櫻井郁也ダンスブログ Dance and Art by Sakurai Ikuya/CROSS SECTION

◉新作ダンス公演2024年7/13〜14 ◉コンテンポラリーダンス、舞踏、オイリュトミー

ソロダンス公演『ひかり-not here』11/1~2:作業経過3

2013-10-18 | 公演写真&記録(国内) dance works in JP(photo etc)
新作公演・作業日記より
(何回かにわけてアップしています。)



震災後いくつの季節か、泣くことが多かった。思い知らされた事が多すぎて混乱していた。にも関わらず、作品をつくるペースが速くなっていた。
踊っても踊っても、もっともっと、と身体が疼く。消えないうちに。

無力を身につまされたが、不思議なことに、それは虚無感にはつながらなかった。

無力もまた、ひとつの力なのではないか。

ハッと、そう思った。
暮らしは正確に続いていた。樹々が芽吹く、その緑がまぶしかった。



プロセス。

今回特に、今迄と違うプロセスを辿り始めている。創る、というのではなく、抽出する感覚。
彫刻家が木や石のなかから自然のカタチを読み解こうとするように、肉から、骨から、血から、何かをキク。

僕がするのは、ゼロからの創造ではない。一、を読み解く事だと思いはじめた。
一、とは目の前の物質たちであり、何よりも、ここにある肉体だ。

物質に囲まれながら、命に囲まれながら、いや、自らそのひとつでありながら、その何をも分かっていない。その事に、いままで気が付かなかった。

想い、考え、行為し、というその順序が転倒した。

まず動きたおしている。動いて、うごいて、
動きから、問う。
何しているんだ。これは何だ。お前は何を想い考えているんだ。

沈黙のなかで動く。
お前が聴いた音は何だ。
動きをつらぬいている場所、それは何処だ。

not here。
というサブタイトルは、そんな状態から出たのかもしれない。
ここ、にはまりきれないどこか。
肉体の遠い故郷か。
あるいは、ゆくえ、か。

フラグメントを結び合わせ、考えを膨らまして、だんだんと構築していた手順ではなく、一気に動けるだけ動きまくって稽古時間に収まりきれない状態が繰り返されるようになった…。

このようなプロセスは、正直、初めての体験だ。

(つづく)


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