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櫻井郁也ダンスブログ Dance and Art by Sakurai Ikuya/CROSS SECTION

◉新作ダンス公演2024年7/13〜14 ◉コンテンポラリーダンス、舞踏、オイリュトミー

現代ダンスとオイリュトミーについて

2007-09-05 | レッスン・WSノート
秋の気配が、漂うようになってきました。
思い出したように照りつける陽射しも、少しばかり陰影が濃くなっている感じがします。
僕も、夏場のトレーニング三昧から、白州での感受・舞踏体験を経て、腰を据えて考え行動するリズムにシフトしています。
太陽からの糧を、いかに新たな種へと育んでいくことができるのでしょうか・・・。

昨秋は外国ではじめて大きな公演をしたので、嵐のような秋でした。
でも、今年は、この東京で新作を公演するので、落ち着いた、しかし、とても気が引き締まる思いです。
生活する土地の精霊や、同じ空気を吸って生きる人々に、踊りを奉ずることは、やはり特別大事なことのように思えてなりません。自然、杖となって自身の踊りを支えてくれている仕方/哲学(遺産)に対しても、とらえ直したい衝動にかられます。

ダンスに出会う路を示してくれたのが、床体操・バレエ・ヨガと打楽器の稽古でした。リズムに夢中だった。そして、僕を育て、今もダンスを支えてくれているのが、オイリュトミーと舞踏です。オイリュトミーとは良い律動という意味、舞踏は踏み巡ること。いずれも共振行為を通して生きざまを問う道。これらを介して、創作の現場を、いつも死者が見つめています。また、これらの知を分かち合いたくて、始めたのがクラスであり、そこでの出会いが、また新しい考察を促してくれます。出会った人が、オイリュトミーや舞踏の練習を蓄積され、その人本来の美しさへと還っていく有様を目の当りにして、時を超えて何かをつなげていく死者の遺産に、瞠目せざるを得ません。

「オイリュトミー」は、あまりにも素直な「型・法則」による踊りです。一切、特殊な運動能力を求めぬ、自然体の踊り。しかし、能のように、そぎ落とされた強度をもっています。誰にも開かれつつ、深い。これを使って、ことばや音楽に反応し、響き合う練習をする。詩の一字一句に込められた言霊、音曲の一譜に込められた作曲家の音感を、全身運動で感受し、響き合おうとする。果ては、自然のエレメントや日・月・星々の大地への作用さえも踊りに受けようとする。響き合うというのは、一体化を試みるということ。森羅万象・他者・自己自身に対する認識力を、全身の運動をもって磨いていこうというわけです。だから、これは創作的な踊りというよりも、帰依による客観舞踊と言えましょう。玄人も素人も、ない。創案したのは、ルドルフ・シュタイナー。20世紀はじめに、宇宙論/神秘学的な視座から、革新的な芸術実践論・有機農法・自由教育をはじめ、未来の経済理論に至るまで、人間と世界の再生を考え抜いた人です。この人が、晩年に公表したのがオイリュトミー。

一方、「舞踏/現代ダンス」は、型をもっていませんから、「心地よい反応」からスタートして、やがて「生み出す」ことにつなげてゆく練習。
耳を澄まし、目を開き、肌を敏感にして、環境や心に対峙します。そのための呼吸、力の入れ方抜き方、筋力・神経・気の配り方が、メソード=ヒントとして受け継がれ育てられ、あとは、各々の仕事として個々に委ねられるのが、この分野。
関わり得る魂に向けて、イマ・ワタシハ・コノヨウニ・アル、と身を放つのです。当然、ウマイ・ヘタよりもリアリティーを問う踊り。他人にも、自分自身にも・・・。
ここでは、つのる思いはもちろん、あらゆる刺激や交感の現在進行がカラダを躍動させ得る。
自己の中に眠れる、原石の発掘作業であり、その熱意が感動に結びつく。
これは、個を問いつつも、魂の系譜を継ぐことに等しいが、難しく考えることはゆがめることになると思う。
まずは、素直率直でありたいもの。大の字になってノビノビ呼吸したり、ヴァイブレーションに身を任せてユラリとしてみたり、幼児のような事に、全霊を傾ける。これです。
肉体が、所与のものであり、引き継いでいるものである以上、その躍動が常に新しくある、ということは、普遍に息吹を入れ続けるということでもあります。斬新大胆であると同時に、奇をてらう事なく、ありたい。
個性的でありつつなお全体とつながっている、という実現が「心地よい生成」ということなのでしょうか。

これらは、たまたま僕が出会い楽しんできた、2つのヒントです。束縛を解き放つための、あるいは、肉体に思いを託す仕方の例ともいえます。型式と無型式。各自が楽しく受け入れられる方向から、ダンスの入口になれば、と思います。だけど、別ものではありません。2つの極のように、相互に影響し合いつつ、身体への作用を待てば、現代のダンスに向けて、なにか本質が見えてくると思います。


※定期クラスでは、秋のメンバー募集とあわせて、10月7日に、オイリュトミーとダンスへの入門ワークショップを開催します。(杉並区立・久我山会館ホール、14~17時、一般参加=2000円)この日は、ふだんの練習経過も見ていただきたいので、各クラスの合同で、公開練習も同時進行です。実際、どんな練習をするんだろうと興味をお持ちの方や、きっかけを探していられる方にはピッタリの内容だと思います。数日中に詳細を発表しますので、ご期待下さい!
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