともう はっきりと分かる。
凄いなんてものではなかった。
なんと頼もしいことだろうか。

ストーリーは、隊員のプライベート等を盛り込んであり
オンとオフの、彼らの表情や緊張感や優しさや
色々な物に、どんどん引き込まれる。

隊員の凄さもだが、本当に素晴らしい映画だった。
そう思ったひとつがラスト。
作戦中に亡くなった隊員の残した手紙には
「人生を愛し、満たすべくつとめ、自らの周りを彩れ。
相手の宗教を貶めるな」、と言ったような事が書かれていた。
その手紙の中身が本当に胸に響く。

更に、作戦中。敵が投げた手榴弾がコロコロコロと
転がってきた時、最初に見つけた隊員が大声で叫んだかと思うと
自らその手榴弾の上に飛び込んで、
自分が盾になって周りの仲間を守った。
何の迷いも無く。
これはもう、忘れられない。
この映画の中で一番、特別凄いものを見たような感じだった。
こうした一人が犠牲になって、と言う瞬間は、これまでも
他の映画で見た事が無いわけじゃないが、
この映画で見ると、特別。

好きなシーンは沢山ある。
でも特にと言ったら、最初の方に、拉致されたエージェント(CIA職員)
の女性を救出しに向かう作戦で。
救出し いざ現場から脱出地点へ向かう中、
犯罪組織の車が続々追って来る。
やがて道は終わり川へと。敵の方が、追い詰めた、と思った瞬間、
そこへ現れた味方の隊員達が乗ったボートが登場し
敵に向かって撃ちまくる。むちゃくちゃいい。

それに、撃ち殺した相手が水に落ちないよう、
すっと水面から現れた手が、死んだ敵を支える場面も
また凄い。
こちら
公式サイトの予告でも見られる。

この映画、はじめから最後まで 凄いとしか最早
言いようが無い。

映画の中では正義と悪がハッキリとしていて
犯罪者が犯罪者になっている由縁などについては
ほぼスルー。この正義 対 悪の戦いを見ていると
正義の強いことの 何と頼もしく有難いことだろう。
こんな人達がいるおかげで、おそらく未遂で
終わった様な事件が沢山あるんだろう。
凄く大勢の人達を助けているんだろうな。

彼らは愛する人を守ろうと思っているし、
愛する国を守ろうと思っている。
それに比べて、誰でも彼でも巻き込んで、自分勝手に
自爆するテロリストの大儀の無さ。
勝てるわけがない。

この映画は本当に観て良かった。
むちゃくちゃ良かった。


2012年 アメリカ
監督 スコット・ウォー  マイク・マウス・マッコイ
出演 ロセリン・サンチェス他


†スラムドッグ ミリオネア†

2013年03月05日 | ■MOVIE

『Slumdog Millionaire』 ※ネタバレ


前回96時間の怖かったところの話でも
ちらと出てきたインドが舞台の映画。

インドの悲惨な一面についても
前、本で読んだ事があったので
いかにも優しそうな大人たちが現れて
主人公にコーラを差し出すのを見た時は
「ああこの子供達 連れて行かれて
目を潰される」と口にしてしまった。
その通りの運びとなった。
もっとも主人公たちは逃げおおせたけど。

インドでは、物乞いの数が多いらしく
普通にしていては いっこうに稼げないので
より悲惨な姿で物乞いをすることで
何とか稼ごうとすると、見るからにショックを与える姿に
なるしかないと言うことのよう。
けれど、自分で目を潰そうなんて思うはずは無い。
社会の底辺に生きる彼らを、利用して稼ごうとする連中が
そんな事をやるそうだ。目が見えなくなったら、
一人で生活も出来ないのだから、その連中らの
言いなりになるしかない。頼るのはそこしかないからだ。
彼らが物乞いした金を搾取する側である連中も、もともとは
孤児だったりと言うこともあるらしい。
だから、現在 搾取されている側の子供も、年がいけば
その連中たちと同じ事をする事もあるようだとか。

映画は クイズ ミリオネア、のインドバージョン。
クイズに挑戦する主人公ジャマールは、孤児としていろいろな
経験をしてきた。たまたまクイズ番組に出た彼は、
まるで運が味方するかのように、答えが分かる。
クイズが順調に進む中、怪しまれたジャマールは
警察に尋問される羽目に。
どう考えても お前なんかにクイズの答えが
分かるはずないだろう、と言う扱いだ。

何故 自分が答えを知っているのか、それは
自分の経験してきたことに深く関わっているからだ。
ジャマールは、その経験を、その答え毎に警察へ語る。

突然 自分たちの住んでいた村のような場所を
急襲されて 母親を殺されたジャマールは
兄とともに逃亡し、偶然出会ったラティカと三人で
過ごすようになる。この時からジャマールはラティカの虜で
結局、兄とも彼女ともバラバラになってしまっている今
クイズに答えている瞬間も、彼女のことを思っている。

ゴミ山の近くに居たときに、優しそうな大人たちが現れて
ジャマール達を連れて行く。ご飯を出してやったり
唄を教えてやったり、親切な大人たちに触れた子供らは
連中を聖者のようだと思っている。
それが最初に言ったような連中で、一人づつ呼び出しては
気絶させて目を潰していく。
ジャマール達は何とかギリギリで脱出成功するも、
ラティカだけは逃げ延びれなかった。

この映画は、ラストは、孤児で苦労してきたジャマールが
結局、警察からも解放され、見事にクイズで最後まで勝ち抜き
大金を手にする。その頃で、兄は、これまで弟に酷い仕打ちを
やってきた事等もあったからか、自分の命を犠牲にして
ラティカを弟のもとへ向かわせる。
ジャマールは、ラティカと再会。良かったね。と言う感じの話。

いやに すっきりとしない。
このジャマールが、まるで夢のようにクイズで賞金を手にし
大切な人とも再会して、とても良いお話なのだが。
そのような強運に預かれずに、彼がこうしてクイズをやっている間も
現実にはとても多くの、過酷以上を強いられた人たちが
犠牲になっているに違いないからだ。

ジャマールは良かったけど、現実の孤児たちは?
また一人、目を潰されたりしているのではないのだろうかと
嫌な緊張や不安感が後々までずっとする。
それはジャマール一人が幸せになったからと言って
ほっとできるものではない。

映画の中で、ジャマールは母親が殺された時
必死になって警察に助けてもらおうと駆けて行くけれど
彼らは 深刻な様子の子供たちが走ってきても
あっちへ行けと言わんばかりだった。

こんな奴が現実にそこにいるのだろうと、思わせるような
おかしな事件が この国からよく聞かれる。

産業が中心になっていく町では森林破壊は勿論で
政府が開発に力を注ぐ中で、住民らが強制的に
撤去させられたりしたとか。
前回言ったような異常なレイプ事件だとか。
中国の環境汚染の問題が深刻だけども、インドは
中国より更に大気汚染が酷いとか。
毛沢東主義の反政府勢力がいるとか。
それに加えて、この映画の所々で出てくる変なところ。

もっとあるに違いないけど、
ともかく、不思議としか言いようがない・・・
この国の政府はいったい何をやっているのだろう?
まったく意味が分からない。
異常なことが多すぎる。
何か少しでも改善されつつあるんだろうか???

