ベートーヴェンの休符の爆発性、ケージの一音が招く錯乱感覚、そこに酔う。
ソロ公演がはねて数日、ベートーヴェンとケージを聴いて過ごした。まったく違う音楽なのだけど、合わせて聴きたい気分になることが、たまにある。
突然の一音が、静寂を招き、かつ、それを破る。そんな、瞬時の出来事が、この2人の音楽からは存分に愉しめる。
喧騒と静寂のダンスとでもいえばよいのか、僕は、ケージとベートーヴェンに、そのようなエネルギーを強く感じることが多い。イナズマみたいだ。
びくともしないような何か巨大なものを叩いて響かせようとするような衝動を彼らの音楽から感覚し、身震いすることもある。
静寂を招き、かつ、破る。これは勇気と技術がいることだけど、非常に大事なことだと思う。日常を破ること、何かを新しくすることにも繋がっている気がしてならない。
ふいにとどろく一音により、静かな空間が突然あらわれ、瞬時に破られる。そのことで、そこに何か生産的な力が始まるように思えてならない。
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