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鼓曲萬来

鼓絆 太鼓以外の使用楽器 その2

前回の瓢箪に続きまして
今回は法螺貝(ほらがい)でございます


和太鼓の演奏に於いてこういった吹きものもよく登場いたしますが
これはほら貝の殻を使っての楽器でございます

よく山伏とかが腰に下げてブオー!と吹き鳴らしたり
昔の合戦場面の際、或るいは法要、式典の際にも使われますので
ご覧になった方も多いと思いますが

普通はこの吹き口にマウスピースが付けられた物で
案外たやすく音を出す事が出来ますが
当塾で使用する法螺貝は
マウスピースは付いておりません
(消毒もきちんとしておりますが)

従いまして唇の振動と息だけで音を出す訳でして
そう簡単に一回でブオーという訳にも参りませんが

過去に一人だけ一発で音を出した方がおりました
デヴィッドマレーのビックバンドのトランペッターでしたが
今の処彼だけでございます

まあ、あの楽器自体
ピアノの指間の開がりが大切と同様に
唇の形次第で将来が決まるというような
非常にアンフェアな戦いの中で勝ち残っていった方

それはそれは見事なブローでございました
法螺貝の英語名をトランペットシェルという位ですから
音を出せて当然なのかもしれませんが


で、この法螺貝
何ゆえに士気を鼓舞するのか
或るいは勇猛果敢な心意気を奮い立たせるのかと申しますと

深い海の底
岩に削られ、波に浚われ
傷だらけになった法螺貝であればある程良い音を出す

という事でありまして
そういった事から
この法螺貝をして不屈の精神を象徴するのものであります

また修験者が何ゆえに法螺貝を携えているかと申しますと
その音が獅子が吼える音に似ているところから
獅子吼、即ち仏の説法と解釈され
天地の加護を頂くとの為であります

同時に、法螺貝を吹くと必ず雨が降ると伝えられ
雨乞いの代表的な楽器でもある訳で有りまして

当塾でも一曲だけ「諏訪雷」という曲で使用致しますが
「この曲を演奏すると必ず雨になるんだよな」と
よく塾生も申しておりますが

それはまさしく「至誠天に通ず」
演奏を寿ぐ法螺貝の息吹が雨を呼ぶとも申せましょう。


宝来の銅鑼

銅鑼の呼称で有名なのは宝来の銅鑼でございますが

銅鑼に宝来とあれば日本製
宝来羅漢とあれば
それは今最も話題に上るところの
中国武漢の製造によるものであります

で、我々の使用している銅鑼はこれ


「泰来」であります

宝とくればまず思い浮かぶのが
なかきよの とおのねふりの みなめさめ
なみのりふねの おとのよきかな
例の回文に示される如く七福神の宝船でしょうか

なにかパッと恋愛、金運、健康運
長寿「めでたい」という感じがそこに連想される訳ですが

泰と申すのは感じから申せば
何か良き兆しの現れといったニュアンスですかね

卦で言えば、不運尽きれば好転すというw
否去泰来,苦尽甜来. と申しまして
苦難から立ち上がるといった
まさに今この時代に打ち鳴らすべき饗音とも申せます

で、私どもの銅鑼はPAISTE製でございまして
使用楽器の中でも特にROCK感の強い出所

それこそ、我々の使用楽器は
カメルーン、中国、日本と多種多様でございますが
アメリカ、イギリスのROCKバンドが使用するのは
銅鑼に関しては大体がこちらでございます
QUEEN,KISS,STONES、WHOしかり


昔、上海に演奏に行った時に
中国製の青銅鋳造の宝来銅鑼を買い求めた記憶もあるんですが
あれはどこに行ったのやら
以来、使用しておるのは
こちらの「泰来の銅鑼」

見ての通り、中心部、その周り、外郭と3つの音が鳴りますが
気を付けなくてはならないのは
決して鳴っている銅鑼を手で押さえて止めない事
自らの饗音で自滅と申しますかw
割れてしまう事もありますので要注意でございます

折角の好転のチャンスを
自らの我で止めてはならないという事でしょうかね

まあ、こういったご時世
めでたくとはまいりませんが
好転のきざし開くべく
力強く打ち鳴らしてまいりたいと思う所存です。

チャッパ

色々と我々の使用楽器について紹介してまいりましたが
本日は、これチャッパと申しまして
主にリズム、テンポをキープする楽器であります


ご覧のように
木製の箱形の台座に
金属製の椀が上向きに四つ配置されておりまして

それを柄の付いた同系の椀形の金属で
上から押さえつけるように
チャッ!チャッ!チャッ!と演奏致します

前に紹介した鉄鉦(ドカン)と同様
この楽器も一門のオリジナル楽器でありまして

おそらく、師匠である故小口大八宗匠が
ドラマーのアートブレイキー氏と競演した時に
ドラムにセットされたハイハットを見て

或るいはバリに演奏に行った際に
ガムランを見てインスパイアされたものと想像致します

時に、マレット状の撥で演奏する事もありますし
上の椀二つを持って「手びら」のように演奏する事もございます

いずれにせよ、演奏の際、テンポをキープする
重要なポジションを担っているのであります。



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