個人的には非常に憂鬱になる映画だった。

2008年 イギリス
監督 ダニー・ボイル
出演 デーヴ・バテル他


†96時間/怖かったところ†

2013年03月05日 | ■MOVIE

「96時間」を見て怖かった点についても。
※ネタバレ

映画のなかでキムは売られてしまい
処女だからと傷一つ付けられずに助かってはいたが。
別にあれはキムだから起きたのではない、と言う
実はとても怖い事件でもあるだろう。

今回の映画に出てきたのはアルバニアの組織で、
それを伝えるパパの仲間も絶望的になっていたが、
観ている こちらもまた絶望的になってしまった。

ぼこぼこにされているだろうし、麻薬打たれてるだろうし
有得ない肉体労働に就かされて
病気にだってなっているかもしれない。
しかも、出来る限り、気持ちを挫く為に、売られた子達は
自分の国から とても遠い国へ連れて行かれると本で見た事がある。
遠くなればなるほど、国に帰る希望が失われるからだって。

また、旅行先で、何かの伝手から、街案内しよう
なんて言ってくれる女の人の誘いに
乗ったが最後、と言う事もあるらしい。
女性なら、相手も油断するし安心するだろうと、
女の人を使ったりする事もあるって。
密輸するのにだって、物はなかなか苦労する部分もある。
でも人間なら、脅されて何も言えなくなっていたりしたら
ある意味、物より簡単に国境だって越えてしまえる。
そう言うルートがあるというわけだろう。

映画の場合、男がナンパみたいな感じで声をかけたが
女にさえ油断できない世の中、しかも外国で、
あまりに警戒感が無かったとしか言いようが無い。

おまけに、逃げたとしても、その国の警察や国家権力が
腐っていたら、助かりそうも無い。

もちろんのこと何もヨーロッパだけに言える事では無い。

フェイスブックのような実名ありきのSNSが、
人身売買に悪用されたりしているとかも聞いたことが。

最早世の中が繋がっていて
何もかもグローバルだから、犯罪もまた同じのよう。
だから何処に居たって、あまりに危機感がゼロだと
どんな事になるかは分かったものではない。

見知らぬ男の車に乗って痛い目に遭うと言う話なら
何も海外でなくとも 身近に聞く話だし
人身売買に限らず、
男性に比べて力が弱い女性と言うのは
いつだって 悲惨な状況になると 真っ先に犠牲に
なっているケースが多い。

言っても仕方ないが、どうして女性は男性より力が弱いのか。
映画ハードキャンディの赤頭巾ちゃんが沢山集まった
ような世にも恐ろしい女の組織・・・
つまり女を標的にした犯罪者を狩りに行く女の死神たちだ、
そう言う物が 生まれてこなければ良いけどな(笑)。

最近インドでは、いよいよレイプ事件で、
犯人を去勢しろと言う騒ぎになっていた。
犯罪者の人権があるなら、犠牲になった人の人権は?
性犯罪の再犯率はとても高いのだって言うし。
騒ぎがあったにも関わらず、まだ十代にも満たない少女たちが
次々犠牲になってしまっている。
去勢?いや、したらいいではないですか。
公開してもいい。
ゆっくりと、麻酔無しでやってもらいたい。
残念ながら?そんなことにはならないだろうけども。

映画の中で、キムの友達は、声をかけてきた男が
まさか死神だったとは思いもしなかったのだろうが
簡単にパーティーの誘いに乗り、どの部屋に滞在しているかを
教えてやり、おまけに「あたし彼と寝る」とまで言っていた。
この恐ろしさと言ったら。


†96時間†

2013年03月05日 | ■MOVIE

『TAKEN』 ※ネタバレ

(※この度より邦題をタイトルに、記事に原題を書く形にします)

今回はリーアム・ニーソンが良き強きパパとなって登場。
ドキドキするようなアクション映画になっていて
パパのブライアンの大活躍が、かっこいい。
やっぱり職人仕事の出来る強い男って(前回に続き)
本当に 素晴らしすぎている!!(笑)

ブライアンはパパと言っても離婚している。
今は別の父と暮らす娘のいる街に住み、
そのためにか仕事も引退した。
元はスパイとして働いていて、現在も独り身の彼のもとに
元同僚の仲間が訪れては、一緒に酒を飲んだり。
同僚に誘われた仕事先では、有名な歌手のコンサートの護衛を
勤めて、スチャッと危険を回避。

映画を全体通して、パパの娘への愛情がふんだんに詰まってる。
必ず毎年娘の誕生日には駆けつけて
写真を撮ったそれを アルバムにしている。
現役の頃も、アラブでの仕事を放り出して娘の誕生日に
駆けつけたと言うエピソードがあるくらいだから凄い。

さて そんな可愛い娘に17歳の誕生日がやってきた。
歌手になりたい夢を持つ娘に、家庭用カラオケ機をプレゼント。
それを手渡した直後、新しい娘のパパが、なんとまあ。
馬を一頭プレゼントしたりして。そりゃ娘も興奮しきって
カラオケ機を置いたまま飛んでいってしまう。
自宅に帰ってきたパパは、新しい娘の写真をアルバムへ
しまいながら、優しい目をしている。

馬は確かに凄すぎるプレゼントだなぁ。
でも、いつも娘を思っているパパがアルバムを見ている
シーンから伝わる 思いと言うのは 馬よりずっと良いのだ。

前に歌手を危機から救った時も、娘が歌手になりたいのだが
何か助言をと言い出す始末だし(笑)。
で、命を救ってくれたお礼にと、歌手が娘さんを
マネージャーやレッスンしてくれる先生に紹介してあげると
言って名刺をゲット。

ところが娘にそのニュースを伝えたかったのだが、
彼女が友達とパリへ旅行へ行きたいと言う話で
親子喧嘩になってしまう。
パパとしては 「まだ」17歳の娘に パリへの旅行なんか?
危険すぎるからダメって感じ。
確かに この年頃の娘は、友達と外国へ旅行へいけるなんて
夢中になってしまう出来事だと思う。
パパの心配ぶりは、かなり堪えてしまうわけだ。
結局 パリ行きを条件付で許可することに。

到着した時と、毎晩必ずパパに電話をすることが条件だ。

飛び跳ねて友達と飛行機で旅立つ娘。
見送るパパ。
しかし、娘はパリで いきなり事件に巻き込まれてしまい・・・・・・。

さあ、パパの大事な娘はどうなってしまうだろう。

まずもって、この、娘キムと共に旅行へ出かけた女の子が
とにかく危機感ゼロ。確かに旅行は楽しいし、はしゃいで
しまうものかも。
でも半分自業自得と言っても おかしくない。
パリに着いた、空港から出て、タクシー順番待ちしてる中、
そこにいた男に声をかけられ、やすやすと彼にホテルまで
送ってもらう事を許す。滞在先を相手に知られる(と言うより
最早教えている)し、今夜パーティーがあるからおいでと誘う男に
簡単にYESと言う。そんなノリだったら、商売人もラクと言う話だ。
これについては 次回にでも掘り下げておこう。

男が妙な空気するから、これは事件に違いないと
見ている人はわかってしまう展開だ。
色々ありそうだが、咄嗟に思ったのは、金目当ての誘拐か、
もしくは人身売買だろうなと。
旅行者を狙ってる感じするし「この子達売られてしまうわ」と
言ったが、本当に売られてしまった。

