身体のなかは、まだ意識にのぼらない未知数のもので満ちている。
出来事以前の出来事、とでもいうようなものがひしめいていると思う。カオスのような混沌にも感じるし、無限に関係しながら連続する対流のようにも感じる。
ウゴキの無限連鎖がにんげんの身体にはぎっしりなのだ。ときに凝固し、ときにカタチになりかかったものが再び砕けたり、水溶したり、言葉となって消えたりもする。
身体は何かのメッセージをたずさえていると思う。耳を傾けようとする。
きこえないゆえにきく。
(テキスト=櫻井郁也/次回作へのメモ 2019.初夏)