櫻井郁也ダンスブログ Dance and Art by Sakurai Ikuya/CROSS SECTION

◉新作ダンス公演2024年7/13〜14 ◉コンテンポラリーダンス、舞踏、オイリュトミー

きょうは何があった日なのかな

2014-03-26 | ダンスノート(からだ、くらし)
きょうは何があった日なのか、ふと気になって調べることがある。誰の命日なのか、というのもそのひとつだ。

きょう3月25日は、ノヴァーリスの命日だ。そのこともあって、きょうの舞踏クラスではノヴァーリスの詩の一部を読み、その声をききながらイメージを広げて自由に踊ってもらった。

『人間に成る、ということは実にひとつの「技」なのだ』という名言で知られるノヴァーリスは18世紀末に活躍したドイツの詩人で、鉱物技師だったという。そのせいか、鉱物の内部からひろがるような独特の輝きが言葉の随所にあるように感じられる。奈良春日のはずれに、子どもの頃、行ってはならないと禁じられていた洞窟があったのだが、暗闇をたどって奥に入ってゆくと、水晶のかたまりや雲母のはりめぐらされた場所にたどりつく、そこで何度も遊んだ記憶があるが、あれは何の洞窟だったのか何故禁じられていたのかわからずじまい。しかしあの鉱物たちの放つ光輝だけは今も消えず、その不思議な場所の記憶に、時折ノヴァーリスの詩世界は、帰還させてくれる。肉体というものも、それは鉱物とはちがうけれども、やはりひとつの宇宙のかけらと思えば、自分がああしたいこうしたいというのとな別の、なにかキラリとしたものが発せられるのではないかと夢想してしまうことがあるのは、ノヴァーリスを踊ってみたいと稽古していたときが最初だったと思う。
実現できるかどうかは分からないけれど、ノヴァーリスが確か書いていた「明るくなって、透明になって、しみこんだ光が内側から他の物体を照らす」ようなものを、ふと思う。

そういえば、《記憶の海を~》の上演初日3月29日は、エマヌエル・スウェーデンボルグの、2日目の3月30日は尊敬していた華道家の中川 幸夫 さんの命日であって、《その血を~》の上演初日5月2日は、なんとレオナルド=ダ・ビンチ の命日なのだそうだ。だから何だということはもちろんないけれど、偶然それを知るだけで、なぜか気持の膨らみは大きくなってゆく。

きょうは何の日なのだろう、そう思いながら過ごすと、毎日とか日常とかいうものの向こう側に、なにか広く広くひろがるものが、あるような気になってくる。

櫻井郁也・公演サイト
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