再び素人探偵りうまちゃーをやってみよう。
今回は関節リウマチの小児型疾患の若年性特発性関節炎(若年生関節リウマチ)を患っているフィギュアスケーターの三原舞依選手の古めの記事二本で素人考察を巡らしてみます。
んで、記事はこの二本
フィギュア界のシンデレラ三原舞依。難病を乗り越え、幸せを伝えたい。
シンデレラ、一気に頂点 三原、浅田に魅了され競技へ 大病で今も通院「言い訳にしない」
まず、
若年性特発性関節炎・
関節リウマチってナニ?てことですが…体の免疫物質の一部(IL-6[主に肥満細胞を抑制する物質]やTNFα[腫瘍細胞破壊物質]などなど)が狼少年化する病気です。
ただ寒かっただけ、気圧が下がっただけetc.程度で、ばい菌進入!と判断して自己の関節を攻撃してしまって炎症を起こして関節の腫れや軟骨損傷を起こす病気です。
実は既存のメディアで詳しく紹介しているのは「
NHKスペシャル・人体」なんですよね。
「体の中は驚くほど美しく、騒がしい」がキャッチフレーズでしたが、この騒がしく喋ってる免疫物質の一部が狼少年化して滅茶苦茶指令を出すようになって体ボロボロになる病気が一般に膠原病と言われる疾患で、その中で関節がターゲットなら関節リウマチ、さらに小児年齢なら若年性特発性関節炎になります。
関節症状以外にも無駄に炎症が起る為に、血中のタンパク質が無駄に消費されて慢性的な疲労感や貧血も起りやすいですし、中長期的には血管炎症も起るようです。
さて、発症時期は、全日本ジュニアの一週間くらい前で、JrGPF後に受診して即入院(Number)ということですから、発症から約二ヶ月くらいの初受診で治療開始ということでしょうか。
普通の感覚だと「二ヶ月も病気が判らなかったの?」だと思いますが…りうまちゃー目線だと「むっちゃ早!」
発症から三ヶ月から半年の人でも早期診断の部類に入りますから、最初から腕のいい医者に掛かられたようですね。
これはリウマチが外科症状の出る内科領域の免疫異常疾患で、尚且つ個人差が大きいという、いろんな方面で専門知識の要る難しい疾患という特性のせいです、知識と場数を踏まないとなかなか診断し辛い病気なんです。
(ちなみに自分は藪ドクターショッピングの果てに、たまたま当たった専門医にチラ見五分で診断されるまでに四年掛かりましたわ、コレはコレで最遅記録モノですが)
さてその治療内容、診断時に即二週間の入院で車いすを使っていたということですから相当に強い症状がでていたようです、普通この疾患で発症初期に入院することは希なんです。おそらくリウマチ疾患に使う薬剤をフルで使ったんではないかな(
リウマチの治療・薬物療法)、特に症状が強い時はステロイドを使います、
ステロイドパルス療法は入院しないと行えないのでこれを行ったための入院だったかも?
これに非ステロイド性抗炎症薬・最初ボルタレン→ロキソニンに移行、抗リウマチ薬・
メトトレキサート(略称MTX、1945年リリースの薬でジェネリックが山程あるので特定出来ず)、
生物学的製剤(後述)ですかね。
ただステロイドは今はリウマチ治療で長期的に使う傾向ではないので、既に断薬している可能性が高いです。
次に
「月に1回、点滴と注射をして、状態をチェックするために採血もしています」(Number)
現在も1カ月に1度は通院し、2時間の点滴のほか大量の血液を抜くという。薬も定期的に飲んで苦労は絶えない(産経)
若年性特発性関節炎適用があって月一の2時間の点滴ということは
生物学的製剤の
アクテムラ以外ないのでコレだと思います。
注射は関節部位の水抜きのちブロック麻酔or一時的なステロイド注射ですかね?
飲み薬はロキソニン+胃薬のセットとMTX。
大量の血液を抜く???リウマチは一般的に病態として貧血傾向になって、上記の薬の副作用でも貧血があるんですが、大量の血液を抜く?…もしかして
白血球除去療法(LCAP)ですかね?まだまだマイナーな治療法で実施している医療施設も少なく、リウマチ拠点病院でもやってないところも多い治療法ですが、攻めてますね。
さて、これだけの薬物を使って副作用は大丈夫なのかというと…なわけないやん!重篤副作用山程あるよ!
免疫抑制作用のある薬はアクテムラ・MTX・ステロイド、これらの共通した副作用として感染症リスクの上昇、感染症からの敗血症、間質性肺炎、肝機能障害、造血機能障害。
ステロイドの副作用で有名なのは骨粗鬆症、大腿骨骨頭壊死、白内障、副腎障害と薬物性糖尿病、代謝異常からの肥満。
MTX、これは実は世界最初にリリースされた抗がん剤で白血病治療に使われていた薬をリウマチ治療に転用した薬なので一般的に抗がん剤の副作用といわれるものは全部あります。
生物学的製剤のアクテムラ、これは主に肥満細胞を抑制する物質のIL-6抑制剤なので代謝異常(コレストロールや中性脂肪の上昇)が出ます。
さらにIL-6にはウイルス等に感染した時に体温を上昇させる指令を出す免疫物質ですが、IL-6を抑制するとウイルス等に感染しても体温が上がらず感染が進行する傾向が強くなります。
じゃこの治療をいつまで続けるのか?ですが、膠原病に完治の概念は無いので症状を感じない寛解の状態に持って行ければ止められるし、30歳以下で一年未満で治療開始したら寛解に至りやすいと言われていますが…
「関節がこわばったりして、全然動かなくなったりします」(Number)…寛解ではないですね。
ステロイドは既に断薬していると推測されますが、それ以外、白血球除去療法も現在ではエビデンスが確立されていないので終了もありと思います。体調次第で抗炎症剤も減薬、生物学的製剤がアクテムラなのでMTXは断薬が出来るんじゃないかな思います。が、このコメントを聞く限りでは生物学的製剤を断薬に持っていくのは難しい感じがしますね。