パパは娘が到着しているはずなのに電話がないことを
不審に思い、携帯に何度もかける。
やっと電話に出るキム。そこで事件発生。
電話口から パパが、「今から言う事をよく聞くんだ」と
冷静に指示する。「お前は おそらく連れ去られる。
何でもいいから相手の特徴を電話に向かって伝えろ」
案の定、娘は隠れていたベッドから引きずり出されてさらわれる。
男達の特徴を叫びながら。

こうした展開はいやにハラハラするけど、もうパパの冷静さが
なんと頼もしいことか。さらわれていく娘の叫び声がショックを煽る。
だけど、あたしは、ここでの冷静なパパの仕事っぷり
(電話口から指示する) が たまらなく好きだ。

パパの追い詰め方が気持ち良いし、
悪党に情けはかけないところが また良い。
娘は処女と言うのもあって、すぐに売春宿へ行かされず
もっと怪しい人間に売られそうになっている。
パパの仲間が言うには、連れ戻すとしたら96時間の猶予しかない。
その上、パリで協力してくれそうな友達は、現在管理職に
なっているから等と言い出す始末。
この時点で、この管理職男からも十分匂う(笑)。
おそらく金で繋がってるんだろうと 予測させる。

だからと言って、パパにしたら 関係ない。
管理職男の目の前で、その妻の腕を銃で撃ち、
管理職男に黒幕を調べさせたり。
こうした容赦無いパパの行動が本当に気持ちよすぎる。
ちゃっかりと、妻の「傷は浅くない」と言う配慮も良い。

とにかく時間が無いのだし、無駄な事をやる暇も無いのだ。
だって娘を助けなきゃ!

娘は処女で本当に良かった。
あるパーティーの行われている場所の地下に 
暗闇で顔が見えないよう設置された
幾つものブースが、ステージを囲んでいる。
そのステージに登場する売られた子達の怯えた様子。
ただ売春宿と違って、もっともっと不気味な世界。
買うのは それなりの金持ちだろうからだ。
暗く静かな地下からは不気味と死の匂いがする。
こう言う変態共が大金払って、一体何をするんだろうか?
ただ寝るだけとは 思えない感じがして それが怖い。

処女と言うことで傷一つ無い商品となった娘を
もちろん、パパは助け出す。
おそらく助けるであろう強さなのだが、
最後までハラハラさせられる。

もう頼もしすぎるパパ。ラストもまた良い。
それにリーアム・ニーソンが やたらにカッコいいし。
元にしろ現役にしろ やっぱり工作員が活躍する話って好きだ。
冷静で 先を読んでいて 容赦の無いあの強さといったら。
時々展開が見えてしまう?気もするが(笑)
いっこうに構わない。観て良かった。また観そう。

2009年 フランス/アメリカ
監督 ピエール・モレル
出演 リーアム・ニーソン他


†The Bourne Legacy†

2013年03月04日 | ■MOVIE

「The Bourne Legacy」※ネタバレ

やっぱり職人は こうでなくてはならないだろう。
殆どと言っていいほど、今回の主役アーロンの動きには
無駄が無い。
さすがは暗殺者。その名に恥じない活躍ぶりで
最早 笑ってしまうほど凄い。

ボーン・シリーズのサイドストーリーである
この作品。ボーンが同じ時に別の場所で行動を起こしていて
それによる混乱等も同時進行でちらりちらりと登場する。
一度も画面にボーンが現れる事はないのに、
いる、と言う臨場感がある。

主役アーロンは、確かに気持ちよすぎるくらいの
手際良さで敵を圧倒するけど
ボーンとは また違った個性があって親しみやすい。
あまり感情を表に出す事の無いボーンより
アーロンは感情表現が豊か。
悲しそうだったり 寂しそうだったり 微笑んだり。
戦っているときも、ボーンは アーロンに比べると
無表情のようだ。アーロンは険しい顔つきになっている。
だから人間臭い感じがする。

しかも演じているのが『ハートロッカー』で主役を演じた
ジェレミー・レナーと言う男優。むっちゃいい。
『SWAT』では悪者っぷりもハマっていた。

人間臭いという部分で言うと、確かに凄腕なアーロンだけど
時々弱る。で、女の方が有得ない活躍をして見せたりする事も。
それがまたスカッともする。

ストーリーは、ボーンのお話と繋がっているので、
そちらを見てからのほうが楽しいとは思う。
泣くほど簡潔に言うと。
これまで働いてきた機関から急に命を狙われるアーロンは、
勿論(笑)生き延びて同時にまた 命を狙われている博士の女性を 
危機から救出し二人で逃亡していく展開。

残念な事を挙げておくと、だいたい、この二人は生き延びる
だろうって言うのが 途中で分かる感じ。

国家権力を盾にしてアーロン達を追い詰めようと必死な側よりも
大抵アーロンの方が一歩先にいる。

アーロン達暗殺者に、なにやら遺伝子に厄介な手をくわえたりしてる
科学者達。一緒に逃亡する女性マルタ博士が、アーロンの
服用している薬は服用中止となり、薬無しで生きられるウィルスが
出来ているなんて説明するのを聞いていると、
不気味さを感じる。普通にそんな話をしているのだから。
頭のおかしい科学者が何をしでかすか分からんぞ的な。

でもって、頭のおかしい科学者ってのが出てくるシーンが
いやに怖かった。
ある時マルタは人の神経を操作したりするような仕事に
関わっているとか敵の女に漏らしていたが・・・。
まるで誰かの意志で動かされてるロボットみたいな様子の科学者が、
マルタがいる部屋で急に銃を乱射し始めた。
怯える人達を、次々と撃ち殺していき、最後の一人の息の根を
止めるまで諦める様子は無い。
机の下に隠れて、どうにか身を潜めているマルタは、
ひとりづつ、淡々と殺されていく音を聞く。
動悸が激しくなった彼女の吐く息が 
あのロボットに永遠に止められるのではと言う不安な気持ちがする。
しかもすぐそこに、そいつは居る。

マルタは難を逃れる。次の危機が迫った時にはアーロンが救出し
しかも 最後には良い仕事をする。

アーロンがウィルスを注射し、その後、身体がぶっ倒れた時も、
彼は彼女に逃げろと言って聞かせたまま 意識を失うが
マルタは逃げたりしない。
いたら足手まといなのでは?と言う不安もあった。
だって 暗殺者が凄くても 女性連れになると、足を引っ張られる
可能性は大だもの。その心配は余計だったみたいだ。

警察が、二人の逃亡先の民宿みたいな場所を囲んだ時も、
外にいてそれを見つけた彼女は めいいっぱいの声で
アーロンに逃げてと叫ぶ。彼女の声でアーロンは そこから脱出し
警察に捕まっているマルタを助け出す。

ところどころで、互いに強力しているのが良い。
確かにアーロンのような凄腕では無いし 力も弱いかもしれないが
マルタだって戦うのだ。そしてそれは実際にとても役立っている。

でも この話でも もっとも素敵なのは、やはりアーロンの強さだ。
別格の強さを見せ付ける。その手腕は鮮やか過ぎて凄い。
こうであってこそ手練。これこそ職人。
こうだからボーンのシリーズは大好きだ。

今回更に魅力的だったのはアーロンの個性。
どこか孤独そうで、母性ある人は放っておかれない感じ。
訓練中も ほぼ人と会うことが無かった様子で、
訓練地にいる管理員みたいな男と会った時も やたらに話す。
色んなことを質問したりするし
相手を知ろうとする職業病かも知れない。
でも 人と触れ合う機会を もうずっと欲していたように見える。

