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名前(呼び名)とアイデンティティー<2>

2015年05月27日 | 出産・育児

約2年前の記事、私のストレスからお察しいただけるかと思いますが、2歳児クラスの頃は何もかもが噛み合わず、私にとっても坊にとっても苦難の時代でした。



その頃から保育園での坊の呼び名に変化がありました。
坊の名前を伏せたままだと説明しづらいので、仮に「翼」くんとします。



そういえば、生まれてから名前を決めてお披露目した時に、義姉から「なんて呼ぶの?」と聞かれたことがありました。
たとえば、けんちゃんとか、たけちゃんとか、ひろくんとか?
そういう、愛称はどうなるの?という意味で言ったのだとは思うけど。
えっ?あ、いや…、普通にツバサと呼んでいただければよろしいかと…。
と。

呼びづらいと感じる人がいることに、ちょっと複雑な気分になりました。
でもまあ、今現在スタンダードな呼び方はツバサだったり、ツバサくんだったりで落ち着いているわけで、何も問題ないのですが。



保育園の話に戻りますが、2歳児クラスのある頃から、先生が坊のことを名前の一文字を取って「つーさん」と呼ぶようになりました。
その呼び方は坊に限ったことではなく、他の子のことも「ゆめさん」とか「けんたろうさん」とか。当時の先生がそんなノリのキャラ?だったみたいです。


それまでにも保育園では、他の先生が他の0歳児や1歳児に向かって、
「ちょっと、鈴木さん!オムツ変えますよ!」
とか言って追いかけてたりするのを見ていたので、なんじゃそりゃ(笑)と思いつつ、この呼び方も一時的なおふざけかな、と気にしていませんでした。




ところが、いっこうに止む気配もなく数ヶ月が経過。
もはや、園中の先生が「つーさんおはよう!」
同級生のママも「あ、つーさん!」
クラスの子も「バイバイつーさん!」
で、定着してしまいました。


当時、友達とうまく交流できなかった坊は、ただひたすら無視でしたが、ある時一度、
「つーさんじゃない!(怒)」
と、抵抗したことがありました。
それを聞いた時母は、
「う~ん、イヤなのかな~?でも、今さらこの呼び方変えるの、もう無理じゃない?」
と、うっすら思い、母親が同じように呼べば少しは抵抗なくなるかも?と、一緒になって時折冗談ぽく「つーさん」と呼んだりしてみました。



年度が変わり、先生も変わり、半年が経とうかという頃。
ある日、実家のばあばと話をしている時に、(坊のいないところで)保育園での坊の呼び名の話題になりました。
「つーさん」と呼ばれていることを知ったばあばが、
それちょっとおかしいよね。変なの。何その呼び方。こどもっぽくないね。
と、容赦なくつぶやきました。
まあ、そういうなよ。
私も気にはなっていたけれど、それでもポジティブに捉えないことにはやっていられないと思っているのだから。


そこで努めて明るく、

「坊、みんなにつーさんって呼ばれてるんだよね~♪」
と、隣の部屋にいる坊に声をかけたところ、
「先生なんかみーんなツバサって呼んでくれないんだよねえ…」
と、ムッツリ不機嫌に言ったのです。


あれ?
やっぱりイヤなの?
と、ここで初めてハッキリと坊の不満を認識。


「え~?いいじゃん、みんながつーさんつーさんって呼んでくれるんだからさあ♪
ゆめちゃんもゆめさんって呼ばれてるよ?」

となだめてみたけれど、そりゃイヤなものはイヤだよね。
それに考えてみれば「ゆめさん」は「ゆめ」と、ちゃんと名前を言ってもらってるからね。
坊も「ツバサさん」だったら問題なかったのかしら?



改めて、
「つーさんって呼ばれるとどんな気分なの?」

と聞いてみると、
「う~ん…、モヤっとする。」
とのこと。


え~っ?いまさら~!?
と思う反面、この1年、この子は毎日保育園で母と離れる不安の中、先生から呼ばれるたびに、えもいわれぬモヤモヤを感じながら日々を暮らしていたのか…と。
いたたまれない気持ちになりました。


いや、正確には「いまさら」じゃなかったんだよね。
本当は今まで何度か「つーさんじゃない!」という小爆発があったのに、やり過ごしていたんだな、きっと。ただ母が気づかなかっただけで。



ここで、今回のテーマである呼び名とアイデンティティーの関連性が気になり出しました。


『名は体を表す』
って言うくらいだし、呼ばれ方次第でその子の人格形成に多少なりとも影響があるのでは?とか。


別にコレ、スピリチュアルなブログじゃないんでアレですけど、わりとcotton、普段意識しない程度の言霊信心があるタイプなので、まあ、だからってわけでもないけれど、毎日毎日投げかけられる「呼び名」にその子がネガティブオーラを感じてしまうのだとしたら、それって精神衛生上よろしくないのでは!??…とか。
果てしないことを色々と考えてしまい…。




とりあえず、翌日、連絡ノートにことの次第を綴りました。
先生だって悪気があって呼んでいたわけじゃないのがわかるだけに非常に言いづらかったけれど、本人が嫌がっている以上、親としてそこは代弁しなくちゃいけないよな、と思いました。


本人曰く、
「あしたノートに書いてよ。『こら!こら!こら!先生まちがい!ツバサだよ!つーさんって呼ばないで!』って。」
とのことだったので、本人談としてそのまま書きました。



その日のうちに先生から、
「去年のクラスでそう呼ばれていたので、その流れで今までつーさんと呼んでいました。ツバサくんにごめんねをしてツバサくんと呼ぶようにしますね!!」
と返事がありました。


以来、多少のタイムラグはあったものの、園中につーさん禁止令が敷かれたことが目に見えてわかりました。先生はみんなツバサくんと呼んでくれるようになりました。

お友達やお友達のママからつーさんと呼ばれた時は、本人が拒否反応を示した時だけ、

「つーさんって呼ばれるのがイヤなんだって。ツバサって呼んであげて」

と、フォローしました。




そんなこんなで、なんとか収まった呼び名騒動。
そもそも、坊がどこに引っかかっていたのかはわかりません。
「○○さん」という呼び方に距離を感じたのか。
男の子なのに「くん」じゃないことが嫌だったのか。
ツバサなのに「ツ」しかねーじゃん、ってことなのか。
はたまた、発達心理学的な「こだわり」の一種なのか。



真相は不明ですが、とにもかくにも坊にとって、
「自分はツバサ。」
という、「ひょっとしてそれって自我?」
的なものがあるらしい。
ってことが、ちょっとした驚きでございました。
つづく。

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