コブトー農園のやまぶどうレポート

山の中の小さな畑から、手探りのやまぶどう栽培の様子をお知らせします。

苗畑デビュー

2023-07-09 09:34:00 | 日記
 「標高1,000mの壁」の記事で、苗木の予備を自分で用意する必要性について書かせていただきました。挿し木(さしき)によってクローン増殖を図ります。


 まず、冬の剪定をした際に、切った枝を春先まで保存しておきます。
 保存方法は色々あるようです。土に埋める、乾かして冷蔵庫に入れる、濡らして冷凍庫に入れる。正解は分かりませんが、ブは濡らした新聞紙で枝を包み、2週間ほど冷蔵、その後冷凍して、挿し木の前の2週間をまた冷蔵、つまり人工的に冬を経験させる感じです。
 
 今回は、正月明けに剪定した枝を3月半ばに挿しました。

 貧栄養の土(鹿沼土を使っています)に挿して毎日、朝晩に灌水。だんだん芽が膨らみ、4月になると系統により時間差はありますが葉が出始めます(展葉)。この展葉率が、挿した本数の概ね9割くらいです。

 でも、これは単に枝が持っている力(栄養)のお陰であって、問題は発根するかどうかです。発根できなければ、葉の成長に伴い、葉からの水分の蒸散が大きくなり、水分の供給が追いつかなくなって、やがて枯れます。その発根率が概ね8割でした(またまた大ドジ。写真を撮るのを忘れました)。

 結局、全部で199本挿して、138本が苗畑デビューできました。



 実は、ヤマブドウは挿し木の成功率が普通の生食用ブドウより悪いと言われています。比較のために、普通のブドウ代表でデラウェアも挿して見たのですが、ヤマブドウ(野生種)の発根率が最終的に7割未満だったのに対し、デラは10割でした。今回に関しては噂は本当だったようです。

 苗畑の全容がこれです。


 エンピツくらいの太さしかないので見えづらいですよね。ま、いっぱいあるのね、と思ってもらえばOKです。

 でも、これで終わりではありません。この後、何割くらいがしっかりと活着して生き残ってくれるか?夏を耐え、冬を越えた来春に答えが出ます。


雹(ひょう)です

2023-07-06 18:44:00 | 日記
 関東地方にお住まいの方は耳にされたかもしれませんが、去る7月3日(月)の夜、前橋市付近で激しい降雹がありました。
 金属製の物置きからは、一斗缶を棒で叩いたような大きな音が響いていました。場所によってはゴルフボール大のものが降ったようです。
 友人からは「車のガラスが割れた」とのLINE。修理費13万円だって。
 幸い、我が家では特に被害はありませんでした。

 でも、テレビでは農作物の被害報道が!
 そうだ、ウチにもあるだろ、ブドウが。

 4日も経ってから確認(マヌケですね)したのが標題の写真です。房の上の方で粒が破裂しています。

 全部でおよそ50粒。

 自家用だから構わないけど、売り物の高級品だったら大変でしょうね。

 もっとも、そんな高級品なら、そもそも露地栽培なんかしていないのかな?

 でも、こういう心配もしなきゃならない。またひとつ、勉強になりました。

標高1,000mの壁

2023-07-01 22:27:27 | 日記
 野生のヤマブドウには、標高的に生息範囲というものがあります。
 コブトー農園がある群馬県北西部の吾妻地域では、標高1,000mを境に、それより低いところには野生のヤマブドウはほとんど自生していません。
 もちろん、ブが自分の目で見た限りのことで、学術的に調査したものではありませんが、そこには何か理由があるはずです。

 ヤマブドウは、林縁部(りんえんぶ=森林の“へり“部分で、伐採や道路工事で明るく開けたところ)の良く陽が当たるところを好みますが、そんな場所が好きな蔓性の植物は他にもあります。

 標高の低いところで良く目にするのが葛(クズ)。どこへ行っても大抵は厄介者ですよね。



 他にもカラスウリなどもあります。

 少し標高が上がるとマタタビ(白い葉っぱがチラチラしているヤツ)なども混じってきます。そして・・・



 標高800mくらいを境に、これらの蔓類は少しずつ数を減らし、ようやくヤマブドウがポツポツと目に付き出すようになります。



 何を言いたいのかというと・・・

 コブトー農園で栽培をしようとしているのは、実は野生種のヤマブドウです。
 ということは、標高500mの農園は、本来的には栽培の不適地である可能性があると言うことです。

  標高1,000m以下にヤマブドウが自生していない理由としてブが考えているのは、ヤマブドウが植物として・・・

①標高の高いところには存在しない害虫や病気に弱い。
②標高の低いところの暖かい平均気温や最高気温に耐えられない。
③基本的に他の蔓類との競争に弱い。

 などですが、さらに林業が盛んな地域では造林木の成長を阻害する悪者として積極的に切り捨てられるということもあります。 

 取り敢えずできることとして消毒などの手段を講じたとしても、せっかく植えた苗木が上手く育たずに枯れてしまう可能性は考えておかなければなりません。

 ヤマブドウ栽培そのものが超マイナーな上、野生種とあっては、苗木が枯れたからと言って、その辺のホームセンターでは替えの苗木は手に入りません。

 そこは自分で何とかしなければならないので、一つの手段が、バックアップとして、挿木(さしき)で苗木を用意しておくことです。

 その様子がこれ。



 現在、鋭意育成中ですので、近日中に報告したいと思います。