過去の記憶の中では、昔孤児院に居た、と本人が言っている。
その時の表情が なんだか 無性に寂しげに見えて
とても胸に迫る。
はじめに小屋を爆撃された後で、墜落させた残骸を発見した時の
表情も、怒りよりも悲しみに歪んでいるよう。

しかも、たまに素直で子供みたいな笑顔を見せたりもするもんだから。

そりゃあもう観ていたら アーロンに不幸が起こることなんか
許せないと言う気持ちに。
しつこくアーロン達を狙い追っかけてくる暗殺者のイラつく事といったら。

最後はハッピーエンド、アーロンが幸せになったので
何もかも良しですっきり。

先に言ったように、話の展開が読めそうな感じもあり
映画の面白味で言えば、ボーン・シリーズの方が満足する人も
多いかもしれない。

でも、あたしはこのアーロンに魅了された一人なので
何の文句もなしに大好きな作品の一つになった。

2012年 アメリカ
監督 トニー・ギルロイ
出演 ジェレミー・レナー  レイチェル・ワイズ  エドワード・ノートン


†ボビー†

2011年09月03日 | ■MOVIE

†Bobby†  ※ネタバレ

ロバート・ケネディを讃える作品なので、ボビー。
ロバートと言えば、これまでに記憶に残っているのは
マクラレン委員会とか、マルセロ国外追放とかw
そう言うネタばかり印象付いている。

1968年、6月、暗殺されるロバート上院議員。
彼は選挙で、アンバサダーホテルへとやって来る。

 

映画は、ケネディが来る事になっているホテルのレストラン厨房で勤める
メキシコ人や、黒人、そしてその上司、更にホテルの元ドアマン、
ホテル専用の美容師、ホテルに唄いに来る歌手など、
様々な事情で、この日アンバサダーホテルに集まっている人々が
ピックアップされ、その夜ケネディが撃たれる瞬間へと向かって行く。

ケネディと言ったら、ジョン・F・ケネディの方がどうも印象に残っており
弟の方はあまり印象に無いかもしれない。
それでも、この映画を観ると、ああ、アメリカは勿体無い人を
失ってしまったなぁと言う気持ちになってしまう。
国民の多くから愛され、また希望にもなっていた、と言う点が
とても伝わってくる。
彼の実際のニュース映像やスピーチ等を登場させているだけで
特に伝記映画でも無いのにだ。凄く見せ方が上手いと言うか。
彼のファンでなくても、魅力的に映るケネディが本当にこの時代の
アメリカを救えそうな希望の様に見えてくる。

そして、この時代のアメリカの様子、相当病んでるなと言う印象。

さて、この映画もまた出演陣が豪華で、好きな人からピックアップすると
厨房マネージャーはクリスチャン・スレーター。作品の最初で彼は、
上司から、人種差別を批判され首にされてしまう。そんな事をする人だが
物凄く嫌な男と言う風に映らない。あたしが好きな役者だからだろうか?
普通にしている分には、愚かな行為が目立つとかでもない。
更に彼は、首にした上司の秘密を知る。それは、上司の浮気である。
その事を、同じホテル内で勤務する、美容師である彼の妻に告げ口するのだ。
姑息な事をする嫌な奴!なのに、不思議と悪い奴に見えて来ないのだから
本当に不思議w

その美容師役はシャロン・ストーン。他、ベトナム戦争行きを逃れるため
偽装結婚する兵士役にイライジャ・ウッドや、その妻となる役に
リンジー・ローハン、とにかく一度は聞いたことのある名前がずらり。

嬉しいのが、元ドアマンにアンソニー・ホプキンス。こちらのドアマンの
キャラクターが本当に素敵。嬉しそうに友達とチェスを楽しんでいたり
するのだが、とにかく可愛いらしい人。このキャラクター大好きだ。
妻に他界され、これまで仕事1本で、妻よりホテルを愛していると
言われたことまである彼は、彼の孤独を抱えている。

他には、あたし的に出落ちのwトランス・フォーマーの主人公役で
お馴染みのシャイア・ラブーフ。彼は議員の陣営で働く若い青年で友達と、
ホテルにいる売人からマリファナやLSD等を買い、
完全にきまってしまい、不思議な世界を行き来した挙句、
後から、ちゃんと選挙活動するべきだった・・・と後悔し始める役。
本当に可笑しいwトランス・フォーマーの時と同じチキンぶりが
ちらりと見えて、笑える。

また、ホテルに唄いにやって来る歌手にデミ・ムーア。
酒を飲みながら、精神的にかなり参ってる感じの歌手。
彼女のキャラクターもとても良い。個人的にかなり好き。

他にも、厨房で働く、素敵なキャラクターにローレンス・フィッシュバーン等
登場人物がこれだけ多くいても、どの顔も覚えていられる顔ぶれ。

特に良いのは、それぞれの人物が語る台詞。
鬱病を抱えた夫とその妻も、ホテルに滞在しているが、その夫婦の
会話とか、何だか心の中に残っている。
それは暗い、と言うより、希望があり、温かさがある。

デミ・ムーアが演じてる歌手のヴァージニアの台詞も凄くいい。
良い人になろうとしても、なれない。もうこれには素晴らしいとしか言えない。

人種差別やベトナム戦争や、キング牧師の暗殺と言った
あらゆる問題が、作品に絡み、登場人物たち、それぞれの人生が
その日一日の中で、ゆっくりと動いていく。
そして遂に、ケネディがホテルへとやって来る。
スピーチを終えたケネディは、厨房を抜け、退室していく途中、
囲まれた人々の握手に答えながら、その間に銃弾に倒れる。
ケネディだけでなく、何とトランスフォーマーのw例の青年や
その友人、更にはスレーター演じるマネージャー、イライジャ演じる
兵士の青年、また、鬱病の夫の妻、なども、巻き添えになり
撃たれて倒れてしまう。

おそらくもう死んでしまったのでは。
そうとしか思えないほど、ぐったりと青ざめている人達。
苦しそうに息をするスレーターは、首にした上司に見つけられ
彼からスーツの上着をかけてもらい、病院に運ばれるまでの時を過ごす。

衝撃的な事件に、そこにいた誰もがショックを隠しきれず
さきほど、陣営スタッフとしての働きをケネディ自身から讃えられた
一人の青年は、その悲しみに、出会ったばかりの女性の胸で泣き崩れる。
ホテルにいる誰もが悲しみに襲われている、
その中で、ひたすらに、ケネディのスピーチが続く。

担架に乗せられ運ばれていくケネディ。
大勢の人間が、ただ、どうしようもなく、ロビーや玄関に集まっている。
美容師の妻は、夫を見つけて、彼にしがみつくようにして泣いている。

この事態に、流れ続けるケネディの言葉が
あまりに見事にハマっていて凄い。

作品はそれでおしまいなのだが、実際、ケネディ以外の被害者達は
全員、命は助かっていると説明が加えられている。
それを観て心底ほっとする。失われた希望は戻らない。
それでも、ケネディに希望を持った人々が後々それを受け継いでくれる
のでは。そう思えるから余計にだ。

今回の映画を見て、改めてロバート・F・ケネディと言う人物を
知ろうと色々な物に触れた。
その中でも、特に凄いと思ったのが、
キング牧師の暗殺が行われ、黒人の暴動が全米各地で相次ぐ中、
演説の中止を警告する警察らに従わずに、インディアナ州の
黒人街で即興によるスピーチを行った時のこと。
暴動で各地に大勢の負傷者や死者が出たが、
彼の命懸けの言葉に、
その地域だけは平静を保つ事が出来た。
こんな立派な事をやっていたのか、ケネディ!と瞬きしてしまう。
確かにこんな人物がいたら、人々の希望になると思うな。

他にも、人種差別を撤廃する為に精力的に活動しているようだ。

彼の暗殺だが、事実、アンバサダーホテルの調理場を通り抜ける際に
サーハンと言う男に撃たれている。だがサーハンの殺しには謎が多く
警察の捜査にも謎の点が多い。以下はウィキから。

『この時代の政治家の例にもれずロバートにも敵は多く、
妥協を許さない追及を受けたジミー・ホッファなどの敵対する大労働組合幹部、
大労働組合との関係が深く、しかも家族と因縁の深いマフィア、
KKK等の人種差別主義者、ベトナム戦争で利益を上げていた軍需企業、
軍部、CIAなどの関与が噂されているが、それを実証するものはなく真実は
藪の中となっている』


更に、マリリン・モンローとの関係など、彼は、実に(個人的に)興味深い
人達との因縁や関係を持っている。

ホッファは映画『ホッファ』もある。GELU:GAで紹介中。

このような面がありながら、彼の凄まじい正義感を感じる
エピソードに触れたりすると、何で殺してしまったんだろうかと思えてくる。
なかなか、こんな人物はいないと思う。だから本当勿体無い人を失った。
多くの人の希望が奪われたのだ。

暗殺とか、ちょっと今の日本では考えられない事態だし
ここまでやれる政治家も、こんな時代にしか現れないのかなとかも思う。

どちらにしろ、彼のエピソードも、彼を取り巻いたあらゆる人物たちも
魅力的過ぎていると感じた。
映画も、とても素晴らしい作品だ。大変気に入ったので また観る。


†ブラック・ダリア†

2011年09月02日 | ■MOVIE

†The Black Dahlia† ※ネタバレ

観たいと 思いつつ、すっかり忘れてた。

何か怖そうな感じがして、ちょっと観れるか心配。
でも、何も怖くは無かった。

過去に実際に起きたブラック・ダリア事件を追う警官の話。
最初の雰囲気とかギャング映画見ている気分になる。

ブラック・ダリア事件と言うのは、通称ブラック・ダリアで
通っていた、エリザベス・ショートと言う女性が殺害された、
非常に残酷極まりない事件。エリザベスが遺体となって
発見された時、その身体は真っ二つに切断されていて
口の両端は耳まで切り裂かれており、血抜きされ洗浄
されていた。しかもどうやら、生きたまま切断されたよう。
この事件は、エリザベスの写真がマスコミに撮られたり、
犯人と名乗る無関係な人物が現れたり、と、捜査が混乱し
結果的に今も未解決事件。

映画では、元プロボクサーとして活躍していた警官のバッキーが、
主人公。彼と同じく元ボクサーで警官のリー、そして彼と同棲している
恋人のケイの二人と、仲良し三人で日々過ごしている。
リーは、過去に犯人から金を奪っていたり、実は、悪い事もやってる警官で
そんな事を知らず、恩人だと思っているバッキーは、リーの恋人に
惹かれながらも、この仲良し三人の関係でいたい。

そんなある日、ブラック・ダリア事件が起きる。
バッキーとリーは他の犯人逮捕に励んでいたのだが、リーは
その事件は後回しで、先にブラック・ダリア事件を追うと
勝手な事を言い始め、怒るバッキー。しかし、リーは
このブラック・ダリア事件に とり憑かれたみたいに
のめりこんで行き、もう誰にも止められない事態。
恋人のケイは、彼の異常な程の事件への執着心に怒り心頭。

ケイはケイで、過去にある男と関わっており、その男は
逮捕され刑務所に入っていたが、もうすぐ出所してくる。
こういう不安な面を抱えながらも、ブラック・ダリア事件の
犯人はまるで分からず、益々謎は深まるばかり。

 

バッキーは、ブラック・ダリアつまりエリザベスにそっくりな女性と
出会って関係を持つ様になる。彼女はマデリンで、
その父は、土地の開発で大成功した金持ち。

事態は急変し、リーが、過去に妹がいて殺されたと言う事実を
ケイから聞くバッキー。姿の見えないリーの居所を探るため
ケイに問い質す。リーの下へと向かったバッキーは、後一歩の所で
リーを助けられず、彼は何者かに殺されてしまう。
落ち込んだバッキーは、その後、ケイと関係を持つ様になるが
ある時、たまたま、リーの隠し金を発見し、ケイから、過去にリーが
強盗犯から横取りした物だと知るバッキー。

リーを信頼し恩人だと思っていたバッキーはショックを受け、ケイを
置いて出て行く。その後マデリンと過ごしているバッキーは、
マデリンの父が所有する家の中に、ブラック・ダリアが映っていた
フィルムの中で登場する場所を発見。
殺人が行われたと想われる場所も見つける。

マデリンが父と過ごしている所へ現れるバッキー。
二人に銃を突き付ける。そこへ現れたマデリンの母親が
実は犯人であると、自ら告白し始め、ブラック・ダリアを殺したのは
残酷なジョークだと言い、持っていた拳銃で自殺。

ブラック・ダリア殺しの犯人は分かったものの、マデリンの父は
金の力を使って、妻がただ銃の暴発によって死んだ事にしてしまう。

やるせない気持ちのまま、バッキーはマデリンと会う。
実は、ブラック・ダリア事件を追っていたリーは、この事実を
突き止めていて、あの時、マデリンによって殺されていた。
その事を知ったバッキーは、マデリンと口論し、彼女から罵られ
最終的に彼女を殺し、ケイの元へと帰る。

と言うような話。

とにかく、ブラック・ダリアの事件は事件なんだが、この警官バッキーの
関わるほかの事件とかも関わってきているし、登場する人物の
関係とかも、よく見ていないと、あっという間に分からなくなりそう。
ダリア殺しの犯人の母親は、最初に登場した時点から変な人だし
犯人を探していく過程は、正に刑事ものって感じ。
でも、特にドキドキとかハラハラとかは無い。
結構バッキーがマデリンや、ケイと寝たりするシーンなど、
だらだらと彼の日々が流れて行く、かったるさがある。
この、かったるさが ずっと続いてく感じ。

話自体は、警官のお話なんだなと。
ブラック・ダリアと言うタイトルだけに、この事件にスポットを
あてたもっと怖い話なのかと思っていたが、思っていた怖さは
全く無く、確かにダリア事件を追うものの、バッキーの人生の
作品だった。

苦手な人は苦手とはっきりしそうな感じがする。
個人的には、何かギャング映画みたいな雰囲気がして
空気は好きだ。


†トラブル・イン・ハリウッド†

2011年09月02日 | ■MOVIE

What Just Happened ※ネタバレ

これも、どうする事も出来んw

前々から観たかった映画で、
ロバート・デ・ニーロが、ハリウッドの映画プロデューサー役。
実際にこの映画で、プロデューサーをやってもいる。
この、プロデューサーの苦悩の塊のような日々が
コメディで描かれていて、ラストのイラっと感が くどいほどw

何曜日、何時、と言う風に区切られたり、
ひたすら資料を見てるシーンが 早送り状態になったり
多忙な仕事に追われる様子が続く。
もう休みなんか無いんでは?と思うくらい。
頭の痛い問題が多く、タイトル通り、トラブルだらけ。

プロデューサーのベンは、凄腕として知られているのだが
一度失敗すると、あっという間に地位を失う、かなりの
崖っぷちな商売であり、何とか全ての事を上手く回さないとならない。

その彼に降りかかっている問題と言えば。
まず現在関わっている映画。
主役にショーン・ペンを起用した作品のラストに彼が
撃たれ死ぬような展開のストーリー。
試写会では、主人公が撃たれるだけでなく、彼の犬までが
撃たれて死ぬシーンに不評が集まり、アンケートを集めるも最低な結果に。

当然、映画会社社長は、この作品のラストを修正するよう指示。
女社長ルーに会いに行く、ベンと監督のジェレミー達。
ジェレミーは監督しての作品への拘りが強く、修正する気は無い。
困った展開に、どうにかベンは、ジェレミーを説得する。

さて、プライベートでも、ベンは離婚中の妻とカウンセリングへ
通っていたりと、トラブルな展開。妻のベッドから他の男の物と
想われる靴下を発見したり、その前に離婚した妻の娘は、
意味も分からず泣きはらしていたりする。
仕事と、プライベートの両立が出来ず、結局、仕事に追われる
ベンは、別れた妻と、会ってゆっくりした一時を過ごそうとも無理。

落ち着く暇が無いベン。

監督問題はおいておき、別では、ブルース・ウィリスが出演すると
決まってる作品のクランクインが迫る中で、現れたブルースが
何故か髭面にメタボと言う問題発生。出資した会社側は完全に
ブルースに頭にきていて、ヒゲとメタボなんかやめさせたいので
どうにかしろとベンへ。ベンはエージェントであるディックに
ブルースを説得するよう指示するが、ディックは上手くやれない。
仕方なく現場へ赴いたベンは、ブルースと対面。
しかし、ブルースを説得するどころか、彼に文句を言ってしまい
いっそうブチ切れたブルース。高いギャラを払う一流俳優であるし
こちらは映画が駄目になっても困るし、このブルースの問題は
非常に厄介な展開になってしまう。

毎日忙しい日々が続くベン。別れた妻が新しい男といる所を
目撃してしまう、だとか、カウンセリングへ通うとか、
例のブルースの問題とか、その他にも仕事だらけ。
今度、ブラッド・ピットが出る映画のプロデューサーをやらないかと言う話も
きているが 考えておくとだけ伝える。

さて、ジェレミーはあれからラストを修正し、犬が生き残り、
大変感動のシーンに変えてくれた。安堵するベン。
ルーも一安心だ。

そんな中で、有名プロデューサーの自殺があり、
葬儀へと赴く。そこにはブルースの姿も。再び説得を試みようとするも
ベンを嫌っているブルースは、いまだ怒っており、何度も彼を
食事に誘うとか色々な手段で説得しようとしてきた彼を、突っ撥ねている。
その葬儀の席には何と、この間泣きはらしていた娘までが。
なんと娘は、そのプロデューサーと関係があったようだ。
おまけに、その席には、別れた妻の新しい男になっている関係者も。

とにかく、この葬儀の日は、どうにもいかずに一日は終る。

映画のクランクイン当日、なかなか現れない
ブルース・ウィリスを待つスタッフ達一同。
彼がヒゲを剃ってなかったら終わりなのだが。
緊張して待つ人達の前に、ゆっくりと姿を見せたブルースは、
髭をそり落として現れ何とか事態は良い方向へ。

安堵する暇も無いベン。

さて いよいよカンヌ当日。
ラストの変更はまだ未見だと言って楽しみにしているショーン・ペン。
ところが、カンヌの上映では、編集前の、犬が死ぬバージョンの
作品が発表された。監督は最後まで拘りを貫いてしまったのだ。
これでベン、一気に窮地に立たされる。

フランス帰りはジェット機だったはずが 置いて行かれてしまう始末。
残念すぎのベン。

戻って来た彼は、POWERと書かれた文字の前で多くの関係者との
写真撮影にのぞむ。写真撮影では立ち位置が全て決められており
その位置はその人間の地位を表わしている。
ここでベン、まさかの一番端のPの文字の更にその外側へ立てと
指示されてしまう。

終わりと言うわけ。

コメディだから 凄く見やすいし、キャラの個性が分かりやすい。
頑固と言うか拘りの強い映画監督や、売れる事が勿論一番大切な
映画会社の女社長の態度や、扱いに困ってしまう大物俳優など。
降り回されまくりのベンが かなり悲惨。
そう言う仕事なのだから、相当タフでないと、
まずこんな事は出来ないと思って観てた。

大物俳優の役で登場するブルース・ウィリスは、本人が本人役で
出てたり、ショーン・ペンもそうで、この辺りが観ていて楽しい。
特に、ショーンが主演した作品の中の、ショーンが、カッコ良くて
お気に入り。

デ・ニーロは、プロデューサーなんだけど、どうも人にこき使われる
ような人に見えない空気があるwそこが素敵なんだけどもw

最近、何かと見ている映画に登場するジョン・タトゥーロはディック役。
結構 出演陣がこちらも豪華な作品。
ただ、仕事と言う点で、前回の摩天楼と同じく
本当、どうしようもないし、どうする事も出来ないw

見ている分には面白かったし普通に楽しめた。


†摩天楼を夢みて†

2011年09月02日 | ■MOVIE

Glengarry Glen Ross† ※ネタバレ

何だか、本当どうしようもない、としか言えない。
サラリーマン達が主役のお話。

アル・パチーノは、ローマと言う男で登場し、
会社でもトップをいく成績優秀な社員。
彼の勤める会社は、ミッチ&マレー社と言う不動産で
他に、シェリーと言うベテランだが最近不振で、娘が病気して
金にも困っている社員や、同じく成績の悪いモス、アーロナウらがいる。
そして、いつも冷静な表情を崩さないウィリアムソン支店長。
モス役がエド・ハリス、シェリーはジャック・レモン等、出演者が豪華。

いつものように客が取れない社員らが今夜も仕事に励んでいる。
だが彼らは不満だらけ。何しろ、会社が渡してくる情報が
彼らにすればクズ同然のもので、それをネタに客が掴めるはずが無い
と言うわけだ。過去には良い成績を上げたシェリーは娘の病気が
気にかかっている。
そんな中、本社より、ブレイクと言う男がやって来る。
彼は、ローマがいないのを無視して、揃っている社員だけで
会議を始める。まず、ぼろっかすに社員らを罵り、客はもっと酷い事を
言う、等と言いながら、男だったら契約を取ってこいと言いたい放題。
不満だらけの社員らは、彼に偉そうに言われてかなり気分が悪い。
その上ブレイク、今度の成績発表で一位の者には、車を、
二位にはナイフのセットをと賞品の説明を始め、三位の者は首にすると
発表。また、成績優秀者にしか、上等な情報は渡さないとも告げられる。

一位か二位になるしか道は無い。
追い詰められる社員たち。
とにかく、不満はあるものの、シェリーと支店長を残して、社員達は出て行った。
シェリーは何とか電話をかけたりと、粘ってみるも、上手くいかず
帰り支度を始めた支店長に、例の、成績優秀者しかもらうことの出来ない
情報を、金で買うから渡してくれと説得し始める。
しかし支店長は無理な要求を言い放ち、結局、シェリーは諦めるしかない。
このシェリーって人かなり粘ってしつこく支店長にネタを売ってくれとせまる。
もう必死過ぎている。それもそうだろう。娘のこともあるし。

雨の中、シェリーは出て行き、娘の病院にも行けず仕事を続ける。

その一方で、モス達は、会社の不満をぶちまけながら、
会社に報復しようと企てていて、会社から例の情報を盗み、強盗に
あったと見せかけて、そのネタはライバル会社に売り払って、
自分たちで儲けてやろうと考える。モスはこのアイデアを本気で
実行しようとしており、同僚はやるしかないと説得され追い詰められる。
ローマはと言うと、彼は、会議にも出ず、客を見つけて商売に励んでいた。

さて翌日。ローマが会社へ向かうと、パトカーだの警官だので
何事だとオフィスへ向かう。強盗が入って荒らしており、電話機まで
無くなっている始末。彼は自分の契約に関わる書類が盗まれたかどうか
心配になる。
そこへ、シェリーがやって来ると、彼はとてもごきげんで、
契約をとったと言う。自分にもツキが回ってきた、やれば出来ると
すっかり自信を取り戻している様子だ。
モスがオフィスの奥の個室で、事情聴取を受けており、出てくるなり
あの警察の態度はムカつくと怒っていて、シェリーが契約を取った
話なんか聞きたくもないと絡む。ローマが鼻に付くのか、彼にすこぶる
文句を言いまくったモス。彼が出て行った後、ローマはシェリーに
契約を取った話を聞かせてくれと言い、シェリーからその時の話を
聞いて、流石ベテランだと言う風に喜ぶ。

次々社員が事情聴取を受ける中、ローマが契約した客の男が
そこへ現れ、契約をキャンセルすると言い出す。
ローマは、シェリーに、客の手前、どこかの偉いさんの振りをしてもらうよう
頼み、何とか茶番を打つのだが、シェリーの演技は良かったものの
結果的に、支店長が余計な口を挟み、契約はパーになってしまう。
ローマは支店長に怒りまくって、警察の事情聴取へ。

残ったシェリーが、支店長に、文句の続きを言いまくる。
日頃の鬱憤もあるのか、シェリーはひたすら文句を言い続け
想わぬ事に、シェリー喋りすぎて、うっかり秘密を漏らしてしまう。
それは、モスの計画に乗って、オフィスを強盗に見せかけて荒らし
ネタをライバル会社に売って、儲けたと言う事だった。
その、うっかりを、冷静な支店長は聞き逃さず、そんな事実を
何故知っているのかとシェリーに問い詰めて事情を知る。
シェリーに、お前は喋りすぎだ、俺も喋る所を見せてやると
警察に何もかもぶちまけてやろうとする支店長を、どうにか止めようとする
シェリー。だが、支店長はシェリーを振り払い、警察に全てを語る。

がっくりと落ち込んだシェリーは、何も知らないローマから
ベテランだ、客の前での演技は最高だった、等と褒めちぎられ
何とも言えない表情で答える。
あちらから、警察がシェリーを呼び、最後にローマに何かを言おうとするも
ローマは仕事の電話中。シェリー諦めて警察のいる部屋へ。

おしまい。

本当にどうしようもない。だって、3位首ってな。
まあ仕事が出来ない人は要らないんだろうけれど、
じゃあいきなり出来るわけでもないだろうしなぁ。
追い詰められる社員達に同情してしまう。
確かに復讐してやろうかとも 思う人も出て来るだろうし。
かといって、強盗に見せかけて・・・って、そんなのすぐバレるだろうw

シェリーの必死さが凄い。客に断られまくったり、
支店長に何とかネタを譲ってもらおうとする しつこさとか
客の家で、どうにか契約してもらおうとしたり、
マジでセールスマン、しかも余裕が一片も無い。
ローマの方は、客に断られて慌てるも、まだ他の社員に比べると
多少の余裕が見える。でも、皆と同様に不満は凄くあるようだ。
モス達はと言うと、モスは冷静に見えて、かなり不満を溜めすぎてて
だから復讐なんかを思いついたのだろうが、相当頭に来てる様子。

この映画はストーリーどうのと言うより、至って冷静で
ある意味悪者のように見える支店長のキャラクターが好き。
口数が少なく、淡々としている。
シェリーにしつこくネタを売ってくれといわれている時も冷たく
無理な要求を言い出すし、シェリーが犯人と気付いた時も
自分の娘が病気しているんだと言うシェリーに、そんな事は知らんと
言い放ち警察達の所へ向かう、非常に事務的な態度を
一貫して崩さない彼。動揺とか見せず、ひたすら冷静。
こう言う、ペースを崩さない人すごく良い。
ちなみに、役はケヴィン・スペイシーが演じてる。
彼は、セブンのあの素敵な犯人役である。

モスやローマやシェリー達と言うと、感情が豊かな方で
怒ったり、怒鳴ったり、嘆いたり、色々するんだけども
支店長だけ一人、異次元にいるようなほどの冷静さだ。

物語として観ると、本当どうしようもないし、どうもできんw
もう自分の会社からネタ盗んで売っちゃったしw
しかし 追い詰められまくってるしで。

世知辛い、としか。

個人的にはキャラが良かったので普通に観れた。
また観る機会は無いだろうなぁと言う感じ。


†ココ・アヴァン・シャネル†

2011年09月01日 | ■MOVIE

Coco avant Chanel ※ネタバレ

これは、彼女の人生物って感じで、ストーリーだけで言うと
とても悲しいのが観終わった感想。

作品中に出てくる黒い衣装に いちいち目がいく。
仮装大会で友人に着せる服とかにしても。
他の人があまり黒でぴしっとした服装じゃないからかな?
あの黒の洗練された美しさが素敵過ぎる。
シャネルが自分で服をアレンジして男装しているのも素敵だ。
シャネルを演じるのはアメリのオドレイ・トトゥ。

映像の質感とか好き。特に孤児院の頃。

さて物語は。
シャネルは姉と共に、父に孤児院に預けられる。
成長し、大人になった彼女は昼は仕立て屋で勤務し、夜は
ナイトクラブで唄うと言う生活を送っている。
そのナイトクラブで将校と出会う。シャネルはココと呼ばれており
かなりドライと言うか、冷めたような人に見える。
何とか歌手なり俳優なりと、成功したいと言う野望を持ちながら
将校の愛人となり、遊んで暮らす日々が続く。
遊んで暮らすうちに、将校の友達などとも親しくなる。
この日々を彼女は退屈がり、仕事がしたいと言う欲求が生まれる。
将校と居る時は大抵男装し、もうどちらかと言うと風変わりな人。
ある意味反抗的な感じも受ける。あらゆる女性の派手な装飾について
いちいち毒を吐いているし。だが彼女の作る帽子のセンスが良いと
評判になる。そんな中、イギリス人の実業家であるボーイと出会う。
恋に落ちたココは、本当に幸せそうで、これまでの退屈な表情とは一変、
彼といると素直に笑顔を見せてて、とても可愛い。
あれほど幸せそうな表情をするのだから幸せになってほしいと思うが
実際にはボーイは既に結婚相手を他に決めており、事実を知ったココは
もう誰とも結婚しないと心に誓い、ボーイにもそれを伝える。
ボーイと付き合い始めた自分の愛人を、今になって好きだと気付き、
将校はココにプロポーズするが、ココはそれを断る。働きたいと考える彼女。
それを応援するボーイ。結局、将校の家を出て、ボーイの協力を得たココは
帽子屋を開くことに決める。
自分の店を持った後も、ボーイとの関係は続く。彼が店に会いに来ると
やっぱり幸せそうなココ。暫くココに会えるよう、近くに滞在する事になった
ボーイを見送りに出てくるココ。明日からはずっと一緒にいられると約束し
出て行ったまま、ボーイは事故で帰らぬ人となる。
知らせを聞き、現場へ向かったココは、呆然。
強烈な悲しみを持ったまま、彼女は一流のデザイナーとして
ファッションショーを開催していると言うラスト。

こう言う感じで
ココの人生を追って行く物語なので、彼女の視点から見る
人々の服装への意見とか、面白かったりする。
でも、ボーイが死ぬのは悲しすぎた。
そこしかもう覚えてないってくらい インパクトあり過ぎ。

ブランドのシャネルについての詳しい知識があるとか
または そのブランドが好きで買いあさっているわけでもない。
元々、「ブランド物」と言うカテゴリーに、惹かれない。
そう言う物はどっちでも良い。でも凄く惹かれる部分もある。
それは、ショーでの美術とか(特にシャネルのは最高すぎている)
後、広告の写真とか、作り手側の話、と言った部分は、商品よりも
大変に興味深い。なので、どのような商品があるのか殆ど
よく知らないが、シャネルのショーはよく見る。
とてもクールで衣装より舞台が好みだったりするから。
http://www.chanel.com/fashion/13#13-chanel-fashion-show

作品の中でもそうだったように黒と言う色を、あそこまで
美しく扱えるのは天才的。黒と白は色の中でも
無敵の色と言う感じがする。当然好みの問題はあるとしても。
この二色は魅力的過ぎる。

オドレイ・トトゥの笑顔はとっても素敵。何か見てて幸せになる。
しかし作品の中でのボーイとココの別れが 本当に悲しくて
悲しい話、としか印象に残らなかった。

他にも黒いバージョンがあり、別監督で別の俳優がシャネルの
物語をやっているみたいだが未見。
そっちも同じようにボーイとの別れの悲しいのがあるとしたら
いまいち見る気になれないが。

ショーの舞台裏でモデルとかじゃなく美術とかスタッフとかが
本番までを作り上げていくドキュメンタリーとか無いのかな?
あったら絶対そっちが観たいな。映画と関係ないけどw


†スリップストリーム†

2011年09月01日 | ■MOVIE

SLIPSTREAM ※ネタバレ

アンソニー・ホプキンス監督の映画。
彼自身、脚本家の主人公として登場する。
で、クリスチャン・スレーターも出てくるし、やったね、みたいな。
映画の内容とは言うと、説明し難い。

では感想は、と言う事だが、
何が何だか分からぬうちに物語が進んでいるので
あたし的には、彼は物語(自分の脚本)と現実の区別がつかずに
どっちの世界もうろついてしまっているのだなぁと想って観てた。
自分の作品に入りすぎてしまって・・・って言う小説家の話だったり
こういった感じの映画ってあるけど、ただ、他の映画と違うのは
本当に何が何だか、な、うちに物語が進んでいると言う所。
主人公が、現実と物語を混同しているので、見てる側も
どれが現実なのか、物語なのか?さっぱりだ。
恐らくは、脚本に出てくる人物と接している時は、ほぼ非現実だろう
と、思う。妻が現れたりすると、そこは現実っぽい。
彼の混同している物語の中に登場する人間が、実は現実世界では
医者や警官として登場したりする。

まるで夢みたいだ。ちらりと見た人が夢の中でストーリーになって
出てきた感じ。しかも、夢は至って不可解な物が多いし
変な夢をずっと見ている感じと言うか。

突如、道路で銃を持って暴れる男が、主人公の乗っている車に
喚きながら銃を撃ってくるも、主人公はぼーっと見ているだけ。
そんな事件がありましたとニュースで伝えられるのだけど
そのニュースを見た女性が、友人が映っていると発見し電話する。
友人は、電話を受け、主人公と共に、自分が乗っていた車が
テレビに映っているのを見てはしゃいでいる。
電話した女性は、仕事中で、その勤務先の男に、仕事が終った後
車まで見送ってもらう。この、男は連れ去られて死ぬし、女性は
田舎の方の店で俳優として、良く分からぬ映画に出演し、
その映画に同じく俳優としてクリスチャン・スレーターも出ているのだが
演技の途中で、スレーターの様子がおかしくなり、クルー達が慌てるも
彼は突然死んでしまう。大慌てになる撮影所。
そこへ急遽送り込まれる脚本家が、主人公で。
撮影所の俳優や関係者たちの関係は何だかぎくしゃくしているし
最終的には、この脚本では、結局、スタッフのはずだった女性が
車にひかれる展開になっており、この女性は、恨めしそうに
主人公の前に現れて、あたしの役を殺すなんて酷いわと嘆いていたりする。

全く何が何だかなのだ。
で、主人公は、妻に付き添われ、病院にいる。
医師たちが、彼はなんちゃらとか言う精神疾患か何かの可能性は
みたいなことを言っている。何か忘れたけど、酷い顔色の主人公、
妻に連れられ病院を後にする。
帰りの車内で急に、車から降りて行こうとして、慌てて車を脇に止める妻。
旦那ふらふらと道路を歩き出すので追いかけていく妻。
警官がやって来て、主人公を車に戻すよう妻が必死になってると
あっちから来た車に突撃して主人公、死んでしまうと言うオチだ。

この警官が、スレーターだったりするもんだから、本当夢でも
見ているのでは?と言う感じ。

でも死ぬ以外に無かったのかも、とか思わせられてしまう。
だって主人公は、現実と物語の世界を行き来しまくってて
完全にわけがわからなくなってしまってるし。

 

撮影所に向かった主人公は、そこで、店の入口の女に金を払い
適当な会話をした後で、カーテンの向こうへ出て行く。
そしたら、撮影してた脚本の世界にいると言う展開がある。
そのシーンがかなり印象的。
夢か何かの世界の入口みたいな感じ。
脚本の中へどうぞ。時間は何分、お金は幾らです、みたいな。
だから、時間に追われているのかな?
この人、もう何時だから帰らなくてはなんて突如言い出すし。

本当不思議な映画で、どう言う風に、この映画を
読み解いたら良いかわからないのだが、
意味の分からない映画だったー・・・と言うような不快感?とか
観なくて良かったわ、と言うような、がっかり感とかは
無くて、ただ、不思議としか言いようが無い。
と言うか、自分には難しかったと言うべきだろうか?
大抵、全然意味の分からない映画だ、と思う映画って
観た後で後悔したり、もう観ないとか なっちゃうんだけど、
この映画は、そう言うのとも違っていると思った。

映像が時々すごくスタイリッシュと言うか忙しいと言うかw
効果的な場面が色々ある。好きなのはエンディング。
エンドロール最高だった。